誰にでも話し方にクセがありますよね。また会話の中に同じ言葉を何度も使う人もいます。口グセは人それぞれに違うのですが、そのクセによってその人の性格がわかることもあります。ライターをしながら婚活現場に関わる筆者が、目の当たりにしている婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えていく連載。今回は“話し方のクセに見る、その人の性格”について考えていきましょう。
「しかし」が口グセの人
ひとみさん(37歳、仮名)は、あきらさん(39歳、仮名)と、先日お見合いをして仮交際に入りました。あきらさんとは年も近いし、有名大学から上場企業に勤めていて、結婚するにはとても条件のいい男性でした。
婚活も1年が経ち、もうこの辺で結婚を決めたいと思っていたひとみさんは、あきらさんとなんとかうまくいったらいいなと思っていました。
ところが2度目のデートをしていたとき、ふと、あきらさんの口グセが気になるようになりました。彼は、会話の中で、「しかし」を連発するのです。
「このレストランは、リーズナブルだね。しかし、材料は原価の安いものばかりを使っているな」
「今の直属の上司は、仕事ができる人なんだ。しかし、パワハラチックな発言も多いから、人望がない」
「無農薬とか添加物にこだわる人っているよね。しかし、その人たちが健康で長生きできるとは限らない」
“しかし”という接続詞は、前の言葉と反対の事を言うときに使います。“しかし”が口グセのあきらさんは、話の結末がいつもマイナス発言で終わっていたのです。
見た目も素敵なエリート。「最初は、こんな男性と結婚できたら、友達にも自慢できる」と思っていたひとみさん。それが、会話をしているうちに、“しかし”という言葉が気になりだし、その度に“あ、またマイナス発言で話が終わった”と思うようになり、だんだんと話をしていても楽しめなくなりました。
“しかし”だけでは、ありません。“でも”が口グセの人もいますね。こちらも、次に繋がるのは、前の言葉を否定する内容です。
否定グセのある話し方をする人は、どうしても話す内容がネガティブな方向に着地します。ネガティブな発言をしていると、人は離れていきます。 “しかし”“でも”“いや”が口グセの人は、気をつけてくださいね。
あやまりグセのある人
なおさん(34歳、仮名)は、みのるさん(37歳、仮名)とお見合い後、仮交際に入ったのですが、初めてのデートを終えて、“交際終了”を出してきました。その理由がこうでした。
「待ち合わせ場所がファッションビルの前だったんですけど、遠くから大きな花束を抱えて立っている人が見たんです。“もしや〜”と思ったら、やっぱりその方がみのるさんでした」
なおさんが歩いてくるのがわかると、みのるさんは満面の笑みで手を振ってきました。そして、言ったのです。
「この間はお見合い、ありがとうございました。交際希望もありがとうございます。この間、ピンクのワンピースがとてもお似合いだったので、お店でピンクの花を中心に花束を作ってもらいました。どうぞ」
手渡してきましたが、これからデートの間中この花束をずっと持って歩くのかと思うと、なおさんはちょっと気が重たくなりました。なおさんの表情が曇ったのを悟ったのか、みのるさんが言いました。
「あ、ごめんなさい。荷物になりますよね。僕が持っていて、帰り際にお渡ししますね」
そして、続けました。
「この近くのエスニックレストランを予約したんです。行きましょう」
「エスニックですか?」
なおさんは、エスニック料理の独特な香辛料が苦手でした。また、表情が曇ったのを読み取ったのか、みのるさんは言いました。
「あ、ごめんなさい。もしかして、エスニックは苦手でしたか? ごめんなさい。最初に聞けばよかったですね」
「大丈夫ですよ。食べられるものをメニューから選びますから」と、なおさんは言ったのですが、みのるさんは、しきりに恐縮している様子でした。
「ごめんなさい、僕、気が利かなかったですね。どうしようかなぁ、すいません」
そして、会ってまだ5分も経たないうちから、会話の中に“ごめんなさい”“すいません”を連発していました。
“そういえば、お見合いのときから、ごめんなさい、すいません、を連発していたっけ”と、なおさんは、思い出しました。
そこから、2人でエスニックレストランに行ったのですが、その会話の中にも、たくさんの“ごめんなさい”“すいません”が出てきていたのです。
なおさんは、私に言いました。
「どうしてこの人は、こんなにあやまってばかりいるんだろう。会社でも友達同士の間でもこんな調子なのかな。そう思ったら、会社での彼の立ち位置が見えた気がしたんです」
あやまりグセは、小さなころの親の教育や躾が影響をしていることもあります。小さな子どもが悪いことやイタズラをしたときに、親がそれを叱り、最後に、「ごめんなさいは?」と言って、必ずあやまりの言葉を言わせる。それが習慣になると、子どもは、「ごめんなさい」は、言わなくてはいけないもの、また、「ごめんなさい」をいえば、親の小言から早く解放されると思って成長していきます。
そして、それがいつしか、あやまりグセとして定着してしまいます。
また、自信のなさの表れでもあり、周りとの衝突を避けたいから咄嗟に危機回避をしようとする。自分の主義主張をする前にあやまって折れてしまうので、会社などで、「あの人に頼めば、断らないだろう」と思われて、どんどん分の悪い仕事を押し付けられる傾向にもあります。
衝突を避けたい、相手を不快にさせたくないと思って、あやまるのですが、それが返って逆効果を生んでしまうのです。
男性も女性もあやまりグセのある人は魅力的ではありません。人に気を使いすぎる人と一緒にいても、リラックスできないし、楽しめませんよね。
あやまりグセがあると思う人は、注意していてください。
「僕的(私的)には」と言うのが口グセ
「今日お見合いした男性、会話をしていると “僕的にはこう思います”とか“僕的にはこうなんです”とか、“僕的”と言うのが口グセでした」
ようたさん(35歳、仮名)とお見合いを終えたよしこさん(35歳、仮名)が言いました。
「理想の結婚像って、ありますか? 僕的には、男女がイコールな立場で、関係を築きたいんですね」
「結婚したら、僕的には、女性に仕事を続けてもらって、社会と関わりを持っていてほしいと思っています」
「子どもは授かり物ですが、僕的には子どもが欲しいです」
よしこさんは、私に言いました。
「お見合いをしていて、すごく“僕的”を連発するので、気になりました」
ようたさんのように、“僕的には”、“私的には”、と“的”をつける人がいますよね。
「一般論はこうだけれど、僕的にはこう思います」「あなたの意見はわかっています。でも、私的はこうです」と、まずは一般論や常識を受け入れながらも、自分の意見を言う。ここに“的”を入れることで、主張したいことが強まる効果があります。
よしこさんは、そこに違和感を覚えたのかもしれません。
また、僕的(私的)発言の多い方は、相手を受け入れているように見せて、最終的には自分の芯は曲げない。結婚したとしても、「キミの言っていることはわかるよ。でも、僕的にはこうだよ」と、自分の意見を押し通してくるかもしれませんね。
口グセは、その人の性格を映し出す鏡のような気がします。また、その方の口グセが気になるというのは、そもそもその方との相性が合わないのだと思います。交際を続けていくのは難しいかもそれません。
また、ご自身に口グセがあり、それを他人から指摘されたことがある方は、どうしてそれば自分の口グセになったのか、一度振り返ってみるといいかもしれませんよ。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊『100日で結婚』(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル』