兵役義務履行のため韓国軍へ入隊を果たした、大人気アイドルグループ防弾少年団(BTS)のメンバーJIN(本名キム・ソクジン)。JINの入隊に伴いファンが問題行動を起こしたり、デマのニュースが出回ったりと韓国国内では混乱が巻き起こっている。
問題となっているのは『THE CAMP』という韓国軍が運営するWEBサイト。韓国では原則男性に兵役の義務があり、遅くとも28歳までに軍に入隊すると決められている。そこで家族や恋人との連絡を取る手段としての役目を果たしているのが、このTHE CAMPである。
訓練兵の家族や恋人の怒り
THE CAMPは家族や恋人、自分の“推し”などを「会いたい軍人」として登録することができ、訓練兵の食事内容や、除隊日までのカウントダウン日数を確認出来る仕組みとなっている。サイト内には登録した訓練兵へメッセージを直接送ることができる機能もあり、そこへ毎日大量のメッセージが送られているのは想像に難くないであろう。
またTHE CAMP内には『自由掲示板』という場所が用意されており、訓練兵の家族や恋人との意見・情報交換などの場として活用されている。しかし「本来ならば……」と付け足さなくてはならないような状況がJINの入隊によって引き起こされてしまった。
「ソクジン大丈夫?元気に過ごしていますか? 体を大切に、健康で幸せにね」
「私たちのJIN、大好きだし愛してる。私たちも元気に過ごしているから、頑張ってね。愛してるからね!」
「ソクジンに会えなくて本当に寂しい。また会える日がすぐ訪れるように、毎日毎日祈っています。元気で訓練がんばってね!」
「ソクジン、訓練は辛くありませんか?無理しないでね。私たちの愛が少しでもあなたに届きますように」
といったファンからの“愛のメッセージ”が毎日とめどなく掲示板に投稿され、JIN以外の訓練兵へ宛てられたメッセージは下へと追いやられ確認もままならないのだ。これに痺れを切らし怒りをあらわにしているのが、同時期に入隊している訓練兵の家族や恋人である。
「ソクジンって誰? 息子が軍に入隊して以来、THE CAMPを通じて情報を得たりメッセージのやりとりをしていたのに。ソクジンが誰だか知らないけども、彼のせいで無茶苦茶だわ」
「ここは家族が息子たちを軍に送ってから、彼らが幸せになることを祈りながら一緒に頑張ろうと言葉をかけ合う場所です。それなのに、ずーっとソクジンソクジンソクジンソクジン…の名前が出てきて不快です。やめてください。」
「ほどほどにっていう言葉があるのを知らないの? ここは家族達が息子をおくったあとにコミュニケーションを取って、慰め励まし合う場所なんだけど」
「ソクジンって芸能人ですよね? こういった書き込みは事務所のホームページでやってください。迷惑です」
「THE CAMPはBTSのためにあるんじゃない。THE CAMP内でなくて、ファンの集まりでやりなさい。ここでの大騒ぎはやめてください」
など、掲示板内には訓練兵の身内からの苦情が多数投稿されている。しかし、おびただしい数のファンからのメッセージに掻き消され、届かぬ声となってしまっているようだ。
韓国軍が出したコメントにファンが激怒
不測の事態に対し、軍はTHE CAMP内に『BTS ジン A.R.M.Y』(A.R.M.YはBTSファンの総称)という名の掲示板を新設。ファンからのメッセージをその掲示板へと集結させ、ことなきを得る結果となった。
またJINファンの出過ぎた心配はこれだけには止まらない。韓国軍に宛てて、
「食事内容がJINのアレルギーのあるものばかりだから、きちんと配慮してあげてください」
「アレルギーがあるものばかりで、JINはご飯が食べられてないはず。きちんと対処して!」
といった、食物アレルギーが多数あると公表しているJINの“食事内容”への抗議も尽きぬほど寄せられたようだ。
抗議に対し韓国軍は
「彼は幼稚園児じゃないのだから、アレルギーのある食べるのを避けるなど自分のことは自身で管理しています」
といった内容で返答し、ファンが激昂。
「幼稚園児って、どうしてそういう表現の仕方をするの! 私たちをバカにしているの!」
「大切な人のことなのだから気になるのは当たり前でしょ!」
「こういう言い方しかできないから韓国軍はイメージが悪い」
といった韓国軍への批判が増し、火に油を注ぐ結果となってしまった。
そんな中、韓国軍からのある声明が出されたという“デマのニュース”が流れた。
JINの配属先
「THE CAMPへのメッセージが急増した場合、サーバーがダウンすることが懸念される。そのためJINファンへTHE CAMPからのメッセージを自制するようお願いする」と。
実は、これは韓国軍当局と全く関係がない。民間人が勝手に軍からのお願いとして“声明”を投稿し、それが拡散された結果、事実とは異なる情報がもたらされたようだ。後日、韓国軍からは「そのような要請はしていない」と表明がなされ、一応の解決に至った次第だ。
さらに先日韓国メディアがJINの配属先が、京畿道 漣川郡(キョンギド ヨンチョン)にある『陸軍第5歩兵師団新兵教育隊』であると報じた。JINは京畿道でまず5週間の基礎軍事訓練を受け、その後正式な配属先が決まるようだ。
地図上で確認すると京畿道は北朝鮮から目と鼻の先にあり、「最前線」といっても過言ではない場所に位置している。通称「鍵部隊(ヨルセ部隊)」ともいわれる第5歩兵師団は、その位置からもわかる様に、ソウルよりも北に位置し寒さの厳しい場所である。
しかし「北緯38度線から至近」だからJINが特別厳しいところへ徴兵されたのかというと、そうとも言いきれないようだ。12月12日韓国軍が発表した情報によると、JINの配属先は新人教育に特化した部隊で、最新設備を整えた建物で生活をしているという。訓練所までも10分とほど近く、喫煙所も併設。毎日30分間、携帯電話を自由に使用できる時間も与えられ、ファンが心配をするほど困るような生活をしているわけではなさそうだ。
本来であれば28歳までに済ませるはずの徴兵を、ポップカルチャーの分野で貢献したとし、30歳まで入隊延期をすることができたJIN。他6人のメンバーも順次入隊し、3年後の2025年にはグループとしての活動を再開したいとしている。
ファンと韓国軍のイタチごっこ状態が続いているJINの入隊騒動。きっと彼は自分のことで炎上などしてほしくないはずだ。