「すべての匂いを無臭化してしまう。すべての雑菌、ウイルスを死滅させてしまうという機械を思いつきまして、すでに7年前から開発に入っておりまして、2年前には開発に成功しました」
今から3年近く前。’20年3月に自身のYouTubeでそう話していた歌手のASKA(動画は削除済み)。ASKAが開発したというのは、水道水を “オゾン水”に変換できる。作ったオゾン水を対象物にかけることで一瞬で殺菌可能という。その機能や効能の真偽はともかく、この“開発”は、コロナ禍にあってASKAファンを中心に注目を集めた。彼のブログによるとその“効果”は絶大で、《ノロウイルスは、試作品の段階で、すでに一瞬でした。あの強力な「黄色ブドウ球菌」も。》消え去るという。
ASKAの“オゾン水変換機器”は4000台完売も…
ASKAが開発に携わった“オゾン水変換機器”は、『ULAS O3(ユーラス・オースリー)』という。’20年3月の“発表”後、幾度となくASKAはこの機械の“凄さ”を語ってきたが、実際に予約販売がなされたのは昨年’22年の7月のことだった。2回に分けられた予約販売は、『ULAS』公式Twitter及びASKAのブログによると、初回は1000台が販売開始6時間で完売し、2回目は3000台売れたという。計4000台。『ULAS O3』は税別3万8,800円(プラス消費税・送料)で販売されたのだが……。
「年が明けた’23年現在になっても購入者への発送がなされていないようです。『ULAS』は公式ホームページもTwitterもありますが、ほとんど情報発信がなされず、基本的にASKAさんのブログとTwitterから発信される情報のみという状況です」(芸能プロ関係者)
同商品は、ASKAのブログでの言によれば'21年5月時点で“完成”している。ASKAは友人に「送るね」とメールしていることを明らかにしており、さらには《全国カラオケボックス、ほぼ全店に「ulas O3」が設置されます。》とも話していた。しかし……。
「予約販売前、ASKAさんはブログでコロナの影響で工場がストップしたとか、欠陥が見つかったことなどを明らかにしていました。そういった仕方のない事情で開発が遅れたということもあったのでしょうけど、一方で“量産体制の準備ができました”とか“試作品が(中国から)発送された”などとも記していて、楽しみにしていたファンも“ULASがいつ発売されるかわからない”という状況が続いていました。そんななかついに’22年7月に予約販売に至ったんです」(ASKAのファン)
予約販売後にもトラブルが……。
「’22年7月に予約販売に申し込んだのですが、9月にULASから突然“返金通知”のメールが届き、返金されました。理由は不具合が見つかったと……。購入する場合は再度申し込んでほしいという案内もありました」(ULAS購入者)
ほしい人は再購入の申し込みをすることになったが、現時点でも商品の発送はない。
「このままでは消費者庁案件になる」
「再購入の申請をした人にはULAS公式からは、“11月末から順次発送”というメールがありましたが期日には届かず、その後“12月中旬”に発送されるとありましたがやはり届かず……。当然ながら再購入の代金は支払い済みです」(同・ULAS申込者)
さらに現時点では“1月10日”には出荷できるように体制を整えるという旨の連絡が入っているようだが、届いてはいないようだ。
このような状況のためネット上では、ファンらの不安や心配の声が散見される。
《年内に届かなかった場合、このままでは本当に消費者庁案件になるのではないかと心配しています》
《#ULAS 紹介動画が明日公開だそうだけど、それより発送がどうなっているかの告知が先ではないでしょうか。》
開発に携わり、自身のブログで“宣伝”を続けてきたASKA。この件に関して所属事務所に問い合わせると以下の回答があった。
事務所・製造会社の回答は?
「ULASO3の販売、納期について、当社は把握できておりませんため、ご質問への回答は致しかねます。貴社からご質問を頂戴したこと、また上記の回答内容は、当社SNSでも発信させていただく所存です」(バーニッシュストーン有限会社)
ASKA自身は'21年4月のブログで、《僕は、音楽家でもありますし、開発から製品となる過程で、一旦離れることとなっていますが、全責任は僕が持つこととなります。》と語っていた。“全責任”とは……。
「ご購入者様へのご発送は、本年1月以降を予定しております。正確なご納期についてはご購入者様にメールでご連絡させていただいております。コロナウイルス感染拡大による工場生産ラインが不安定な点が最大の原因となります。現在鋭意、ご納品に向けて対応を進めておりますので、今しばらくお待ちいただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。ご購入代金は、当社の銀行で大切に保管させていただいております」(株式会社ULAS代表取締役)
株式会社ULAS代表取締役が話すように、発送はズレにズレ込み、いまだ届いていない状況だ。
「7月の先行予約販売でご購入いただいた皆様には、出荷の遅延が確認された時点で即刻全額をご返金させていただきました。その後、改めてご希望者の方にご注文を頂いておりますが、ご希望がございましたらいつでもキャンセルと返金を承っております」(同前)
株式会社ULASは同名で2社ある。1つはULASホームページに記載された住所の会社。もう1つは法人登記によるとASKAの所属事務所と住所が同じ会社だ。国内法人の情報を閲覧できる経済産業省運営のサイト『gBizINFO』によると、同社には’20年10月30日に『中小企業等海外出願・侵害対策支援事業(中小企業等外国出願補助金支援事業)』として、国から120万円の補助金が交付されている。
補助金とULASそしてASKAの関係は……。国からの支援を受けているのであれば、購入者の立場でなくとも、“ちゃんとしてほしい”と言いたくなるものだが……。