新型コロナウイルスの流行やロシアのウクライナ侵攻などによって、世界を襲うインフレの波。ここ1年で家計負担が年間10万円以上も増加したという報告があるほど、私たちの生活は“物価高”に苦しめられている。
価格は変わらず量が減る「ステルス値上げ」
「食料品や日用品など、生活に必要なあらゆる商品・サービスがどんどん値上げされていく一方、収入が上がっているわけではありません。特に、スーパーやコンビニなど、使用頻度の高い場所で“値上げ”を実感する人が多いのではないでしょうか」(全国紙記者)
いつも買っていた商品が急に50円高くなった、なんてことはもはや珍しくない。しかし、どうやらパッと見ではわからない“ステルス値上げ”も存在しているようで……。
「値段は据え置きのまま、内容量やサイズが縮小される実質的な値上げのことですね。同じ値段でも、満足感が以前ほど得られなくなるため、“ステルス値上げ”は消費者をよりがっかりさせてしまう傾向にあります」(同・全国紙記者)
値上げへの悲鳴が取り沙汰されるようになった2年前ごろ、とあるコンビニの商品の“ステルス値上げ”に対してSNS上で非難が相次いだ。
「商品の見た目は以前と変わらないように見えたのですが、実際に買ってみると内容量が減っていた、という悪質な改変が施されていたんです。消費者を騙すような印象を与えたため、槍玉に上げられていました」(同・全国紙記者)
主に弁当や惣菜で行われたいたという悪質な“ステルス値上げ”。SNSを確認してみると、弁当については、容器の外側からは判別できないが、食べ終えると底上げされていることがわかったり、“二重底”になっていたり。
惣菜ではサンドイッチの具材がパンに対して少なすぎるなどと、購入した消費者すら気づきづらい仕掛けがされていたという印象を受ける。
こうした悪質な改変は今でも行われているのだろうか。コンビニの商品を、週刊女性PRIMEで検証してみることに。
消費者も微妙な変化には気づきにくい
まず、“底上げ”“二重底”が批判されていた弁当についてだが、確認した限り、そのような仕様は見られなかった。
しかし、SNS上では同コンビニの弁当に対して、
「唐揚げが小さくなった」
「漬物がなくなった」
という声が見受けられた。つまり、“商品のリニューアル”と称して商品名を変更するとともに、弁当全体のボリュームダウンを行なっている可能性が高い。
次に、ツナ・たまご・ハム・レタスのミックスサンドイッチを確認したところ、ツナ・たまごの具材は購入の際に消費者の目に入る断面にのみ偏って置かれている。特にたまごは、白身が断面のみに配置されていた。
他にも、パッケージの2分の1ほどしかないサイズのスイーツや、包装を剥がすと容器の3分の1に醤油うけが設けられているなど、内容量を錯覚させるような仕様が施されているという印象だ。
「SNS上で苦情が殺到し、企業のイメージが悪化したため、以前のような悪質な“ステルス値上げ”をせず、現在は基本的に物価高に合わせて値上げを行なっているようです。しかし、一度失った信頼を取り戻すことは難しく、今でも同コンビニの商品への批判は後を立ちません」(前出・全国紙記者)
このような商品に対して、“国民生活センターへの通報レベル”との声もあったが、実際どれほど苦情が寄せられているのだろうか。東京都消費生活センターに確認すると、
「コンビニエンスストアに関するご相談は、異物混入にまつわる内容が大半を占めており、ご指摘頂いた内容のご相談は10年間で数件程度です」
とのことだった。
日常での訪問頻度が高いコンビニだけに、消費者も微妙な変化には気づきにくいと言ったところか。“物価高”に苦しんでいるのは企業も同様だろうが、消費者を騙すステルス値上げのような対策は、信頼やイメージという目に見えない企業価値を落とすことに気づいてほしい。