(左から)『ちむどんどん』主演の黒島結菜、『舞いあがれ!』の福原遥

 1961年に第1作目となる『娘と私』の放送がスタートして以来、長年に渡り愛され続けているNHKの“朝ドラ”。朝ドラの視聴で1日のスタートをきっている人も多いだろう。

 長寿シリーズだけあって、朝ドラファンたち独自のコミュニティが形成されつつあるのも特徴だ。Twitter上では朝ドラのタイトルに「#反省会」というハッシュタグをつけて、毎朝ドラマの感想を共有している人たちも近年増加している。

 特に、全く共感できない登場人物たちとムリのあるストーリー展開で酷評を集めた前作の『ちむどんどん』では、『#ちむどんどん反省会』がハッシュタグとして定着。2022度の流行語大賞にノミネートされるほどの勢いをみせた。

感想が「ちむどんどんに引っ張られ過ぎでしょ」

『ちむどんどん』の放送が終了した今でも『#反省会』の熱は衰えておらず、現在放送中の『舞いあがれ!』に対しても、『#舞いあがれ反省会』というハッシュタグが自然発生。放送が終了するや否や、さまざまなコメントが投稿されているのだ。

 酷評ばかりの反省会がお決まりとなってしまった朝ドラだが、『舞いあがれ!』ではどのような評価なのか。放送がスタートして間もない頃の投稿には、

「1人1人の心情が表情をみるだけで想像できる!」

「めぐみさんが一生懸命に舞ちゃんを愛してるのがわかるね」

舞の母親の岩倉めぐみ(永作博美)(NHK朝ドラ『舞いあがれ!』より)

「『守る立場』と『見守る立場』。子どもの成長に合わせて接し方を変えることの難しさを感じました」

「役者さんひとりひとりの演技が深い!これからもリアルさを追及していってほしい!」

 など、好意的な意見が目立っていた。

 本来ならば『#反省会』のタグは作品に対する不満の共有が目的だったはずだが、『#ちむどんどん反省会』の名残なのか、ポジティブな感想についても反省会のタグがついてしまっているようだ。

 ともあれ、視聴者の抱える不安とは裏腹に、快調な滑り出しでスタートした『舞いあがれ!』。中には前作とのギャップが強すぎるあまり、

「こんなに面白くていいのかな? 前作のせいでいつ崩れるか不安です。こんなかたちで“ちむ”を“どんどん”されるとは……」

「これぞ朝ドラ!って感じだね!でもなぜか反省会タグをつけないと落ち着かない」

「みんな作品を褒めてるのに『#反省会』つけるのやめてw ちむどんどんに引っ張られ過ぎでしょ」

 といった様子で、『ちむどんどん』の悪習が抜けきらないファンが続出していた。

新たに生まれた『#ちむどんどん後遺症』

 さらに、その後の『#舞いあがれ反省会』の動向をみてみると、

「試験飛行のシーンはとっても感動しました!期待の浮上までの積み重ねが報われた瞬間でした!」

「みんなの夢を背負って飛び立った舞ちゃんを見てたら泣いちゃいました」

  といったコメントが。しかし数でいえば“称賛の声”は減少傾向気味で、

「くるみちゃん、看護学校行ってるんだからもう少しまともな減量メニュー教えてあげて」

舞の同級生の望月久留美(山下美月/乃木坂46)(NHK朝ドラ『舞いあがれ!』より)

「人力飛行機の作りが不完全すぎてドキドキする」

 など、従来の反省会コメントの方が多く見られるようになった。とはいえ、第4週~6週にかけては概ね称賛の声が続出している。

『舞いあがれ!』が安定した評価を受け続ける一方で、放送がスタートしてから間もなく、どうしても前作との落差を感じてしまう人たちが出現。ついには新たに『#ちむどんどん後遺症』なるハッシュタグが生まれてしまったのだ。

 投稿内容には、

「『舞いあがれ』は面白いんだけど、観終わったあとに『ちむどんどんと比べたら……』って考えてる自分がいることに気づく。なぜか忘れない作品なんだよな」

「1つ1つのシーンで『ちむどんどんだったらここのストーリーは飛ばしただろうな』とか思っちゃって……。なんか作品の基準が『ちむどんどん』になってる気がする」

「ちょっとストーリーで気に入らないシーンがあると、『ここから“ちむどんどん化”が始まるのか!?』と身構えちゃう」

 という具合に、『ちむどんどん』の存在を忘れられない視聴者たちによるコメントが相次いでいた。

8~11週に脚本家が交代すると……

 全体的に低い評価を受けることになった『ちむどんどん』だが、もしかしたら全シリーズの中でも屈指といえるほど、記憶に残る作品に仕上がっていたのかもしれない。

 『朝ドラ』の汚名を見事に返上しつつある『舞いあがれ』。しかし、ここ最近はその評価に陰りが生じているようだ。高い評価を受けていた第1~7週までについては、脚本家・桑原亮子によって制作されている同作だが、8~11週については脚本家が交代。

 航空学校での生活を送る舞たちの様子が描かれるストーリー展開なのだが、

「急に恋愛要素が入ってきたけど、舞の性格的に難しんじゃない? 航空学校っていうシチュエーションならなおさらムリがある気がする」

「なんか台詞回しが軽くなってきた気が……。感謝を伝えるセリフ1つとっても、表現力が落ちてるよね」

「航空学校編になってから素人でもわかるぐらいにクオリティが落ちた。『間』の使い方が不自然に感じる」

 など、厳しいコメントが増加しているのだ。

朝ドラ『舞いあがれ』の脚本家が変わったことに不満を漏らす視聴者(Twitterより)

 そんな実態が影響したのか、第12週からは桑原亮子が脚本家に復帰。桑原が担当した回の放送が終わるごとに、

「ストーリーの核心を突くシーンに的確な尺の長さを当てられているのがすごい!」

「役者は同じなのにもう全然違うドラマになってる。ここからがすごく楽しみになった」

 と、評価が再び右肩上がりに戻っているようだ。

 ストーリー後半を迎え、さらに盛り上がりを見せる『舞いあがれ』。視聴者が納得するほどのクオリティを保ったまま、今後も『#舞いあがれ反省会』というワードがトレンド入りしないことを祈るばかりだ。

 
 
5月上旬、スーパーのレジで寄り添いながらお会計をする黒島と高良健吾

 

高良とスーパーに向かう足取りは軽く、黒島はウキウキした様子だった


 

朝ドラ『舞いあがれ』の脚本家が変わったことに不満を漏らす視聴者(Twitterより)

 

朝ドラ『舞いあがれ』の脚本家が変わったことに不満を漏らす視聴者(Twitterより)

 

 

 

NHK『アシガール-超時空ラブコメ再び-』試写会での黒島結菜('18年11月)