ユーミンこと松任谷由実

 “ユーミン”こと松任谷由実が12月31日放送の『第73回NHK紅白歌合戦』に登場する。今年で6回目の紅白になるが、2019年から3年連続で特別企画枠での出場となった。

 しかも、その演出が何ともユーミンらしからぬ“特別仕様”の様相でーー。

“彼女たち”が歌う『Call me back』は、10月にリリースされたベストアルバム『ユーミン万歳!』に収録されたデュエット曲。そしてユーミンと歌声を重ねるパートナーというのが……、まあ新しい試みではあるのですが(苦笑)」

 そう寂しそうな顔をするのはベテラン歌手も多く所属する、芸能プロダクション・チーフマネージャー。

 NHKの紅白公式HP内の出場歌手にも記されている《松任谷由実 with 荒井由実》。なんでも東京大学大学院の研究グループと東映ツークン研究所によって姿や歌声が再現された、50年前のデビュー間もない頃の荒井由実、つまりは“AIユーミン”と共演するのだ。

 来年1月で69歳になる彼女が、18歳の自分とステージに立つという斬新な試みだが、2019年末の紅白でも同様の技術が公開された。1989年に亡くなったはずの美空ひばりさんが登場して、披露したのが30年ぶりの新曲『あれから』。

“AI美空ひばり”に向けられた批判

 同年9月放送のNHKスペシャル『AIでよみがえる美空ひばり』にて、最新技術によって誕生した“AI美空ひばり”が紅白に出場したのだがーー、

「ご本人の歌声はもちろん、歌い方やクセなども忠実に再現したパフォーマンスに、ひばりさんを懐かしむ声が上がる一方で、故人の意思を無視して蘇らせたことが“死者への冒涜”に値するといった、倫理観を問うような批判的な意見も多く寄せられたのです。

 ただ、今回は本人も納得しての共演だけに、批判が向けられることはないでしょう。あとは“AIユーミン”がどのレベルまで18歳当時のユーミンを再現できているか、ですね」(スポーツ紙・芸能デスク)

『Call me back』を試聴した前出のマネージャーによると、「デビュー間もない頃の彼女がよく再現できているとは思います」と一定の評価はしつつも、

「それでも、すぐにヴォーカロイド音声とわかるような、歌声にユーミンらしい色や感情、表現力が見えてこないと言わざるを得ないのかなと。近未来を意識したミュージックビデオにしても、本人やAIユーミンの演出を含めて、“こうしなければもう、成り立たないのかな”と聴くほどに悲しくなるような」

近年、囁かれてきた歌声の劣化

 “ポップス界の女王”として長らく日本の音楽シーンを支え、その世界観で多くのアーティストや歌手に影響を与えてきたユーミン。しかし、50年送ってきた歌手人生の弊害か、自身に起きた“変化”もまことしやかに囁かれてきた。

「10年くらい前からでしょうか。ユーミンの特徴である、鼻にかかった独特な歌唱テクニックによって声帯が酷使されたのか、それとも加齢による衰えなのか、コンサートでは高い音がほとんど出ない、また声が裏返ったり、かすれ声になることも見受けられるようになったのです。

 それでも“ユーミン”を求めてコンサートに通う熱心なファンは受け入れられても、紅白などで久々に彼女の生歌を聴いた視聴者にしてみれば、“ユーミン、どうしたの?”となるのも無理はありません」(前出・マネージャー)

 そんな疑念もあってか、2022年も紅白に出場すること、そして“AIユーミン”とのデュエットすることが発表されると、

《ユーミン劣化してるんだよね。過去の名曲の価値が減るものでは無いけど。高音が出なくて機械で加工してるよね》

《えっ!生歌大丈夫??って思ったらAIとコラボね。なるほどね》

《ユーミンの紅白出場とか、不安しかない。もうビートたけし並みに声出てないやん。あ、それでAIと共演か》

 と、“彼女たち”が共演に至った理由を勘ぐるユーザーも。実際のところ、ユーミンの歌声は限界に来ているのだろうか。

18歳の自分に負けない自信がある

「12月16日、17日に岩手県の安比高原スキー場で開催された『SAVE THE SNOW CONCERT』に出演したユーミンですが、共演した平原綾香さんとまではいかずとも、歌声や音域もかなり安定していて、声量も戻ってきているみたいですよ。

 実は、この数年は新たな発声法を取り入れたボイストレーニングにも励んでいたと聞きます。“18歳の自分”とステージに立つことを決めたのも、比較されても負けない自信があるからこそだと思いますよ」

 老舗レコード会社・幹部によると、今年のユーミンに心配はご無用のようだ。そしてユーミンも登場する、紅白終盤のラインナップにも大きな期待を寄せる。

「特別企画の氷川きよしさんに始まり、ユーミン、KinKi Kids、安全地帯、石川さゆりさん、桑田佳祐さんや佐野元春さんらによるユニット、そして紅組トリのMISIAさんに大トリの福山雅治さんと、これぞ紅白という怒涛のラインナップ。

 2018年の紅白フィナーレを飾った、桑田さんやユーミンらのセッションがまた見たいですね。今後も紅白を続けるためにも、音楽界を盛り上げるためにも出演者や演出を若者に寄せるのも大事ですが、やっぱり誰もが知る国民的歌手を見て1年を終えたいものですね」

 2人のユーミンのステージに乞うご期待!