2022年の大みそかに放送された『第73回NHK紅白歌合戦』。“LOVE&PEACE~みんなでシェア!~”をテーマに、出場歌手たちが1年を締めくくる華やかなステージに登場した。もちろん、その衣装もそれぞれの気合が感じられるものだらけ。
ということで、人気ファッション誌のスタイリングも手がけるスタイリストが、お金がかかっていそうな“高見え”衣装を独自の目線でランキング!
「演歌勢は比較的、お金がかかった衣装に見えましたが、全体的には、小林幸子さんのような“大がかりな衣装”の代名詞という方がいないように感じましたね。今回のランキングでは“紅白のためだけに一から作っていそう”という点を重視しました。次に、既製品にリメイクを加えたもの。既製品を借りてきたように見えるものはなるべく外しました」(スタイリスト、以下同)
1位に選ばれたのは、歌手活動休止前最後の出場となった氷川きよし。紅白の枠にとらわれない“特別企画”枠で、『限界突破×サバイバー』を巨大な不死鳥のセットで歌唱し、“必ず帰ってきます!”と宣言した。
「全身ゴールドのボディスーツは、上から下までギラギラ。さらにマイクにまで細かい装飾がついていて、とにかくド派手。なので、いちばんお金がかかっているのではないでしょうか」
“ポスト小林幸子”はやっぱり演歌勢
2位は水森かおり。松丸亮吾がプロデュースした謎解きを取り入れ、それを解く手がかりとして、曲中に衣装が変化する演出があった。
「最初に着ていたブルーのフレアドレスだけでも十分に高見えなのですが、それを外すと桜の花の装飾がついたピンクのドレスに変わりました。この仕掛けが、お金がかかっていそうです」
続いて3位も演歌界から。往年の名曲『天城越え』を歌い上げた石川さゆりがランクイン! シンプルなセットに鮮やかな赤が印象的だった衣装だ。
「やはり、着物というところで3位にしました。紅組なのであえてこの色を選んだのでしょうし、とても印象的な松の柄で、ひょっとしたら反物からこの日のために作っている可能性もあると思われます。帯や髪飾りなどもかなり高価なはず」
4位は演歌界の貴公子・山内惠介。『ファイターズガール』による“きつねダンス”とのコラボレーションで自らも踊り、会場は大盛り上がり。
「ラインストーンが大胆に施された全身ゴールドのスーツ姿でした。装飾の豪華さだけでなく、素材も普通のコットン地ではない重厚感があるもののように見えました。インナーに着ているベストもキラキラしていて、高見えポイントです」
5位もやっぱり演歌勢。東京スカパラダイスオーケストラの演奏する特別バージョンで、美空ひばりさんの『お祭りマンボ』を披露した坂本冬美だ。
「おそらく、3桁万円はする着物なのではないでしょうか。白地に金の柄が施してあり、シンプルながらも高級感があります」
豪華衣装はジャニーズのお家芸
6位には、テレビ初パフォーマンスとなったTHE LAST ROCKSTARSのYOSHIKIとHYDE。演歌歌手以外では最上位となった。
「みなさん高見えでしたが、中でもHYDEさんが着ていた、黒のコートにボリュームのあるフェザーがストールのようにあしらってあるリメイクが高見え。また、YOSHIKIさんのジャケットも、キラキラのストーンがたっぷりとついていて、絶対に高いだろうなと。ビジュアルもすごくこだわっているのがさすがです」
7位は昨年でデビュー25周年だったKinKi Kidsから、堂本光一。
「ベロアのようなロングジャケットのセットアップに、しっかりと面積をとったストーンが花柄にデザインされています。サイズ感や素材、うっすらと入った刺しゅうのような柄を見る限り、セットアップ自体も一から作って、その上から装飾をつけているように見えました。全体的にジャニーズは手の込んだ衣装が多かったと思います」
続いて8位は、会場全体で“シェー!”のポーズをする演出で一体感をつくり出した、Snow Man。
「7位の光一さんと同じくスーツに装飾が細かくついていて、メンバーによってはアクセサリーやネクタイ、グローブにまでガッツリ。そうとう手が込んでいますし、お金がかかっているのではないでしょうか。スーツも、パターンがひとりひとりで全然違うので、おそらく一から作っているのでは」
9位は、デビュー3年目の初出場となったJO1。デビュー曲『無限大』を歌唱し、一糸乱れぬパフォーマンスを披露した。
「既製品へのリメイクのように見えたので、順位はあまり高くありませんが、かなり手が込んでいると思いました。川尻蓮さんの衣装は、キラキラのストーンと、斜めに垂らしたベルトや肩につけたチェーンなど、特にお金がかかっていそう。メンバーの人数が多い分、トップスはガッツリ作ってパンツは既製品のものを合わせているのではないでしょうか」
5人での出場が最後のキンプリ
そして、10位は“連続してけん玉をキャッチした人の最も長い列”のギネス記録を、見事127人で更新した三山ひろしだ。
「ロングジャケットに複数色のスパンコールがグラデーションのようにつけられています。それ自体は高くないと思いますが、既製品のジャケットにつけている手のかかりようを鑑みて、この順位にしました」
最後に、“高見え”せずとも印象的だった衣装を聞いてみると……。
「King & Princeです。5人での出場は最後になるので、お金をかけた衣装になるのではないかと思っていましたし、ジャニーズは一から作ったキラキラな衣装が多かった中で、キンプリだけはストリート系の衣装だったので、意外でした。既製品をひとりひとりの個性に合わせてコーディネートしていて、ある意味で“紅白っぽくない”のがおもしろかったです。若者向けのアーティストが増え、星野源さんやあいみょんさんなど、普段の歌番組とあまり変わらない衣装での出場も多く見受けられたことに、時代の変化が感じられましたね」
歴史があるからこそ、時代の変遷を感じられる紅白の衣装。早くも2023年の大みそかも楽しみ!