左がSHEINの商品、右が悪魔の実のフィギア

 中国発のファッションブランド『SHEIN(シーイン)』。格安を武器に人気を集めているが“パクリ疑惑”が浮上している。

「流行の商品が安く購入できるとして、若者を中心に利用者を増やし、11月13日には原宿に常設のショールームをオープン。急成長していますが、ラルフローレンやステューシー、ドクターマーチンなどの有名ブランドから商標権の侵害などをめぐって、訴訟を起こされています」(ファッション誌ライター)

 海外ブランドだけでなく、日本のイラストレーターも“被害”を訴えている。アイスクリーム『食べる牧場ミルク』の牛のイラストを手がけた、しばたまさんはTwitterに《SHEIN...堂々とやってくれてますな》と画像付きで投稿。

 この投稿に対して、SHEINジャパンは《弊社はこちらの投稿にてご指摘頂いた内容をとても重視しており、 現在調査を進めています。よりタイムリーなご連絡をご希望する場合は、DMまで直接ご連絡ください》と返信している。

SHEIN(シーイン)公式HPより

「SHEINの通販サイトには、人気漫画『ONE PIECE』に登場する『ゴムゴムの実』にそっくりなイヤホンケースや、日清食品のインスタントラーメン『チキンラーメン』のひよこのキャラクターにそっくりなキーホルダーなどの商品が販売されています。レビューにも《そっくりだから購入しました》といった投稿がありました」(前出・ファッション誌ライター)

 デザインのよく似た商品を販売することは法的に問題はないのだろうか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に聞いた。

「キャラクターやデザインのある商品が著作物と認められたとしても、著作権を侵害したと言えるためには『SHEIN』の商品が、キャラクターやデザインのある商品を参考にして作られたものである必要があります。偶然の結果としてデザインが似てしまったとしても、そのことだけをもって著作権侵害とはいえないです。

 今回の場合は細かな部分を除き、偶然と言えない程度には類似しており、またどのSHEINの商品に表されたデザインは市場に溢れており、これらをまったく見たことがなかったとは考え難いため、偶然似たとの判断は難しく、参考にしたと考えられます」

 参考にしたと判断されても著作権を侵害したというにはまだ条件がある。

「SHEINの商品がキャラクターやデザインのある商品に“類似”しているといえなければ著作権侵害とはいえません。類似しているか否かの判断は、“既存の著作物の表現形式上の本質的特徴部分を、新しい著作物からも直接感得できる程度に類似しているか”という基準で判断します」(正木弁護士、以下同)

牧場ミルクと悪魔の実は類似性が極めて高い

 では、今回の牧場ミルクのイラストやゴムゴムの実、チキンラーメンのキャラクターはどうなのか。

「牧場ミルクと悪魔の実については、デザインのある商品とSHEINの商品の間にほとんど違いがないため、類似性が認められる可能性は極めて高いです。一方で、チキンラーメンについては“黄色いひよこ”という巷にありふれたデザインに過ぎないと判断される可能性を残しており、ほかのものより著作権侵害と認められる可能性は落ちると言えます」

 SHEINのホームページでは“ファッションの美しさを、すべての人が利用できるようにすること”が目的に掲げられている。模倣したものに、果たして美しさはあるのだろうか。

正木絢生代表弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。慶應義塾大学法科大学院卒業。第二東京弁護士会所属。bayfm『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組『news イット!』(フジテレビ系)などメディア出演も多数