12月11日放送の『中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞2022』(フジテレビ系)にも出演、まさに“今年の顔”としてオフシーズンも引っ張りだこになりそうな東京ヤクルトスワローズ・村上宗隆選手。
王貞治さん超えのシーズン56本の本塁打記録に、史上最年少の三冠王獲得の活躍ぶりが認められて、『ユーキャン新語・流行語大賞2022』でも【村神様】が年間大賞に選ばれたのも納得というべきか。
ところが、この【村神様】が大賞どころか、トップ10にも、ノミネートすらされなかった“流行語大賞”がネット上で話題になっている。『集英社オンライン』が12月7日に配信した記事『あなたが思うホントの流行語大賞2022』での結果発表だ。
なんでも同編集部が独自調査したというアンケートで、11月下旬にネット投票、そして街頭調査にて選ばれた“ホントの流行語”をランク形式でまとめたもので、16歳から60歳までの幅広い声が届いたようだ。そしてタイトルに添えられた《忖度はありません》との文言がなんとも頼もしい。
トップ10のランキング結果を見ると、投票を行ったのがサッカー・ワールドカップ開幕後とあって、ドイツに歴史的勝利を収めた日本代表チームによる【ドーハの歓喜】が10位。毎回、スクランブル交差点が大騒ぎになる渋谷でも調査したことが手伝ってか、サッカー熱が高かったようだ。
寄せられたアンケートの声では、《「直近過ぎるかもしれませんが大ニュースですよね。日本中が喜んでいるし、世代的に『ドーハの悲劇』が頭にあったんで、『ドーハの歓喜』は素晴らしい言葉だと思います」(42歳男性・自営業)》
両大賞で唯一、選ばれた流行語
ワールドカップ関連では、長友佑都選手がチームをたたえた言葉【ブラボー】も第2位にランクインと、日本中が沸いたタイムリーな話題、言葉が選ばれたのは当然と言えよう。
同率10位には、北海道日本ハムファイターズの応援ダンスとして話題になった【きつねダンス】。こちらは新語・流行語大賞でもトップテン入りしたのだが、双方で選ばれたのはこの【きつねダンス】だけ。どうやら、本当の流行語大賞とは全く別物になりそうだ。
そして注目したいのが同率7位に輝いた【ちゅきちゅきポーズ】と【菅井友香卒業】。前者はジャニーズアイドル『なにわ男子』大西流星が考案したとされるザ・アイドルポーズを指し、後者はアイドルグループ『櫻坂46』元メンバーで11月9日に卒業した菅井友香のこと。
【ちゅきちゅきポーズ】には《「TikTokやInstagramで今年1番見たポーズだと思います。若い子で知らない子はいないし、みんな一度はしたことありそう」(20歳女性・大学生)》。
菅井の卒業には《「櫻坂46にとって初となる東京ドームでの卒業セレモニー。自分も行ったんですけど泣いちゃいましたね。今年泣いたのはそれだけなんで1番印象に残っています」(22歳男性・大学生)》と、アイドルファンの票が入ったようだ。
「なにわ男子、そして櫻坂と人気グループなのは間違いないところですが」と首を傾げるのは、トレンド事業に精通する広告代理店営業スタッフ。
「一部の世代やカテゴリでよく使われる、流行った言葉でも、多世代や一般的には知られていない言葉が入るのは“本家”も同様で、正直、初めて聞いた方も多いと思います。この世代間のギャップが浮き彫りになるのも流行語の特徴かもしれません。
それと集英社さんのアンケート調査ですが、サンプル数としては少なめの300人。例えば街頭調査の場所や世代、アンケート対象者が1人か、それとも友人グループに聞いたかでかなり変わるランキングにも思えます。上位ランクインした流行語にも多少の偏りが見られる気も(苦笑)」
上位に食い込んだ漫画作品
その上位選ばれたのは5位の【ちいかわ】。イラストレーター・ナガノ氏による漫画作品『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』のことで、SNSで火がつきアニメ放送もされている人気作。
《マンガがかわいくて毎日更新されるのを楽しみにしているんです。今年に入ってアニメも始まったので、私的にはこれが1番の話題です」(20歳女性・フリーター)》と、かわいらしい絵柄だけに20代の若い女性から多くの支持を得ているよう。
そして4位に【チェンソーマン】、3位に【SPY×FAMILY】と、こちらもアニメ化された漫画作品がランク入りしている。
【チェーンソーマン】には、《「周りの子もみんな見ているしED曲が若い人向けで毎度気になってますね。チェンソーマンのコスプレを検討している友だちもいますよ」(19歳女性・大学生)》
【SPY×FAMILY】には、《「会社の若い子たちみんな見てますね。サブスクのおかげで空いた時間に見れていろんな人に話題を合わせられてます」(44歳男性・会社員)》と、それぞれに10代から40代の男女が回答。幅広い世代から人気のようだが、
「『チェンソーマン』と『SPY×FAMILY』は共に『週刊少年ジャンプ』、ジャンプ関連雑誌で連載中の人気作。アンケートを回答する際についつい“集英社”という文字をつい意識してしまったのでしょうか(笑)。
ちなみに『ちいかわ』作中で使われているセリフが“ちいかわ構文”として大バズりしたのですが、その中の“〇〇ってコト!?”が『SNS流行語大賞 2022』に選ばれています。版元はライバル会社の講談社さんですが(笑)。
まあ、この『ホントの流行語大賞』で本当に注目すべきなのはランキング1位。本家でもノミネートの期待が高かっただけに、よくぞ忖度しないで選んでくれたとは思います(笑)」(前出・広告代理店営業スタッフ、以下同)
【け○あな確定】は場が和む言葉
ワールドカップやアイドル、そして人気漫画作品を抑えて栄冠に輝いた流行語とは【け○あな確定】(注、編集部伏字)だった。
《「少し好きだったからショックでしたけど、みんな面白がって使っているのを見ているうちになんだか慣れてきてしまいました」(20歳女性・大学生)》
《「自分の職場は男ばかりなんで同期や後輩、仲のいい先輩にまで使ってます。遅刻した人に使うと場が和むかなって」(25歳会社員・男性)》
2022年9月に『文春オンライン』が報じた、巨人・坂本勇人選手の醜聞。元交際相手 の女性との間で起きた中絶トラブルがすっぱ抜かれたのだが、クローズアップされたのが、女性に送ったとされるLINE文面。
その中でも強烈なインパクトを与えたのが【け○あな確定】で、ツイッターのトレンドに上がるほどの賑わいぶり。アンケート回答にもあるように、日常生活でも使われたとあっては当然、ネット上で“流行語大賞は間違いない”と盛り上がったのも無理はない。
ところが、蓋を開けてみれば、大賞に選ばれたのは同じ野球部門の【村上様】で、【け○あな確定】はノミネートすらされずじまい。
ネット用語や“スラング”は選考外か
「まあ、当然と言えば当然なんですが(笑)。“今年の新語・流行語は【け○あな確定】です!”と言えるはずもありませんから。でも、SNSやLINE、掲示板等を含めたネット上では何かミスをした時に、ごく当たり前のように“け○あな確定な”と日常づかいされている現実があります」
たしかに普段の生活において「よっ、村神様!」などと使う機会はほとんどなく、一方で、友人同士の会話で「け○あな確定な」は使いやすいかもしれない。世間に広まった新語・流行語としては理にかなっているように思える。
「毎年のように野球関連がやたらとノミネートされるように、かねてより審査に偏りがある、忖度があるとも指摘されがちな『新語・流行語大賞』。名だたる“言葉のプロ”が審査員を務めていますが、正直なところ平均年齢はかなり上で、ネット上の流行語や“スラング”、品のない言葉は選考から除外されているように見えます。
結果、ネットユーザーからは支持されるはずなく、忖度をしない“ウラ流行語大賞”ばかりが目立ち、面白がられるのだと思います。彼らに言わせれば“新語・流行語大賞は、け○あな確定な”ということ」
この際、ネット流行語部門を設けてみてはどうか。