人気モデルやタレント、有名社長らが移り住んだことで、ここ数年、ネットニュースなどで目にする機会の増えた「ドバイ」。
ドバイといえば、世界中のお金持ちが住んでいる中東の国、という印象。ちなみにドバイは、「国」ではなく、アラブ首長国連邦(UAE)の7つの首長国のうちの1つ。なぜドバイが人気を集めるのか、ドバイ在住のお2人にお話を伺った。
世界中のセレブが集う「パーム・ジュメイラ」に住む
まず1人目は、ドバイに住んで12年目の、元「わらべ」の倉沢淳美さん(55)。倉沢さんはオーストラリア人の夫の仕事の関係で2011年に移り住んだ。当時は、ドバイに関する知識もほとんどなかったために、転勤することに踏ん切りがつかず(2年悩んだそう!)、引っ越してからも現地の生活になじむまで半年ほどかかったという。
「引っ越しをしたのが8月だったんですけど、外の気温が50℃近いなか、連日、住む家を探さないといけなくて。
しかも、その時期がちょうど“ラマダン”(断食を行う期間のこと)中だったんです。その間は屋外で水を飲んではいけないし、お菓子やガムももちろんダメ。ルールは聞いて知っていたけれど、日が沈むまではお店も何も開いていなかったので、48℃くらいある暑さの中を水も飲まずに歩き回って家探しをしたのがとにかく大変でしたね」(倉沢さん、以下同)
ドバイの季節は2シーズン。4月から10月が夏季で、気温が50℃近くまで上がり湿度もとても高い。一方11月から3月の冬季は平均気温が20~25℃くらいで過ごしやすく観光のハイシーズンにもなっている。
「夏は立っているだけで汗ダラダラ、湿度も高いからサングラスもすぐに曇っちゃう。でも、建物の中は冷房がガンガンにきいていて、いまではその環境にすっかり慣れました。スーパーやジムへは夏でも徒歩で行きますし。日本の35℃くらいの暑さだとむしろ快適に感じるくらい(笑)」
ドバイの前はオーストラリアに在住
ドバイの前はオーストラリアに15年以上住んでいて、英語も日常会話ならペラペラの倉沢さん。公用語が英語のドバイでは、生活に不自由さは感じなかった。
「そもそもドバイの人口の約8割は海外から来ている人で、残りがローカルの人といわれています。だから現地で使われるのも母国語ではなく、セカンド・ランゲージである英語。
うまく話せなくてもお互いに相手を理解しようとしながら会話するので、ある程度、話せれば大丈夫なんですよ」
気になるドバイでの住まいだが、倉沢さんは、世界最大の人工島「パーム・ジュメイラ」のレジデンスにお住まいだという。ヤシの木のような形をしたこの建造物、見たことがある人も多いだろう。ここには、高級レジデンスやプライベートビーチ付きの邸宅、高級リゾートホテルやレストランが立ち並ぶ。
「実は、かつて娘が小学生のころに“世界には宇宙から見える人工島がある”と習ってきて、“いつか私はぜったいそこに住む”と言っていたんですね。そしたらドバイに住むことになって。娘は、“あそこに住むしかない”しかも“海が見える部屋でないと!”と譲らず、結局、家賃など度外視で、彼女の一存でこちらに決めたんです(笑)」
ひとことで「パーム・ジュメイラ」と言ってもお値段はいろいろ。
「パームには1ベッドルームの部屋からあるんですよ。ただ、部屋の広さや大きさよりも、位置や場所が値段に大きく関係します。特に、海が見えるのと見えないのとでは年に100万円くらい差があるようです」
郊外の砂漠にも新しい物件が増えてきて、月に十数万円程度の賃貸物件もあるとか。ただ借りるのも買うのも、年々値上がりの傾向にあるという。
ドバイではパトカーがフェラーリなど高級車
「ドバイに住むにはそれなりにお金はかかると思います。周りにもお金持ちは多く、ビックリすることは日常茶飯事。パーム・ジュメイラの先端のほうにある一軒家なんかは、数億から数十億円ともいいますし。
自宅でトラやライオンを飼っている人がいたり、街中でもハイヤーの車種がレクサスやアウディだったり、極めつけはパトカーがフェラーリやランボルギーニだったり(笑)。超高級車があらゆるところに“路駐”しているんです」
ドバイに住むなら知っておきたいのが医療保険について。ドバイでは、病院によっては医療保険に加入していないと診療を拒否される場合があるというのだ。
「いろいろな医療保険がありますが、うちの場合、長男はすでに独立しているので家族4人で月に20万円くらい医療保険を払っています。以前、息子が骨折して救急で病院に行った時も、病院が保険会社に連絡して、治療の許可が下りるまで3時間くらい待たされたんです。医療保険は高額になっても、安心を買うためにはしょうがないですね。でもやっぱり一番はなるべく病気をしないこと。とにかく健康であることが大事ですね」
ドバイにきてよかったことは、ストレスが減ったことだという。
「多国籍なこともあって、人がみんなやさしいんです。治安もとてもいいし、街はどこも清潔できれい。ラマダン中でも開いているカフェなども少しずつ増えてきて、12年前より規制も緩くなってきています。
雨は年に2~3回しか降らないので、毎日青天で住み心地がよく、ストレス知らず。できれば、まだしばらくはドバイに住み続けたいです」
1967年生まれ。テレビ朝日の『欽ちゃんのどこまでやるの』でデビュー。「わらべ」として『めだかの兄弟』『もしも明日が…』が大ヒット。その後、ソロ歌手、女優として活躍。オーストラリア人の夫と結婚し渡豪し、2011年よりドバイ在住。2男1女の母。
モデルで実業家のMALIA.ドバイ移住の決め手は
一方、自ら進んでドバイへの移住を決め、昨年の8月に引っ越したのが、モデルで実業家としても活躍するMALIA.さん(39)。
「まもなく40歳になるので、その節目で海外への移住を考えていたんです。ここ2年くらい、ドバイだけじゃなくいくつかの国を検討していました」
決め手はなんだったのだろう。
「いちばん上の長男はすでに20歳を過ぎていて、その下の2人は留学中で私の手を離れているんですね。一番下が4歳で、母1人子1人の生活になるのでシングルでも安心して住めるところが絶対条件でした」(MALIA.さん、以下同)
ドバイの治安はよかった?
「すごく安全です! いたるところに信じられないくらいの数の防犯カメラがあって、とにかく安全!
日本はタクシーに携帯や財布を置き忘れると戻ってくる安全な国ですよね。ドバイでもカフェでテーブルに携帯を置いてトイレに行っても盗まれないし、もしかしたら日本よりも安全なんじゃないかって感じています」
そして、2つ目の決め手は教育水準の高さだった。
「アメリカ系やイギリス系、スイス、ドイツ、フランスといろいろなインターナショナルスクールがあって選択肢が多く、カリキュラムも豊富。
うちの子は国際バカロレア(IB)教育を取り入れている幼稚園に通っているのですが、これは将来的にほかの国の学校に行ってもIBを取り入れている学校なら、単位をそのまま持っていけるシステムなんですね。
それと、UAEでは法律で、4歳以降の子どもはアラビア語の授業を受けないといけない決まりがあるので、授業で習う英語にアラビア語、家で話す日本語と、すでに3か国語を話せるトリリンガルです。
私は、子どもの成績を上げたいとか勉強ができるようになってほしいという気持ちよりも、語学を習得することでいろいろな国の人と触れ合って世界を広めてほしいという気持ちがあるので、そういう面でもとても満足しています」
自然が豊かなドバイではアクティビティも
MALIA.さんのインスタを見ると、華やかなドバイでの暮らしがうかがえるが……。
「ドバイと言えばギラギラしたイメージを持ってる人が多いと思うし、実際に派手ですしそこはイメージ通りですけど、実は自然が豊かな国でもあるんですよ!
車で40分くらいのところに砂漠があるので、週に1回は子どもを連れて遊びに行きますし、海も近いのでいろんなアクティビティを楽しんでいます」
でもやはり、ドバイというとお金がかかりそう。
「物価は確かに高いです。お酒とかはめちゃくちゃ高くて、いいレストランに行ったらグラスワインが1杯9500円とか!
でも、スーパーでお水が1本10円くらいで買えたり、タクシー代が日本よりもぜんぜん安かったり……。すべてが高いわけじゃないんです」
住まいについても気になるところ。
「ドバイは季節によって家賃を変えるオーナーさんが多いようです。夏はめちゃくちゃ暑いから、みんなドバイから出て行っちゃうので値段が下がるんです。逆に11月~3月のハイシーズンは倍くらいの値段になります。
それと、ドバイの賃貸はマンスリーではなくて1年分を一括で支払うから、借りるタイミングがすごく大事。値段が下がる暑い時期に借りるのがお得です」
ただ、一括で払うとかなりの高額になるため、借りるより買う人が多いと思う、とMALIA.さん。
ドバイに不便な部分はない!?
また、ドバイの魅力のひとつに豊富なデリバリーサービスがある。
「レストランでもデリバリーしてない店はほぼなく、コーヒー1杯からも持ってきてくれるんです。あと、PCR検査も家に来て玄関先でやってくれて、病院の先生も家まできて診察してくれるし、家から一歩もでなくても生活できるくらい便利」
逆にドバイのここが不便という部分はないのだろうか。
「食事の面でも、自炊が多いわが家なのですが、イスラム教で禁じられている豚肉なんかも、スーパーによっては普通に手に入りますし。日本食のレストランはもちろん、多国籍なのであらゆる国の料理が食べられる。不便なところはありません。
子連れだと入れないお店もほとんどないし、レストランでも店員さんがみんな親切! 特に子どもにはすごくやさしい。だから、子どもを育てるには本当に抜群の環境だと思いますね。
東京にいたころは、知り合いも多いし、会社もあるしで、忙しくて目まぐるしい日々だったけど、いまは朝日とともに目覚める早起き生活で健康的で、なにより子どもを中心にまわっているので時間の流れがゆったり。そんなドバイでの生活に大満足です」
魅力あふれるドバイ。いきなりの移住はムリでも、まずは観光でその魅力にふれてみたい。
1983年生まれ。モデル・タレント。現在は実業家としても活躍。3男1女の母。昨年8月にドバイへ移住。ONLINE SALON「BELIEVE in yourself」やInstagram「malia_xxx」で美容や子育て、仕事論などを公開。