東京・港区元赤坂に広がる緑豊かな赤坂御用地─その一角にある地上2階、地下1階の鉄筋コンクリート造りの建物が“新・秋篠宮邸”だ。
「秋篠宮邸は、'72年に完成した旧秩父宮邸を増築した建物で、今年で築50年。配水管などの老朽化が進み、'06年と'11年に改修が検討されたものの、社会情勢を鑑みた秋篠宮さまのご意向により、見送られてきました。
令和へのお代替わりに伴い、秋篠宮さまは皇位継承順位1位の『皇嗣』に。宮邸での公務や職員の数が増えることを受けて、'20年3月から今年9月にかけて大規模な改修工事が行われました」(皇室担当記者、以下同)
紀子さまが“金”を要求された?
11月22日、完成したお住まいの一部が、メディア向けに公開された。延べ面積は、これまでの約2倍の2972平方メートル。総工費は30億円を上回り、仮住まい先の御仮寓所の建築費を合わせた総額は約40億円にも及ぶ。
「改修コストの原資は国民の税金のため、宮内庁は“経費節減”や“再利用”をアピール。大食堂のシャンデリアや黒大理石の棚、手縫いの絨毯は、もともと使っていたものを使用しているとの説明がありました」
ちなみに、天皇家の御所の改修工事は約9億円だった。
「秋篠宮邸に高額なコストがかかった理由について、適切な説明がなされなかったことに世間から疑問の声が上がっています。工事中には、紀子さまが“金やイタリア製の大理石を使ってほしい”とご注文したと、一部で報じられたこともありました。真偽は定かでないものの、公開された部屋には金びょう風や大理石を用いたスペースもあり、“これが例の……”と、勘ぐってしまう人は少なくなかったかと」
長女・眞子さんと小室圭さんの結婚騒動以来、逆風に晒され続けている秋篠宮ご一家。
「世間からの厳しい視線をものともせずに、ひたむきに公務をこなされているのが、次女の佳子さまです。コロナ禍の影響もあり、昨年まではお出ましの機会がそれほど多くありませんでしたが、今秋の“公務ラッシュ”には目を見張るものがありました」
11月21日は、東京・港区の明治記念館で行われた第5回「みどりの『わ』交流のつどい」に臨席された。この公務は第1回から姉の眞子さんが出席しており、皇室を離れたことに伴い、佳子さまが引き継がれた。
予定よりも長く懇談された佳子さま
当日の装いについて、皇室のファッションに詳しい歴史文化学研究者の青木淳子さんに話を聞くと、
「ダークグリーンのスーツは、昨年10月、眞子さんの結婚会見当日にお住まいでお見送りされたときと同じものです。金の小枝に小粒の真珠がついたブローチは、樹木をイメージさせるデザインで、まさにこの式典にふさわしいスタイルだといえるでしょう」
昨年は、コロナ禍の影響で会場に足を運ぶことができず、ビデオメッセージを寄せられた佳子さまだが、このときの装いにも注目が集まっていた。
「グリーンのスーツは、肩まわりのサイズ感が合っていらっしゃらないように見えましたが、眞子さんが'19年に同式典に臨んだ際に着用していたスーツの“お下がり”だと推察できました。お姉さまが担っていた公務を、今後は自分が引き継ぐというご覚悟を、アピールされたかったのだと思います」(青木さん)
会場を訪れてのご出席は、今回が初めてだった佳子さま。式典では、緑豊かな街づくりに貢献した団体が表彰され、終了後には受賞者との交流の場も設けられた。佳子さまとお話しした宮城学院女子大学の戸野塚厚子副学長は、当日の様子を振り返る。
「佳子さまが、私たちの緑化事業について、事前によく調べてきてくださったことが伝わり、感心いたしました。説明用のパネルをご覧になりながら、“みんなでつくられた手づくりの芝ですね”“すてきですね”と、笑顔で共感してくださってうれしかったです。“これに関わるすべてのみなさまに、よろしくお伝えください”とも言っていただきました」
受賞者と積極的にコミュニケーションを図り、当初予定していた懇談時間よりも20分ほど長く滞在されたという。
「皇室の方々のスケジュールは、基本的に分単位で組まれますが、後ろ倒しになってしまうことが多い。一般人にとって、めったに会うことも、直接お話しすることも貴重な皇族方と、長く対話できるのは喜ばしいこと。予定が詰まっていなければ、そうした国民との交流を満喫されるのも“皇族らしさ”といえるかもしれません」(宮内庁関係者)
内親王としての矜持を示す佳子さまは、独身の女性皇族として、今と未来の皇室を支える役割を担っておられる。
「未婚の女性皇族は現在わずか5人。現行法では、結婚に伴って女性皇族が皇籍を離脱することになっていますが、昨年12月に出された政府の有識者会議の報告書では、積年の課題である皇族数の確保策として、“女性皇族が結婚後も皇室に残る”という案が上がっています」(前出・記者)
佳子さまが“皇室に残る案”
結婚適齢期にあたる佳子さまの人生を大きく左右する議論について、宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司さんは、こう見解を示す。
「皇位継承の議論とは別にして、女性皇族が結婚後も皇室に残るという案は、公務の担い手の確保という点では有効です。上皇、上皇后両陛下の長女である黒田清子さんは、国家国民のために皇族としての公務に励んでこられました。それが、結婚により皇族としてのお仕事が“すべて無し”になってしまったわけですが、これは国にとっても損失ですし、残念なことだと思いました」
とりわけ佳子さまには、未来の天皇を支えるという使命もおありだ。
「家族であり、皇室の環境を理解している佳子内親王殿下が結婚後も皇室にいらっしゃれば、いずれ即位される悠仁親王殿下を長くおそばでお支えすることもできます。皇族が天皇を支えるというのは、皇室としても国としても必要なことです」(山下さん)
佳子さまが、公務に邁進されるほど周囲からの期待も膨らむ。こうした中、11月30日に57歳を迎えられる秋篠宮さまが事前に臨まれた記者会見では、佳子さまに関する問いも報道陣から投げかけられたという。
「今年2月、天皇陛下の誕生日会見では“女性皇族が結婚後も皇室に残る案”という表現が質問に盛り込まれました。秋篠宮さまに対しても同様の質問が出されたのでは、という見方が強く、お誕生日当日に公表されるご回答に注目が集まっています」(前出・宮内庁関係者)
結婚前に法案が可決されれば、生涯皇族として過ごされることになる─。迫りくる重責を誰よりも実感されているのは、ほかならぬ佳子さまだろう。
青木淳子 歴史文化学研究者。学際情報学博士。大東文化大学などで非常勤講師を務め、著書に『近代皇族妃のファッション』ほか
山下晋司 皇室ジャーナリスト。23年間の宮内庁勤務の後、出版社役員を経て独立。書籍やテレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている