元財務省官僚で、ニューヨーク州弁護士の山口真由氏が、「週刊ポスト」2023年1月13・20日号(小学館)誌上で、皇室に詳しいジャーナリスト・多賀幹子氏、国際政治学者・三浦瑠麗氏とともに皇室問題に関する鼎談を行った。その中で山口氏は、皇室維持のために、
≪悠仁さまに嫁ぐ女性は20代の時に卵子をたくさん凍結しておけば、高い確率で男子が産める≫
などと発言。以前から皇位継承において「男系」にこだわりを見せてきた山口氏ならではの発言だろうが、あまりにもショッキングな提言だけに、ネット上では眉をひそめる人が続出している。
「血の穢れ」についても言及
同鼎談では、「皇族のSNS発信」「女性皇族のあり方」そして「天皇制の維持」の3テーマを元に議論が繰り広げられた。
「山口氏は鼎談冒頭から≪皇室は血縁の正統性や家的な制度が大事だと思うので、SNSを通じて「個」の部分がフィーチャーされることに違和感がありますね≫と述べ、皇族のSNS発信には否定的なスタンスを取っていました。
皇族方の『個』の部分を受け入れたくないというのは、山口氏の確固たる持論のようで、『天皇制の維持』をテーマにした議論でも、≪私個人としては、天皇と皇室は「制度」であり、その方々が「生身の人間」と想像したくないという気持ちがあります≫とはっきり述べていたんです」(週刊誌記者)
そんなスタンスゆえに、男系男子が皇位を継承する伝統を重じている山口氏。昨年8月7日放送の『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)で、「今こそ皇室と王室について考える」という特集が組まれた際には、
「天皇陛下の主な役割として、国民のためのお祈りや宮中祭祀があるが、伝統的に“血の穢れ”を非常に気にかけている。女帝が立った場合、1か月のうちいくばくか、血の穢れがあるために祭祀ができない状態になると考えると、男子を優先することは、一定の合理性があると思う」
と述べたことも記憶に新しいが、今回の鼎談では、将来、天皇に即位する悠仁さまの結婚相手となる女性に対し、≪悠仁さまに嫁ぐ女性は20代の時に卵子をたくさん凍結しておけば、高い確率で男子が産めると思います≫と、“卵子凍結”を勧めたのだ。
「また山口氏は続けて、≪どうしても男系男子の血統が大事なら、今のうちに男性皇族の精子を凍結しておくべきかもしれません。進化する科学技術もまた、皇室の維持のために無視できないのでは≫とも提言。『個』を否定するあまり、悠仁さまをはじめとする皇族方、またその結婚相手を、まるで『産む機械』のように扱う発言と言えるのではないでしょうか。
皇室のイメージを悪化させる可能性
この鼎談がネット上にアップされると、愛子天皇を待望する層を中心に、山口氏への≪あまりにも常軌を逸した発言≫≪ドン引き≫≪発想が怖い≫などと批判が噴出。以前の≪女帝が立った場合、1か月のうちいくばくか、血の穢れがあるために祭祀ができない状態になる≫というのも、現代の感覚からはかなり逸脱した発言といえ、実際、当時SNSでは今回と同様のネガティブな反応が見られました」(同・前)
山口氏がウェブサイト「現代ビジネス」に寄稿した「東大卒・山口真由が“姉”をやめたくなった日…卵子凍結で感じた『姉妹』の不平等」によると、彼女自身、卵子凍結を経験している身。それだけに、件の≪卵子をたくさん凍結しておけば≫発言が出てきたのだろうが、「これが世間に広まると、さらなる反感を買うことになるのでは」(同・前)という。
「山口氏は鼎談の中で、≪皇室の方々は菊のカーテンの奥にいて、決して私たちと同じ人間ではないと国民から思われているほうが、天皇制やその権威を保てるのではないでしょうか≫とも話していたのですが、多賀氏は≪眞子さまは世間からそう思われるのが重荷だったんじゃないかな≫とやんわり反論していました。
今は、若者の“皇室離れ”が進んでいるとされ、『皇室といえば、小室圭さんと眞子さんの結婚騒動』という人も少なくない。そんな中で飛び出した山口氏の提言は、若年層の皇室へのイメージまで悪化させる可能性があり、かなり問題含みの内容だったといえるでしょう」(同・前)
山口氏の提言は、皇族方を「生身の人間」と認識していないからこそできた“トンデモ”発言だったのかもしれない。