「以前は自由な雰囲気があって、評判のいい保育園だったですよ。人気があり過ぎて、2年待ちという状態まであったと聞いています。それがどうしてこんなことに……」
保育園がある静岡県裾野市の住民は驚いていた。
同県警裾野署は、県警捜査一課と同人身安全対策課の協力を得て4日、私立の認可保育園『さくら保育園』の元保育士3人を、園児への暴行の疑いで逮捕した。
三浦沙知容疑者(30)は6月1日、女児Aの顔を押す暴行。小松香織容疑者(38)は6月27日、男児Bを宙づりにする暴行。服部理江容疑者(39)は6月10日、男児Cの頭部を殴打する暴行だった。
「全園児171人のマンモス保育園で、容疑者3人は1歳児クラス23人を、計6人の保育士で担当していた」(全国紙社会部記者)
一連の虐待行為は、8月中旬に同園の内部関係者から市に情報が寄せられたため、市は同園へ調査を指導。同園の内部調査によって、16項目の悪質な行為が8月下旬に市へ提出された。
「なかにはカッターナイフで脅す、倉庫に閉じ込める、感染症の疑いのある園児の身体を無理やり触らせる、寝かしつけた園児に“ご臨終です”と何度も発言する、容姿をバカにするなど、悪質で陰湿なものだった」(同・社会部記者)
警察の取り調べに対して、容疑者らは、
「しつけの一環だった」
などと呆れる釈明をする容疑者もいた。
逮捕翌日の5日、警察が園長や保育士の立ち会いのもと、園内の捜査を行ったため、同園は休園状態に。
小松容疑者は「一緒に遊んでくれる、優しい先生」
6日には、ぽつりぽつりと園児が保護者を伴って登園していた。4歳女児の母親は、
「娘がテレビを観ていると、小松先生が映っていたので、“どうして?”って。それで、“先生や友だちにも会いたい”と言うから来たんです。もしかすると、このまま園がなくなってしまう可能性もあるし、最後になるかもしれないと思って、連れてきたんです」
女児は涙をこぼしながら、
「小松先生は一緒に遊んでくれる、優しい先生だった」
と訴えた。2歳のときの担任だったそうだ。
小松容疑者の自宅は、同園からそれほど遠くない、裾野市内にあった。十年ほど前に建てられた新築一戸建てだ。“夫と子ども2人がいる、とてもいい人”だと近所の住人は主張する。
夫と子ども2人がいる、とてもいい人
「きちんと挨拶はするし、地域の清掃も必ず参加する。逮捕前に、園の関係者が内部告発したと聞いていたから、それは小松さんじゃないかと思っていたぐらいだから」
2児の母親でもあるそんな人がなぜ虐待をしたのか……。
「……きっと、……魔が差したんじゃないでしょうか」(近所の住民)
もうひとりの服部容疑者は、おおむねのところで容疑を認めた上で、
「新型コロナの影響で業務量や気遣うことが増えて、ストレスを感じていた」
と理由を述べているが、それは保育士に限ったことではなく、幼児への虐待が許されるはずがない。
一方、同園の桜井利彦園長は、園の不祥事とともに“隠蔽”の責任をとって、退任する意向のようだ。
「同園の全職員に一連の行為を口外しないよう求める誓約書を書かせ、同僚の保育士に土下座して通報しないように頼んでいたからです。村田悠市長は、桜井園長を犯人隠避の疑いで告訴状を裾野署に提出しました」(前出・社会部記者)
彼の自宅は、同園から500メートルほど離れたところにあった。
同じ敷地内の隣にある初代園長の父親と思われる人物の自宅を訪ねるも、2人とも応答はまったくなかった。桜井園長と親交があった近所の住人はこう話す。
「俺も励まそうと思って訪ねたけど、出てこないね。マスコミが次々と来るから……」
人柄については、
「うん、いい人だよ。子どもも2人いて、悪い人では決してない。身内の恥は、隠そうとしてもおかしくないと思うけどなぁ」(同・近所の住民)
この隠蔽を警察がどう判断するのだろうか……。