「おっぱい天国の実情についてお話していこうと思います」
横浜・みなとみらいの路上で興奮気味に女湯の様子を語り出したのは性転換手術を受けた“元男性”。
「みなさんタオルで隠してるんだけど、はみ出てるわけですよね、天国が。大きい桃もあれば小さい桃もあり。お尻が洋梨のようにはみ出している人も」
そうした煽るような表現でYouTubeに投稿された動画は、5分半ほどに及んだ。
「自身をトランスジェンダーと称する投稿者は『スザンヌみさき』の名前でYouTubeやTwitterなどで発信をしています。今回、物議をかもしているのは12月6日に投稿された『元男性が服を全部脱いで女湯に入ってきた結果…』というタイトルの動画。ホテルの温泉に入ったときに居合わせた女性の胸やお尻の話を桃や梨に例えて表現していました」(ネットニュース編集者)
女湯レポで炎上の元男性『スザンヌみさき』、過去に意味深ツイート
YouTubeのコメント欄には《どうして女性の恐怖心煽るようなことを言うんですか?》《女からするとめちゃくちゃ怖いんですけど》といったコメントが多数。
さらに、この動画がSNSで拡散されると《性的マイノリティーを抱えている私から見ても、こういうのはどうかと思う》と批判が相次いだ。
実はこの人物、昨年6月にもTwitterに、
《女の子大好き、おっぱい大好き性欲の塊で性格めちゃくちゃ男で考え方も発言も男でも、性転換して豊胸してて、服装・髪型・声・メイク頑張って女性の体型と見た目になってれば 女性として認められるので大丈夫です》
といった投稿をして、“プチ炎上”していた。
このように見た目と性自認が異なる人や性転換手術を受けた人が、違う性別の浴場に入ることは法的に問題ないのか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士はこう話す。
「結論としては、法律上問題になる場合があり得ます」
では、どういう場合に問題となるのか。一般的に、自身の性別と違う公衆浴場などに立ち入る際に適用が問題となる法律は2つ考えられるという。
弁護士の見解は?
「1つ目は建造物侵入罪。公衆浴場等に正当な理由なく立ち入った場合に該当することになります。異性の裸をのぞき見たり盗撮するために、異性の浴場に立ち入った場合は、管理権者である公衆浴場の施設管理者の意思に反するものであることは明らかであるため、同条が適用されることになります」(正木弁護士、以下同)
今回のケースでは建造物侵入罪が適用されるのか。
「公衆浴場の施設管理者の意思に反した立ち入り行為をした場合には該当する可能性があります。他方で公衆浴場の施設管理者が、“性転換を受けた人物であれば元の性別とは違う浴場に入ることができる”との見解である場合には、該当しない可能性が高いと言えます」
もう一つ適用される可能性があるのは、各都道府県の迷惑防止条例違反だという。
「都道府県ごとに条文の文言が異なります。文言が明確で分かりやすい神奈川県の迷惑防止条例を参考にすると、人を著しく羞恥させ不安を覚えさせるような方法で、公共の場所やプライバシー空間にいる人の下着や裸を見た場合に該当することになります。
建造物侵入罪は、異性の浴場への立ち入りという行為を処罰の対象としているのに対して、迷惑防止条例は、異性の下着や裸を見るという行為を処罰の対象としています」
今回のケースはどうなるのか。
「管理者がOKを出し、先の建造物侵入に該当しないと考えられる場合でも、同条例違反と判断される可能性があります。世論などの状況から、性自認とは違う性別の浴場に立ち入ることが許容されるのかどうか、という観点が重要です。
性転換を受けた人が“元の性別とは違う浴場に入ることができる!”という世論が確立されていない現状では、同条例が適用される可能性が拭いきれません」
さらにこう続ける。
「この点はこれから立法の場での議論はもちろんのこと、我々個々人も十分な議論を交わし、世論を固めていくべきことだと思います」
渦中の“元男性”は動画でこうまとめていた。
「男から女な人にとって、女湯は男骨格がバレるし、元男だとバレたら色々ヤバすぎる危険スポット。結論としては、私と同じような人も自信もって入っていいんじゃないかなと思っております」
性的マイノリティーの人たちに向けての発信なのかもしれないが、まずはこの動画を見て不快に思う人がいないか、そこに思いを巡らせるべきだったのではなかろうか。
正木絢生代表弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。慶應義塾大学法科大学院卒業。第二