「とても仲のいい親子に見えましたよ。母親は常日ごろから“あの子は末っ子だから、いちばんかわいい”と言っていたし、よく父方の祖父と3人で車に乗って買い物に出かけていた。いったい何があったのか……」
と近所の主婦は首をひねるばかり。
神奈川県警捜査一課と同県警高津署は15日午後7時18分、母親の水野美恵さん(62)の遺体を同日午前中に山梨県都留市の山林へ放置したとして、同県川崎市高津区の自称不動産管理業・水野潮理(しおり)容疑者(26)を死体遺棄の疑いで緊急逮捕した。
山梨県の山林で発見された母親の遺体
「逮捕前日の深夜、被害者の親族が“母親と12日から連絡がとれない”と110番通報。警察が翌日、潮理容疑者に事情を聞いたところ、犯行を自供。警察が山梨県の山林に同行すると、遺体が発見されたため逮捕となった。司法解剖の結果では、手で首を圧迫したことによる窒息死」(全国紙社会部記者)
警察の取り調べに対して、潮理容疑者は
「山の中に捨てたのは事実です」
と素直に容疑を認めているという。
母親と2人で生活していた潮理容疑者だが、以前はゲーム関連会社を経営する父親との3人暮らしだった。
「彼らの部屋は3階ですが、別の階に親族も住んでいた。2階には父方の祖父がいて、母親は毎日、弁当や惣菜を届けていた」(前出・近所の主婦、以下同)
数年前までは同マンション1階に母方の祖父もいて、
「いまは老人ホームに入っているみたいだけど、当時は食事どきに祖父2人を3階の部屋に呼んで、食事を一緒にしていた。そのあと1階と2階へそれぞれ見送りに行ったりと、母親はやさしい人だった」
3階の自宅は家賃10万円ほどだが、“2人の祖父の家賃も容疑者の父親が支払っていたのではないか”とも。
ゲームが当たって儲かっている
「父親は羽振りがよくてね。車も常に2台ぐらいあって、“ゲームが当たって、儲かっている”と口癖のように言っていましたから。性格は親分肌という感じ。別に老人ホームにいるおばさん(祖父の妹)の面倒もみていたみたい」(別の近隣住民)
兄、姉のいる末っ子として生まれた潮理容疑者。幼少期は活発だったようで、
「一家はマンションが建った33年前から住んでいた。潮理くんはマンション前の広い駐車場で、ギャーギャー叫んで遊び回る元気な子だった」(近隣住民)
中学校では勉強がよくできたそうで、
「とにかく頭がよかった。部活は入っていなかったかな。高校は県立の進学校へ入学した」(中学校の同級生)
高校でも成績は優秀だったようだ。
「とくに数学と物理が得意で、よく教えてもらった。ゲームとバイクが好きで、休みには友だちとよくツーリングに出かけていた。ただ、学校が終わっても、あまり家に帰りたくない印象があって、少し気になっていました」(高校の同級生)
大学受験には失敗して挫折を味わう。その後は正社員で働くこともないまま、配送業などアルバイトを転々としていたが、
「自宅を出て横浜市港北区にあるマンションで独り暮らしをしていた。4年前ほど前に結婚して子どもも生まれている」(別の同級生)
容疑者が子どもを連れて散歩する姿はよく見かけられていて、
「いいパパに見えていた。母親もしょっちゅう孫を抱いて、かわいがっていた」(近所の主婦)
だが、2人目の子どもを授かった1年ほど前に結婚生活は破綻、再び実家に戻ってきたという。
「いまでは月に1回、別れた奥さんが子どもを連れて来る程度。潮理くんは寂しかったようですね」(同・近所の主婦)
とはいえ、親子関係は良好だった水野一家。一体なぜこんな悲惨な事件が起きたのか。それは“同居の父親が3か月ほど前に病気で急死したことで歯車が狂い始めた”とは、水野一家の知人。
俺の生命保険はお母さんには渡すな
「父親が遺言を残していて、そこには《俺の生命保険はお母さんには渡すな。子どもたちで分けて管理しろ》と書いていた。母親がそのことを愚痴って話していたのを聞いたことがあります」
父親がなぜ、長年連れ添った妻に資産を分与したくなかったのか。前出の高校の同級生がこんなヒントを口にしていた。
「お母さんはずいぶん昔から精神を病んでいたとも。そのせいか、潮理くんは結構、ガミガミ言われていて嫌だったみたい」
父親が亡くなって収入が途絶えた母親と潮理容疑者は、生活する金に困っていたという。
「潮理くんのバイトの収入では、家賃を払うのがやっと。さらに祖父の家賃や老人ホームの支払いもあるしね。車も軽自動車の1台だけになってしまった」(前出・知人)
警察の発表では、潮理容疑者の容疑はいまのところ死体遺棄だけだが、近いうちに殺人に切りかわるだろう。容疑者と母親の間に一体何が起きたのか、真相究明が待たれる。