水野潮理容疑者(同級生のAさんより提供)

「お金に困ってあんなことをするなんてありえません」

 そう証言するのは、Aさん。2022年12月15日、母親の水野美恵さんの遺体を山梨県の山林へ放置したとして、死体遺棄の疑いで逮捕された自称不動産管理業・水野潮理容疑者。Aさんは容疑者の高校の同級生であり、“一番の親友”だという。

「12月14日、被害者の親族から“12日から美恵さんと連絡がとれない”と警察に通報がありました。警察が潮理容疑者へ事情聴取をしたところ、犯行を自供。司法解剖では、手で首を圧迫したことによる窒息死という結果が出ました。潮里容疑者は“山の中に捨てたのは事実”と容疑を認めています」(全国紙社会部記者)

 Aさんは事件の報道を目にし、『週刊女性』編集部に連絡してきた。

「事件のほんの数日前にも、一緒にご飯を食べに行きました。今、いろいろな報道が出ていて、憶測で潮理くんについていろいろ言われているのも見ました。仲が良いからこそ、彼を誤解してほしくないんです。だから、本当の潮理くんのことを伝えたい」

“ヤンキー中学”出身だった容疑者

 潮理容疑者とAさんが出会ったのは、高校生の頃。

「潮理くんは、地元のいわゆる“ヤンキー中学”出身でした。でも高校は僕と同じ進学校だったので、まわりにはおとなしい人が多くて。潮理くんは目つきが悪くて身体が大きいから、初めはクラスでも浮いていましたが、すぐに人気者になりました。溶け込めないクラスメイトにも声をかけて一緒に遊んだりするような優しいところがあって、男女問わず周囲にはいつも人が集まっていた。交友関係は、高校を卒業したあとも続いています」(Aさん、以下同)

 ゲーム会社を経営していて羽振りが良かった父親が、約3か月前に急死。それをきっかけに容疑者が金欠状態にあったとされているが、Aさんは「それは絶対にない」と断言する。

「正社員ではありませんでしたが、昼はイベント設営の仕事、夜は送迎ドライバーの仕事を掛け持ち。いわゆる“社長の息子のボンボン”ではなくて、苦労しながらも自分で生計を立てていました。お父さんが亡くなったあとは、ゲーム会社の役員を引き継いで、お父さんが持っていた不動産の管理もしていました。役員報酬もいくらかはもらっていたそうです。友人に数十万円単位でお金を貸していたこともありましたし、お金には困っていませんでした」

容疑者の自宅マンション前には空き瓶などのゴミ袋が並ぶ

 だが、相続問題はたしかにあったという。

「親族と揉めていると相談を受けたことはありました。お父さんの遺言書に“遺産は母親には渡さず、子どもたちで管理するように”と書かれていたそうです。ただ、それにもきちんとした理由があって……」

精神的に不安定だった母親

 父親が懸念していたのが、被害者である母親・美恵さんのことだった。

「高校時代から、お母さんが精神的に不安定だと言っていました。気持ちにムラがあって、ヒステリックになることもあったそうです。潮理くんと一緒に出かけている時も、母親から“心配だから帰ってきて”と連絡が来て彼だけ帰ったことも。でも、潮理くんは家族をすごく大事にしていましたよ。実家をなかなか出られなかったのも、きょうだいふたりが実家を出て、寂しくなったお母さんを安心させるためでした」

 父親の看病や、近くに住む祖父の面倒なども、ほとんど潮理容疑者が診ていたという。

「祖父の食事の世話をしてあげたり、いろいろな支払いも代わりにしてあげていました。お父さんが亡くなる前の1か月間は仕事を休んで、毎日病院に通い詰めていました。最期を看取ることもできて、“めっちゃ疲れたけど、最期まで一緒にいてあげられてよかった”と話していました。お父さんは、そんな潮理さんならお母さんの代わりに遺産を管理できると思ったのでしょう」

親友にだけ漏らしていた本音

 相続問題で母親と争いがあったのだろうのか。容疑者はAさんにこんなことをこぼしていたという。

「俺は別にそんなにお金が欲しいわけじゃないから。こんなことになるんだったらお金はいらないし、穏便に済ませたいんだよね」

 強面の見た目で損するタイプだったという容疑者。Aさんは最後にこう締めくくった。

「本当に優しくて、善悪の判断もできる人だった。でも、まわりに頼るのは下手で不器用だったから、僕らにも言えなかったんじゃないかな……」

 何が潮理容疑者を追い詰めてしまったのか。一刻も早い真相究明が待たれる。


 
水野潮理容疑者(同級生のAさんより提供)

 

高校時代の水野潮理容疑者(関係者より提供)

 

中学時代の水野潮理容疑者(関係者より提供)

 

容疑者の自宅マンション前には空き瓶などのゴミ袋が並ぶ