現在放送中のテレビ朝日系ドラマ『科捜研の女』。主人公の榊マリコを沢口靖子が演じ、'99年から始まった同シリーズは、今作で22シーズン目へと突入している。
「テレビ朝日では『相棒』に並ぶ看板ドラマとなっていて、幅広い層の視聴者に支持されていることが長寿の秘訣でしょうね。しかし、制作費カットが進む昨今のテレビ業界において、長寿番組とはいえ立場は安泰ではなく、『科捜研の女』の“打ち切り報道”が出たこともありました」(テレビ誌ライター)
前シーズンの放送が始まった昨年10月、一部週刊誌では、視聴者の若返りとコストカットを図る目的で、シーズン21の最終回をもってドラマが終了すると報じられた。
「実際には木曜8時から火曜9時へと番組枠が移動し、ストーリーを一新した形になりました。ドラマが終了せず、安堵したファンも多いでしょう」(同・テレビ誌ライター)
だが、そもそも“打ち切り”の原因とされたコスト面での問題は解決していない。
「京都にある東映の撮影所で撮影しているので、出演者の交通費や滞在費でコストがかさむんです。制作費削減に取り組んではいますが、メインキャストの宿泊費でさえ1日7000円までしか支給されず、マネージャーに関しては基本的に交通費も支給されていません。そこまで切りつめなければならないほど、懐事情は厳しいみたいなんです」(制作会社関係者)
沢口が“卒業”の意味
制作費削減を迫られる中で、なんとか新シーズンへとこぎつけたわけだが、気になるのは今後の『科捜研の女』だ。
「現場では、沢口さんの今シリーズ限りでの卒業が、既定路線になっていると聞いています。制作陣は、すでにその方向で調整を始めているそうですよ」(テレビ朝日関係者)
『科捜研の女』が終わりを迎えるXデーは、徐々に迫ってきているようだが……。
「実は番組の終了ではなく、沢口さんが抜けたあとも冠はそのままでドラマを継続していくという噂があるんですよ。だから、現場では“卒業”と表現しているみたいで。来年のうちのドラマ枠は全部埋まっているから、今すぐに新しい『科捜研の女』を制作することはできないと思いますけどね」(同・テレビ朝日関係者)
コラムニストで、本ドラマの大ファンとしても知られるペリー荻野さんに、沢口のいない『科捜研の女』をどう思うか、話を聞いた。
「沢口さん演じるマリコあってこそですから、卒業されるのであればショックですよ……マリコのおとぼけさが一番の魅力だったので。リニューアル後は、それがあまり見られなくなって寂しく思っていたのですが、ドラマが継続されるのなら、ある意味では“橋渡し”なのかなと。突然、沢口さんが卒業してドラマのテイストがガラッと変わってしまったら、ファンとしては受け入れにくいですからね。次の科捜研の女を担う方が、安心してスタートを切れる下地を作ってくれているような気がします」
テレビ朝日に沢口の卒業について問い合わせたところ、
「今後の編成に関してはお答えすることはありません」
との回答だった。
『相棒』に続き、次は『科捜研の女』後任候補の予想合戦が始まるかも?
ペリー荻野 時代劇研究家、コラムニスト、ラジオパーソナリティー、放送作家。愛知教育大学在学中に中部日本放送でラジオパーソナリティー兼放送作家として活動を開始