「勝田台小学校の体育館に爆弾を仕掛けた」
9月30日午後2時4分から同5時38分にかけ、千葉県警八千代署に男の声で計5回の爆破予告電話が続いた。同署は約30人態勢で名指しされた小学校や公園などをくまなく捜索したが、不審物は見当たらなかった。
「小学校に爆弾仕掛けた」計5回の爆破予告
「児童を不安にさせないよう“爆弾”の言葉は使わず、“学校にいたずらをされた可能性があるのでお巡りさんが調べてくれています”と説明しました。保護者には一斉メールで下校が遅れる旨を連絡し、安全確認がとれたのちに集団下校させました」(同小校長)
約2か月後の12月6日、ウソの110番通報で小学校や警察の業務を妨げたとして威力業務妨害の疑いなどで逮捕されたのは、小学校の近くに住む自称自営業・阿部一貴容疑者(59)。容疑を否認している。
「公衆電話を移動して通報を繰り返しており、周辺の防犯カメラ映像を分析するなど地道に捜査を進めて通報者を特定した」(捜査関係者)
容疑者は、爆破予告の約30分前に同小敷地内にゴミ入りのビニール袋を投げ込んでいたとして、不法投棄の疑いで犯行翌日には逮捕済み。さらに複数の窃盗容疑で再逮捕を重ねてきた。
自宅はゴミ屋敷。庭先に枯れた植木鉢や自転車、車イス、汚れた衣服や空の酒瓶、国旗、スーパーで使うカゴなどが雑然と集められていた。
昔からの住民らによると、約36年前に県内から引っ越してきた当初は両親と弟のごく普通の4人家族だった。父親が病死し、母親もずいぶん前に亡くなり、弟が自立してからひとり暮らしが長かった。
「厄介者として超のつく有名人。もとは読書家で生花店を自宅で営んでいたが、約2年前から酒に溺れておかしくなった。小学校の登校時間になると、大きなベトナム国旗を横断旗代わりに振り回し、気に食わないと“おい、クソガキ!”と怒鳴り散らす。自分はミュージシャンだとうそぶき、ギターを背負って自転車で出かけ、公園のベンチでポロンポロンと弾く。いつも酒瓶を片手に酔っているし、チューニングもしないから音楽と呼べる代物ではない」
と近所の男性。
早朝の公園でラジオ体操する地域住民のそばで木刀の素振りをし、別の公園に寝泊まりして水場で洗った衣服を滑り台に干す。自宅の水道は止められていたようだ。
服装が独特で、
コートの下に女性用下着をはいて…
「網タイツやストッキング、超ダメージのズボンをよくはいていた。後ろがざっくり破れてノーパンなのかお尻が丸見え。コートの下に紫色の女性用下着をはくときもあり、しゃがむと丸見えで不快だった」(近所の住民)
警察沙汰は日常茶飯事。
別の地元住民はこう話す。
「事件前から小学校正門前のプランターの花が無断で引っこ抜かれ、別の花に植え替えられる事例が続いていた。フラワーコーディネーターを名乗る阿部が“自分が花をコーディネートする”と言い張り、学校側が丁重に断っても聞く耳を持たなかった。事件当日の朝もまた植え替えられたため、学校側は“これで最後にしてください”とお願いしており、癇に障る言い方はしていないらしい」
植え替えた花について、近所の公園から盗んだ花ではないかと疑う声が出ている。
「盗んだ花などを売っていると以前から噂されていた。開店祝いの花のスタンドから単価の高い花だけ抜き取られ、同じ花が容疑者の店で安く売られる偶然が続いた。同業店で花を万引きして見つかったこともある」(地元の商店主)
近隣宅の鉢植えを盗んだ疑いも。何度も盗まれた住民が鉢植えの底に名前を書いておいたところ、容疑者宅で見つかった。容疑者は「道端に落ちていた」と言い張った。
あだ名は“網タイツのおじさん”
サッカーをする子どもたちに「仲間に入れて」と頼んで一緒にプレーしたり、紙を渡して「ウクライナの国旗を描いてみて。わからなかったら何でもいいから」と変な絡み方をして記名を求めたり。個人情報を教えたくなかった少年が、自分の名前を「とんかつ」と書いたところ激怒したという。
高校時代は県内の強豪校でサッカーをしていたという容疑者。子どもたちは陰で“網タイツのおじさん”と呼んで警戒していた。