松本駅前に設置された投票型喫煙所

『A・永遠の愛、そして一文なし』『B・一攫千金、そして永遠の孤独』あなたならどちらを選ぶ?

 遊び感覚で投票することで、たばこの吸い殻のポイ捨て防止、街の美化につながるならとても賢いやり方だろう。

 渋谷センター街宇田川クランクストリート(2022年5月〜9月)や横浜駅西口五番街(2022年11月〜)に設置されたのは、投票型喫煙所。

 投票型喫煙所とは冒頭のような誰しもが悩む“究極の2択質問”の「投票型灰皿」をいくつか設置した喫煙所で、行動経済学に基づき、喫煙者が能動的に吸い殻を捨てたくなる仕組みにして、楽しみながらたばこのポイ捨てを減らすことを目的としている。

 11月(21日〜27日)には長野県松本市及び松本県ヶ丘高等学校と協業で松本駅前にも設置された。

投票型喫煙所の設置で約9割もポイ捨てが減少

 この取り組みを実施した株式会社コソドによると、

「本プロジェクトを始めたきっかけは、コソド社で抱えているミッションである『非喫煙者と喫煙者が心地よく共存できることを目指した新しいカタチの喫煙所』の実現に向けたプロジェクトです。現在喫煙所がどんどん減りつつあり、それによってたばこのポイ捨て問題が多く発生。悩まされている自治体や町の住人の方が多い中で、たばこのポイ捨てをなくすための新たなアプローチが考えられないかというところからスタートしています」

 渋谷センター街では、取り組みの前後にクランクストリートでの実際のポイ捨て数をカウントしたところ、投票型喫煙所を設置する前と比べて約9割もポイ捨てが減少したという。

 そもそもこの「投票型喫煙所」の取り組みは『ポイ捨て図鑑プロジェクト』の一環。ユーザーがポイ捨てされた吸殻を撮影し、位置情報と併せて投稿を行うことで、街のポイ捨て状況を可視化。

 ポイ捨てされた吸殻を「喫煙所に戻れず、迷子になった吸殻モンスター 」といった助けるべき存在にすることでゲーム感覚で街の美化に貢献する取り組みだ。

「例えば、吸い殻を一つのキャラクターとして命名してもらったり、ユーザー同士の投稿数で競い合ったりなど、参加をすることでより深い啓蒙まで落とすことを狙いとしています」(株式会社コソド)

 2022年10月末時点で約6000体の「吸い殻キャラクター」の投稿が集まっており、ポイ捨てが多いエリアには喫煙所設置等を検討していくという。

『ポイ捨て図鑑』に投稿された「吸い殻キャラクター」たち

 ただし、

「これらの活動の中で我々が感じていることは、マナーを守るための啓蒙としての活動は今後も推進をしていきながらも、吸い殻の受け皿自体の総数がどんどん減っているため、マナー啓蒙だけではポイ捨て問題を解決できない実態もあるかと思っています。受け皿となる喫煙所自体をどう効果的に活用していくかという視点でプロジェクトを推進していきます」

 とのことで、喫煙所の減少というのは「ポイ捨て撲滅」への啓蒙ではカバーしきれない問題のようだ。

 ちなみに、冒頭の質問『A・永遠の愛、そして一文なし』『B・一攫千金、そして永遠の孤独』どちらがいい? という2択は、どちらが多かった?

「最終的に、愛がお金に負けずに同レベルで投票数が着地していたことには、プロジェクトメンバーも安心したところです」(株式会社コソド)とのこと。