見逃し配信の歴代最高再生回数を記録した『silent』(フジテレビ系)。放送終了から1週間以上が経過しているが、いまだにネット上を中心に絶賛の声が相次いでいる。
そんな話題作の影に隠れてしまってはいたものの、同じく今期に放送された『エルピス―希望、あるいは災い―』(フジテレビ系)も、視聴者から高評価を得た作品だった。
新たな“ラスボス役”は瑛太!?
「長澤まさみさん主演の社会派ドラマです。テレビ局の裏側を民放ドラマで描くという挑戦的な試みで、その鋭い切り口や作品としての完成度が、マスコミ業界の人々やドラマファンから支持されました。演者、脚本、演出の3拍子がそろっており、今期ドラマのナンバーワンという声もあるほどです」(スポーツ紙記者)
視聴率や見逃し配信の再生数で大きな話題となることはなかったが、劇中で異彩を放っていたのが“真犯人”役を演じた永山瑛太だ。
「素性のわからない謎の男として長澤さんの前に登場し、ストーリーが進むにつれて疑惑が深まっていくという、重要な役どころを演じました。ドラマ放送前に発表がなく、サプライズ出演だったことで、視聴者に衝撃を与えましたね」(同・スポーツ紙記者)
真犯人役を担った瑛太が本編に登場したのはごくわずかな時間だけ。それでも視聴者からは、
《ちょっとしか出てないのに存在感がすごい》
《あの役は瑛太じゃないとだめだった》
などと、大きな爪痕を残したことが伝わってくる。
「今秋、香川照之さんがホステスへのセクハラ騒動でテレビ業界から離れ、新たな“ラスボス役”は誰かという話題で盛り上がりました。今回の『エルピス』を経て、瑛太さんが有力候補のひとりになったと言えるかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)
得体の知れない怖さ
瑛太といえば、'17年に出演した映画『ミックス。』でコメディ要素の強い演技を見せたり、'21年に放送された『リコカツ』(TBS系)では、硬派な自衛官を演じるなど、“悪役”のイメージはあまりないように思えるが……。
「実は、1月期に放送されたフジテレビ系の『ミステリという勿れ』で、物語のカギを握るミステリアスな役を怪演しています。さらに遡れば、'06年に放送された同局系のドラマ『アンフェア』でも、篠原涼子さんの相棒刑事という設定で出演し、最終話で篠原さんへの復讐を企んでいた黒幕だったことが判明するという、衝撃的な役を演じているんです」(同・ドラマ評論家)
悪役としての瑛太の魅力とは、どのような部分なのだろうか。コラムニストのペリー荻野さんに話を聞いた。
「長ゼリフも言えて、明るく腑抜けた演技もできて、多彩な役を演じられる役者さんだからこそ、普段の明るいイメージとのギャップで悪役の暗さが際立つと思うんですよね。今回の『エルピス』についても、瑛太さんが演じていたから、あのセリフの少なさで得体の知れない怖さを視聴者に植え付けられたのでしょう。しかも、瑛太さんは淡々と悪いことをする、みたいな不気味さを漂わせるので、ドラマに重厚感を持たせてくれるんですよね」
香川が演じてきたような“わかりやすい敵”とは異なる、新たな悪役像を瑛太は打ち出しているということなのだろう。
「役者にとって、悪役を演じることは芸の幅を広げる上で避けては通れないとよく言われますが、瑛太さんはこれまで悪役を含めたさまざまな役どころを担ってこられました。これからどんな悪役をやってくれるのかも楽しみですし、役者としての今後に注目したいですね」(ペリーさん)
'23年はいったいどんな役で、視聴者を驚かせてくれる!?