川口春奈、SnowMan目黒蓮

 今期、感涙必至と話題沸騰中の木曜ドラマ『silent』(フジテレビ系)。放送後はTwitterトレンド1位を獲得したり、見逃し配信再生回数が歴代最高を更新するなど、さまざまな社会現象を巻き起こした本作が今週ついに最終回を迎える。そんななか、脚本を務める生方美久氏の“ある発言”が国内外で波紋を呼んでいるようだ。

 ドラマ『silent』は切なくも優しい世界を描いたラブストーリー。主人公の紬(川口春奈)は、かつて本気で愛した高校時代の恋人・想(目黒蓮)と8年の時を経て偶然の再会を果たす。しかし、久しぶりに再会した彼は耳が聞こえなくなっていた。

 障がいを患ってしまったことで自分の殻に閉じこもってしまった想と、彼に寄り添い、ともに乗り越えていこうとする紬。音のない世界でもう一度出会い直すことになった2人と、周囲の人々の人間関係や心の動きが丁寧に紡がれた物語なのだ。

 本作の魅力の1つには、脚本の作りこみの深さがある。恋愛の切なさだけでなく、細やかな伏線や考えさせるような内容で、多くの視聴者の心をつかんできた。また、弱冠29歳の脚本家・生方氏は木曜劇場という伝統のある枠にて、完全オリジナル作品での脚本家デビューを飾ったことでも脚光を浴びている。

 問題となっているのは12月18日放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)というトーク番組での発言だ。出演者は『silent』のプロデューサーである村瀬健氏、演出家の風間太樹氏、そして脚本家の生方美久氏の3人。作品に関するトークを繰り広げた3人だったが、トークテーマは“生方氏が海外ドラマにハマらない理由”に移った。そして、このように語ったのだ。

「ぶっちゃけ海外って興味ない」

韓国ドラマとか洋画がそんなハマらない理由って日本語が好きだから

 そして、自身のドラマが"日本語”で語られることの意味を説いてみせた。

『silent』とかまさにそうですけど、日本語じゃないと繋がらないものってあるじゃないですか。同じ言葉だけど違う意味で使うシーンとか、人によって違う意味で捉えられる言葉とか、日本語じゃないと意味がないものを私使ってて。もし海外で翻訳されて出たら、この意味って海外の人には伝わらないんだっていう悲しさがある。

 日本のドラマとして、日本語の良さ、面白さ、ある意味残酷さみたいなものを書きたいから、ぶっちゃけ海外って興味ない。海外で配信とかされても“あ、すごいんだおめでとう”って思うだけで、すごい嬉しいとかぶっちゃけない

 そして、このように締めるのであった。

日本人っていうか、日本語が分かる人に観てほしい


 製作陣の対談企画ということで「製作の裏側が聞けて嬉しい」という歓喜の声もある一方で、これらの発言が聞き捨てならないと戸惑う人々も……。

「障害があってもその障壁を越えて分かり合おうっていう話なのに、今回の発言は残念過ぎる」

「最終話楽しみにしていたけれど、なんか萎えた」

「脚本家がこんな発言するなんて…ドラマの内容が良いだけにガッカリです」

 ただ、擁護派も多いようで、

「慣れないところでしゃべって、言葉のチョイス間違えただけでしょ」

「逆に好きな海外の作家が『日本人に向けて書いてない』と言ってるって知ったとしても、好きなら読み続けるし、可能ならその人の母語を勉強すると思うんだけどなぁ」

「むしろ、『脚本家さんがそこまで言うならこのドラマ好きだし日本語をもっと勉強してもっと深く理解できるようになろう!』ってきっかけになる気がするし、そう受け止める世の中であってほしい」

「喋りのプロじゃない人が宣伝のために人前に出されて、そこまでの責任はないと思う…さすがに酷だよ」

 とネットの過大解釈を批判するコメントも相次いでいた。

トーク動画が切り取られ海外で炎上

 物議を醸したのは、日本国内だけではない。トーク動画の一部が切り取られTwitterに投稿されたことをきっかけに、日本語ができる韓国人によって拡散され韓国で炎上してしまっているようだ。

 実際に現地のSNSでは、このような声が上がっている。

「トーク番組を編集する時点でこのシーンを切らなかったり、海外ドラマにハマらない理由という題名を平気で付けている編集者もグローバルではない」

「日本人=日本語=美しさを分かってくれると考えている時点で閉鎖的。自分が見ている世界が全てだと思ってるのかな、他の国の言語を勉強した事がないんだろうね」

「日本特有の情緒を理解してもらおうという考え方が古い。このまま鎖国状態で生きてれば?」

「自国民しか理解できないと言っている時点で、日本という国の民度と、グローバルから後れを取っていることを如実に表している。だから後進国って言われるんだよ」

「日本のコンテンツが海外のものよりも明らかに力がないのは事実かもね、それを認めたくないだけだよ。韓国ドラマはお金も掛けて、外国に出る前提で作っているから意識が全然違う」

 などと非難の嵐。どうやら韓国では価値観の違いなどの理由から、日本国内以上の反発が出てしまったようだ。

 12月22日、ついに最終回。どのような結末が待ち受けているか心待ちにしている視聴者もいる多いだろう。注目されているだけに、生方氏に関する議論は今後もしばらく続きそうだ。

 
川口春奈、目黒蓮、鈴鹿央士のオフショットは“すてきすぎる”と大反響(番組公式インスタグラムより)

 

(左から)目黒蓮、川口春奈、鈴鹿央士

 

『silent』のロケ地・世田谷代田駅はファンの聖地になっており、平日でも多くの女性の姿が

 

タワレコ店内にはスピッツコーナーが(ドラマ『silent』ロケ地)