12月6日に亡くなったアニソン歌手の水木一郎さん(享年74)のTVラスト出演となる『日本歌手協会 新春12時間歌謡祭』(BSテレ東)が、1月3日に放送される。
「11月8日、9日に渡って5ステージ行われた『第49回歌謡祭』の模様が3日の12時から24時にかけて放送されます。水木さんも同イベントに出演しており、これがTVでのラストステージになります」(スポーツ紙記者)
“日本一長い歌番組”の舞台裏
年末年始には各局で大型音楽番組が放送されるが、収録とはいえ総勢 140組以上のアーティストが出演する“日本一長い歌番組”はどのように作られているのか。日本歌手協会の理事長で、番組の司会を務める合田道人氏にその舞台裏を聞いた。
「演歌や童謡、詩吟や浪曲など伝統的なものから、ポップスやオペラまでさまざまなジャンルの歌手の方が出演してくれる、まさに“歌手のためのお祭り”です。新型コロナウイルスの感染が拡大して以降はカラオケでのステージでしたが、今回はフルバンドでの演奏が復活。お正月休みで家族そろって聞いてほしいですね」
大トリの五木ひろし(74)をはじめ、千昌夫(75)や八代亜紀(72)、美川憲一(76)といった大物歌手も多数出演するが、最高齢歌手は91歳というから驚きだ。
「『岸壁の母』で知られる91歳の二葉百合子さんは'11年に歌手を引退したのですが、今年は特別功労賞の受賞も重なり、特別に復活して変わらぬ歌声を披露してくださいました」(合田氏)
合田氏自身は歌手としてもステージに立つほか、放送の構成にも携わっている。
「5ステージのショーを12時間の番組に編集するため、企画段階から出演する歌手のみなさんに、どの曲を歌っていただくかを考えています。コーナーごとに披露していただいていますが、今年は戦争が続くウクライナの応援のため新谷のり子さん(76)には反戦歌である『フランシーヌの場合』を。
ウクライナの国花であるひまわりを意識して、伊藤咲子さん(64)には『ひまわり娘』を歌っていただきました。私も第二次世界大戦に従軍した日本兵の遺書として書かれた詩に自ら曲をつけた『僕は唱歌が下手でした』を披露しました」(合田氏)
ほかにも吉田拓郎(76)が引退したことを受けて、吉田が作曲を担当した森進一(75)の大ヒット曲『襟裳岬』や、風見しんご(60)休業前のラストステージとしてデビュー曲『僕笑っちゃいます』を歌うコーナーなど、見どころ満載だ。
水木一郎さんとの秘話
今回で49回を迎えた『歌謡祭』だが、特に忘れられないものになったと合田氏は振り返る。
「今回の歌謡祭の構成を決めていた昨年9月、ここ数年一緒に司会を務めている森口博子さん(54)から“アニソン特集をやってください”とお願いされて。それでささきいさおさんに『宇宙戦艦ヤマト』、尾藤イサオさんに『あしたのジョー』を。
八代亜紀さんには『残酷な天使のテーゼ』をカバーしてもらうなどいろいろ決めていく中で、“アニソン界のアニキ”である水木さんにも出演をお願いしたところ、快く『マジンガーZ』を歌ってくれることになったんです」
しかし水木さんは昨年7月にリンパ節や脳への転移を伴うステージ4の肺がんを発表していたこともあり、実際にステージに立ってもらえるかはギリギリまで分からなかったという。
「関係者からは“体調次第では、当日来られないかも知れません”と言われていました」(合田氏、以下同)
合田氏の心配をよそに、車いすでステージに登場した水木さんは、合田氏と森口さんと共にパワフルな歌声を披露。
「歌い終わったあと、水木さんは“また戻ってきます”と宣言してくださったのですが、収録してから1か月も経たないうちに旅立たれてしまい……。でも長い歴史のある歌謡祭で、初めて組んだアニソン特集で、一緒に歌えたのは自分にとっても大事な思い出です。水木さんの歌う姿を多くの人に見ていただきたいですね」
1月3日は、テレビの前から離れられなさそうだ。