松重豊

 テレビ離れが進む昨今でも、年末年始は自宅で特番を楽しむという人は多い。特に、大みそかのゴールデン・プライム帯は、テレビ各局の腕の見せどころだ。

《年末年始の数日間、テレ東はこの番組の再放送ばかり流しています。最も劣化が進んだ井之頭五郎を見られるのはこの大晦日スペシャルだけです》

 2022年の大みそか、テレビ東京系では6年連続『孤独のグルメ』が放送される。主役の井之頭五郎を演じる松重豊は、特番に臨むにあたり、自虐まじりにそうコメントを寄せた。

 マンガを原作とする同作は、松重演じる輸入雑貨商が営業先で見つけた食事処に立ち寄り、1人で食事をする姿を淡々と描くグルメドキュメンタリードラマだ。

素顔の松重さんは小食で……

「2012年に放送開始し、シーズン10が12月23日に最終回を迎えたばかりです。大みそかスペシャルの舞台は北海道で、番組のサブタイトルに“食の格闘技”など、他局の特番を意識するかのような要素が散りばめられているのも『孤独のグルメ』らしいユーモアセンス(笑)。放送前から期待が寄せられています」(テレビ誌ライター)

 お酒が飲めない設定の“五郎”だが、食べものに対しては貪欲で、1度お店に入るとこれでもかという量を注文。その食べっぷりは、視聴者をすがすがしい気持ちにさせてくれる。

“腹が、減った”というセリフがお決まりですが、素顔の松重さんは小食で、収録の前夜から食事をセーブし、当日の朝食は抜いてロケに臨んでいるんだとか。年を重ねれば自然と食欲は落ちますし、ご本人にとってはそうとうハードなロケだと思います」(制作会社関係者)

 体当たりの演技に限界を感じているのか2021年のシーズン9放送時には、

《老けました。もう痛々しいから辞めろという声が聞こえてきたら、辞める覚悟は出来ています》

 とコメント。過去にも同様のネガティブ発言を繰り返していることから、降板説も取り沙汰されている。

 一方、制作サイドとしては、なんとしても続けたい理由があるようで……。

松重さんの役者魂はすさまじく、撮影で出された食事は完食します。ドラマの撮影というのは、どうしても撮影時間が予定より長引くことが多い。でも、『孤独のグルメ』の松重さんは、1発の撮影にかけています。なので“食事時間イコール撮影時間”となって、予定より早く進行することが多いんです。アフレコ収録で制作費もかからないため、テレビ東京にとっては手放せない大事なコンテンツになっているんです」(同・制作会社関係者)

 来たる2023年1月に還暦を迎える松重。減退する食欲との“孤独な闘い”は続く――。

店の主人が、昨年になって初めてもらった松重豊のサイン。“ここから出発しました”と書かれている

 

 韓国でも松重主演のドラマ『孤独のグルメ』のファンが多いことからプレゼンテーターに。「全州ビビンバが忘れられないです」と。 撮影/吉岡竜紀

 

『孤独のグルメ』

 

注文した料理をかき込んでいる際の、松重の少々オーバーなモノローグも人気(番組公式サイトより)