1月8日からNHK大河ドラマの新作『どうする家康』(日曜午後8時)が始まる。主人公の徳川家康を嵐の松本潤(39)が演じる。放送開始前に予習を済ませておきたい。
松潤主演の『どうする家康』をスタート前に予習!
まずはタイトルの理由から。武芸がまるっきりダメだった家康が、岐路に立たされたとき、悩みつつも正しい選択を行い、天下統一を果たすまでの姿を描くからだ。家康は戦乱の中で選択を迫られ続ける。
次にどうして松潤が家康なのか。「イメージと違う」という声があちこちから噴出している。無理もない。日本人の一般的な家康像は「タヌキおやじ」「老獪なじいさん」「陰気な武将」なのだから。
だが、今回は家康のナイーブな内面や、戦を嫌っていたところ、オタク気質だったことなどをクローズアップするので、松潤にはハマリ役になりそうなのだ。少年期には人形遊びが好きだったという家康の意外な一面も描かれる。
家康がNHK大河ドラマの主人公になるのは1983年の『徳川家康』(主演・滝田栄)、2000年の『葵 徳川三代』(同・故 津川雅彦さん)に続き3作目だが、今回はタイトルも内容もちょっと軽い。家康のイメージをガラリと変える作品になるはず。それでも無論、史実から大きくは逸脱しない。
第1話のストーリーはこうだ。家康は1542年、三河(愛知県東部)の小国・岡崎城主である松平広忠の長男として生まれた。けれど、お坊ちゃま暮らしは長く続かない。5歳の時、広忠と対立した尾張(愛知県西部)の織田信秀の人質になってしまう。広忠の領地を信秀に攻めないでもらうためだった。織田信長の父である信秀は藤岡弘、(76)が演じ、信長は岡田准一(42)が演じる。
その2年後、広忠は駿河(静岡県中部)の有力者・今川義元のバックアップを受け、信秀から家康を奪い返す。やれやれと思ったら、今度は義元が家康を人質にしてしまった。このため、家康は広忠と母・於大の方の愛情を知らずに育つ。いくら乱世とはいえ、哀れだった。義元は野村萬斎(56)、於大の方は松嶋菜々子(49)が演じる。
家康にとって、せめてもの救いは義元が穏やかな教養人だったこと。民のための政治を目指す理想主義者でもあった。義元は賢い家康を大切に扱い、幅広い教養を身に付けさせる。家康も義元を尊敬し、慕った。
第1話はまだ続く。家康は15歳になると幼い頃からの遊び仲間だった瀬名と結婚。家康の初恋の人で相思相愛だった。瀬名の父は筆頭家老として義元を支える関口氏純。氏純はエライ人だったから、家康は人質から一転、義元の有力家臣の1人となる。逆玉だ。瀬名は有村架純(29)、氏純は渡部篤郎(54)が演じる。
家康と瀬名の間には長男の信康と長女の亀姫が生まれた。ここまでの2人の結婚生活は幸せそのものだった。信康役には寺島しのぶ(49)の長男で美少年として知られる寺嶋眞秀(10)が起用される。寺島も語りを担当する。
だが、間もなく家康一家の運命は暗転する。家康が18歳だった1600年、義元と織田信長軍が衝突した「桶狭間の戦い」が起きたためだ。義元が信長の領地である尾張東部に攻め込んだ戦いだった。
戦が嫌いな家康も義元の命を受けて参戦したが、役割は大高城(名古屋市)への兵糧補給という軽いものだったのでホッとする。食料の補給役だ。おまけに兵力は義元のほうが圧倒的に上だったので、そう難しくない任務のはずだった。
ところが、大高城に入るためには信長軍の砦を突破しなくてはならなかった。家康は圧倒的に経験不足にもかかわらず、家臣たちを率い、戦うことになる。ここで「どうする家康」となる。
その後も家康は岐路に立たされ続ける。楽勝であるはずの桶狭間の戦いで義元がまさかの戦死を遂げてしまい、信長から同盟を結ぶことを持ち掛けられたためだ。再び「どうする家康」だった。
家康は結局、郷里の三河を守るために信長と同盟を結ぶ道を選ぶ。住み慣れた駿河を捨てた。今川家を裏切る形になるから、苦渋の選択だった。また、これにより、駿河に残した瀬名と義父・氏純の立場はなくなってしまった。2人ともピンチだ。またしても「どうする家康」となる。
2014年の『軍師官兵衛』で主演した岡田が助演にまわるのだから、豪華キャストである。ほかの出演陣も主演級がズラリ。
家康、信長とともに戦国3英傑である豊臣秀吉役をムロツヨシ(46)、戦国最強の武将とされる武田信玄役を阿部寛(58)、家康が最も信頼する家臣・石川数正役を松重豊(59)、家康の懐刀・服部半蔵役を山田孝之(39)、家康の側室で徳川幕府2代将軍・秀忠の母である於愛の方役を広瀬アリス(28)信長の妹で家康の生涯に深く関わるお市の方役を北川景子(36)がそれぞれ演じる。
NHK大河ドラマの高額出演料
出演料だけでも途方もない金額になりそうだが、大河の制作費はNHKの「収支予算と事業計画の説明資料」を閲覧すれば類推できる。昨年の『鎌倉殿の13人』は1話当たり平均7900万円。『
民放1時間ドラマの平均3000万円と比べたら2倍以上であるものの、美術も衣装もやたらと凝っている上、出演陣もオールスターだから、これくらいはかかる。
7900万円が高いと思うか妥当と考えるかは人それぞれだろうが、大河と連続テレビ小説は期待を裏切らないものにしてほしいというのが視聴者側の共通する本音ではないか。
松潤はNHKを通じ「大河好きの方はもちろんのこと、若い世代の方にも楽しんでいただけるようなエンタテインメントをお届けできるよう一生懸命やらせていただきたいと思います」とコメントした。
NHK側も同じ思いだろう。だから脚本は古沢良太氏(49)に任せた。古沢氏は中高年以上の支持が厚かった映画『ALWAYS三丁目の夕日』(2005年)を書く一方、若者に人気だったフジテレビ系連続ドラマ『コンフィデンスマンJP』(2018年)を執筆したヒットメーカーである。シリアスもコメディも得意。新旧の大河ファンのどちらも喜ばせられるのではないか。
ちなみに『青天を衝け』の第1話の視聴率は世帯20.0%、個人12.5%。同じく『鎌倉殿の13人』は世帯17.3%、個人10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。日曜午後8時台の番組で断トツだった。
さて『どうする家康』はどうなる?