片山萌美

「30歳を迎えたときに、どこかほっとしたんですよね」

 大学在学中の‘12年に『ミス日本』で入賞を果たし、『万引き家族』『ボクたちはみんな大人になれなかった』などの話題作に出演するなど、俳優・グラビアアイドルとして活動する片山萌美。今年10月には32歳を迎え、ますます活躍の場を広げている彼女だが、芸能界に足を踏み入れたのは“興味”がきっかけだった。

俳優業も充実

「私はもともと何かに熱中するような性格ではなくて、大学生のときに仲の良かった友達が生き生きとダンスをしているのを見て、私も一生懸命になれる何かを探そうと思ったんですよね。芸能事務所のオーディションに応募したのも、いろんな業界や仕事を体験してみようと思ったからなんです。幸いにもお仕事に恵まれて、32歳になるまで走ってこれたのかなと」

 グラビアと俳優としての活動を両立しているタレントは珍しい。グラビアに出ることで知名度を上げ、売れたらグラビアを卒業する、という道を選ぶケースが大半だ。片山も、グラビアデビューを選んだのは“顔を売るため”だと過去に話していたが、今でも続けている理由はあるのだろうか。

片山萌美

「グラビアをやることで、広く一般の方々に認知していただきたいという気持ちはもちろん今でもあって、おかげさまでグラビアから私のことを知って下さったファンの方々もたくさんいます。でも、認知してもらったからグラビアやめます、とはなりませんし、何よりファンの方々がまだまだ楽しみに待ってくれている。需要がある限り、これからもグラビアをやっていきたいと思っているんです」

 ファンからの期待に応えたいと思えている背景には、俳優業の充実がある。

「グラビアの印象が付き過ぎちゃう不安もわかります。ただ、私は役者として刑事ドラマや映画に出演し、何の露出もない衣装を着ていろいろな役を演じさせてもらっています。グラビアのイメージを連想させない役をやれているからこそ、自分の魅力の武器の1つとしてグラビアに取り組めているのかなと思いますね」

 そんな片山は、12月12日に3rd写真集『M』を発売した。これまでに刊行された2冊の写真集は、出版社によって発行されているが、今作は所属事務所が制作・発行を担っている。

今回の写真集は、初の自己プロデュース作品となっています。これまで露出度の高い写真集やDVDを何作か出させていただいたのですが、年齢を重ねていくにつれてちゃんとした服を着たいなと思い始めていたんです。これまでの作品はそもそも露出をメインに衣装やロケーションを考えていたので、なかなか自分の理想とする撮影ができず、男性読者が好むようなコンセプトの撮影がほとんどだったんですね。撮影の際にこちら側から理想とするイメージを提案しても、どうしても100%実現できているとはいえなくて、それならもう事務所で作ろうってことから制作が始まりました」

 自身で写真集のプロデュースを手掛けることで、新たな発見もあったという。

20代が終わる焦りもあった

「これまでの撮影では求められたものをとにかく全力でやりきることに集中すればよかったんですけど、今回の写真集は“私がやりたいこと”からスタートしているので、自分から周りのスタッフの方々に提案していく必要がありました。自分が本当に求めてるものは何なのかを考える作業は結構大変で、やっぱり求められて指示を出される方が楽なんだなってよくわかりました。でも、ようやく納得いくまで作品にこだわれたという達成感がありましたね

 メディアでの露出が増えている片山だが、その私生活はあまり世間には知られていない。

「結構インドアな人間なので、ミステリアスに見えちゃうところがあると思うんですよね。頻繁に旅行に出かけたり、外食したりするわけでもないのでSNSに載せられる写真もなくて……(笑)。でも自然は好きで、最近は特に宇宙にハマってます。ぼーっとしたいとき、無になりたいときにYouTubeで星空のライブ配信を観たりしてますよ」

 芸能人がSNSで自らの私生活の紹介をし、発信していくというのはスタンダードになりつつあるが……。

片山萌美

「他の人の生活を、例えばジムの動画やコスメの動画などを見るのは好きですが、自分から発信するとなると抵抗感を感じてしまって……。努力している姿を見せたくないと、心のどこかで思っているのかもしれません。それでも“私生活を見たい”と仰ってくれるファンの方もいるので、インスタグラムを頑張って更新するようにしています」

 “他人にこう思われたい”“自慢したい”といった意識は感じられず、片山には“自然体”という言葉がぴったり当てはまるのかもしれない。しかし、そんな彼女にも切羽詰まっていた時期があった。

今振り返ると20代後半は精神的に余裕がなかったなと。20代が終わってしまうという焦りで、周囲からのプレッシャーがあったわけではないのに、勝手に自分で自分を追い込んで苦しくなっていました。だから、30歳を迎えたときにどこかほっとするような気持ちになりましたし、結婚や子ども、健康など考えるべきことは多くはなりましたが、仕事に関しては昔よりも余裕が出てきたと思います」

 余裕が生まれたことで、仕事に対するモチベーションにも変化が生まれた。

「20代はフレッシュさを押し出してがむしゃらにやってきました。そこでいろんな経験を積ませてもらったからこそ、これからは違う必死さで取り組まないといけないと思っています。仕事のオファーの内容が20代のころと変わらなかったとしても、ちょっとした何かにこだわって頑張っていきたいですね。そういった意味でも、今回の写真集は30代のスタートにふさわしい作品になっているので、ぜひ多くの人に手に取って頂きたいです」

片山萌美の写真集『M』のカバー写真


片山萌美(かたやま・もえみ)

1990年10月1日生まれ。東京都出身。2012年『ミス日本』ネイチャーを受賞後、翌年に女優デビュー。近年の主な出演作に『ばるぼら』(20/手塚眞監督)、『万引き家族』(18/是枝裕和監督)。ドラマ作品では「警視庁強行犯係 樋口顕」シリーズ(22/TX)、『99.9刑事専門弁護士』(TBS/21)『全裸監督シーズン2』(21/Netflix)など。

※12月12日の写真集『M』発売に際して、18日には青山ブックセンターでサイン会を開催。25日には1対1のオンライントークイベントを、15日にはブックファースト新宿店で特典会イベントも開催予定。