左から青木裕子、田中みな実、吉田明世

 日曜午前の情報・ワイドショー番組としておなじみの『サンデージャポン』、通称『サンジャポ』(TBS系毎週日曜9時54分〜)。2001年10月にスタートした長寿番組で、司会の爆笑問題と個性的なコメンテーター、そしてアシスタントの女子アナによる丁々発止のやりとりで、お茶の間の人気を博している。

 アシスタントは現在の良原安美が8代目。過去には青木裕子(4代目)、田中みな実(5代目)らが担当してきたが、8人中5人がTBSを退社している。局を代表する番組のひとつでキャリアを築きながら、辞めてしまう女子アナが多いのはなぜなのか。クセの強い出演陣が相手の毎週の生放送が過酷で、燃え尽き症候群になってしまったのだろうか?

 そんな疑問を芸能リポーターの城下尊之さんにぶつけてみると、「それは違うと思いますよ。毎日、放送される生番組もたくさんありますし、そちらのほうがよほど過酷でしょう」との答えが。では、退社が多い理由は?

「TBSとフジテレビでは、女子アナはタレント的な扱いという面があり、一定の年齢になるとピークが過ぎたと思われがち。それまでにネームバリューを上げて独立したいという気持ちが強いのでは。『サンジャポ』を担当することで自身のネームバリューが上がったと思うんじゃないのかな」(城下さん)

 特に『サンジャポ』アシスタントは女子アナというよりタレント的なキャラクターが強い。さらに「歴代の特長を見ていくと、“アイドル性&いじられ系”というキーワードが浮かぶ」と語るのは、芸能評論家の宝泉薫さん。

汚れ役ができる『サンジャポ』アナ

「初代の小倉弘子さんは前番組からの流れなので除外して、2代目の海保知里さんからを見ていくと、アイドル性の高い人が選ばれている印象です。それも、地味より派手、きれい系より可愛い系。いじってOKな、いい意味で汚れ系ができる人がアシスタントになっていますね。例えば同期で比べると、歴代の中でも有数のアイドル、4代目の青木裕子さんの同期2人は地味なタイプ。また5代目の田中みな実さんの同期は『ひるおび』などで活躍の江藤愛さん。彼女もアイドル性は高いけれど清楚な癒し系で、王道の女子アナらしさを貫いていますからね」(宝泉さん)

 そして、『サンジャポ』アナたちはいじられ系のアイドル的存在という、女子アナっぽくないタイプであるがゆえに、退社・独立という方向へ。

「ニワトリが先か卵が先か、という話なんですが(笑)。女子アナっぽくない人がアシスタントに起用されるので、女子アナとしては意外と続かない、というか。周りはタレント的なことを色々やらせたくなり、本人もやりたくなる。タレント力が上がったと思いがちなんでしょうね」(宝泉さん)

 だが、『サンジャポ』出身とはいえ退社後も順風満帆間違いなし、とはいかない。退社理由が結婚(2代目・海保知里)や夫の海外赴任(3代目・竹内香苗)などの例もあるが、独立後に芸能界で大きく成功したのは田中みな実くらいだ。

「あの番組のアシスタントになれば目立つので、もっと活躍できると思っちゃうんじゃないかな。退社したら“知名度あるよね”と呼んでくれる人たちもいますし。ただ、独立した後は、本人の実力次第ですからね」(城下さん)

田中みな実と青木裕子の成功

 そして宝泉さんは、「『サンジャポ』は実力以上のものが出る番組では」と語る。

爆笑問題の太田光さんの毒舌やクセの強いコメンテーター陣にいじられて、うまく目立てるんですよね。しかも本人のキャラクターをうまく生かしてくれて、才能として見せてくれる。本人が調子に乗っているような見え方にもなりませんし。他の番組では、なかなかこうはいきません」(宝泉さん)

 そんな歴代アシスタントの中で、印象に残っている人を尋ねると、城下さんは「田中みな実さんでしょう」と即答。

「『サンジャポ』でしっかり存在感を放ち、フリーになってからはMCとしてはもちろん、写真集『Sincerely yours…』の大ヒットや女優業への進出など、彼女はしっかり結果を出していますから。オリエンタルラジオ藤森慎吾さんとの恋愛スキャンダルもありましたが、問題になる類のものではなかったし、その後の活動に悪影響もなかった。やっぱり彼女が圧倒的に印象深いですね」(城下さん)

 宝泉さんは「ミス・サンジャポという意味で」青木裕子を挙げる。

「2005年7月〜2012年12月と期間が長く、『サンジャポ』と女子アナの蜜月を象徴するような存在。アイドル性や女子力など、『サンジャポ』のために存在したような女子アナだったなと思います。余談ですが、爆笑問題と長くやることで芸人というものを学んで、それが芸人・ナインティナイン矢部浩之さんの妻としてやっていく財産になったのかもしれませんね」(宝泉さん)

 そして、この青木、田中と、6代目の吉田明世の退社後を比較すると、三者三様で非常に興味深いものが。

“自分もできる”と思ってしまった

「女子アナの職を全うして、ミセス矢部という次の人生へ進んだ青木裕子さん。田中みな実さんはタレント性と女子アナとしてのスキル=回しのうまさなどで、退社後に大きく開花しました。彼女は別格ですね。ただ、そのあとが難しくなった。彼女を超えるのは不可能に近いので、その次の吉田明世さんには同情しちゃうところもあるんですが、“自分もできる”と思ってしまったのかなと。現在はラジオのレギュラーや絵本など資格を生かした活動をしていますが、フリーになって以降、そこまで成功はしていない印象ですね」(宝泉さん)

 7代目の山本里菜や現アシスタントの良原安美は、どの道を進むのか。あるいはTBSに留まり初代・小倉弘子と同じ道を歩むのか。注視したい。

〈『サンジャポ』歴代アシスタント〉
1代目 小倉弘子 2001年10月〜2002年2月(現在TBS)
2代目 海保知里 2002年2月〜2004年9月(2008年退社)
3代目 竹内香苗 2004年10月〜2005年6月(2012年退社)
4代目 青木裕子 2005年7月〜2012年12月(2012年退社)
5代目 田中みな実 2013年1月〜2014年9月(2014年退社)
6代目 吉田明世 2014年10月〜2017年12月(2019年退社)
7代目 山本里菜 2018年1月〜2022年3月(現在TBS)
8代目 良原安美 2022年4月〜出演中

城下尊之
芸能リポーター。元スポーツ新聞記者。『ルックルックこんにちは』(日本テレビ)『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)『スッキリ』(日本テレビ)『バイキング』(フジテレビ)ほか、出演番組多数。
宝泉薫
アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。

 

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