西出ひろ子さん(左)と勝見地映子さん(右)(撮影/渡邉智裕)

「いつまでも、チャレンジを楽しみましょう」

 さまざまなメディアで、マナーコンサルタントとして活躍している西出ひろ子さん(55)。いつもは“相手を敬う心”を教える立場である西出さんには、生き方をお手本にしたい70代の素敵な女性がいます。

 その方とは、生物資源学の博士号を持つ勝見地映子さん(70)。通販専門番組『QVCジャパン』の人気出演者としてもおなじみの美容研究家です。

 先が見通せない現代、私たち女性が、いつも生き生きと前を向いて清々しく歩んでいくには――。

 公私ともに信頼し合っているというおふたりに人生100年時代といわれる今、元気に美しく生きる秘訣をお話しいただきました。

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西出ひろ子(以下、西出) 私は21歳のときに、当時53歳だった素敵な女性……私のマナーの師匠なのですが、その先生にお会いして、こういう53歳になりたいなと考えて、今のお仕事を選び、これまで生きてきたんですね。

 でも、気がついたらもう55歳。当時の先生の年齢も越えてしまいました。

 今や人生100年時代です。素敵な70歳になるために目指す女性を探していたところ、「この方だ!」と思ったのが、地映子社長だったんです。

 還暦目前で大学院へ行って博士号を取得なさるなど、半端ない挑戦力!

 そしていつもバイタリティーにあふれて若々しい!私も地映子社長のような70歳になりたいです!

勝見地映子(以下、勝見) もうすぐ71歳になるんですよ、若いなんてとんでもない。

 それよりいつも、私をはじめ、いろんな方々を全力で褒めて、やる気と才能を引き出してくださる西出さん。あなたは気配りの天才ね。

西出 恐縮です。地映子社長は、最初のご主人様と離婚された後、まだ幼いお子さまを2人も抱えて起業。

 専業主婦から今や銀座にオフィスを構え、テレビにも出演なさるご活躍ぶり。

 ご苦労もおありだったのでは?

勝見 うーん、それがそうでもないのよ(笑)。いつまでも若く健康でいたいニーズは決してなくなることはないわけだから、それをサポートする健康食品の原料を取り扱うお仕事をしたいと考えたんです。

 つまり、やりたいことを始めたので、苦労とはあまり思わなかったの。

 私ね、自分にとても甘いのよ(笑)。よく自分にご褒美を買ってしまうし、美味しいお酒も大好き(笑)。

西出 好きなことを仕事にされた、ということですね。

勝見 そういう素材を取り扱えば、美と健康の最新情報も入ってきやすくなるから、私も若くきれいでいられますしね。一石二鳥じゃない?(笑)。

 でも、情報や人まかせではなく、もっと自分自身で成分を研究したくなって。

 ならば、大学院に入って博士号を取ろうと。そうと決めたら「やるぞ!」となって、受験勉強を始めたんです。

 当時50代後半でしたけれど、仕事の合間にちゃんと予備校に通ったんですよ。

西出 予備校にまで通ったんですか!? 会社を経営する傍ら、ものすごいチャレンジ精神と行動力ですね。

勝見 おかげさまでなんとか合格することができました。大学院の入学式に行ったら、保護者席に通されてしまったんですけど(笑)。

 その後、子どもや孫ほど離れた同級生たちと切磋琢磨して大学院を修了し、生物資源学の博士号を取りました。

西出 それはどういった学問なのですか?

勝見 生物資源の有効利用や遺伝子情報を研究する学問です。そのものずばり、エイジングケアにつながります。

 おかげさまでいろんな有効成分を、当社の製品に利用することができるようになりました。

西出 だから地映子社長はお美しいんですね!地映子社長は、年を取ることを怖いなどと思わないんでしょ?

愛犬家のおふたり。勝見さんの愛犬・パールちゃんは15歳、西出さんの愛犬・KOOちゃんは11歳。動物愛護活動など、ワンちゃんたちの話題でもお話が弾みました(撮影/渡邉智裕)

勝見 いいえ。私は、年を取る、老いることが何よりも怖いんです。だから、いつまでも元気でいたい。少しでも老化を遅らせるために、日々研究しているし、努力をしているんですよ。

 でも、それも新しいチャレンジ。

 私はチャレンジすることが大好きだから。結果、自分の好きなことをやっているんですね。

西出 素敵です!マイナスをプラスに変えて、好きなことに結びつけていらっしゃるのですね。 

勝見 うちの社名は、親しみやすさを込めて「銀座・トマト」にしたのですけれど、以前(東京都)中央区の区長さんに「“トマト”なのに、トマトは作ってないのですか?」と言われ、「ああ、そうだった!」と。

 そこで、千葉県に農場を作ってトマトを栽培し始めました。しかも、そこで作っているうちのトマトは健康への有効性が期待できるんですよ。

 また、「銀座ではトマトを作ってない」ということにも気づきまして。「銀座のビルの屋上でトマトを作ろう!」と計画し、場所も用意できたのですが、もろもろコロナ禍で頓挫してしまいました。

 でもその場所を、このたびデトックスをコンセプトにした究極の美と健康のためのレストランにしたんです!

 いつも新しい何かをしていたい。若者をはじめ、新しい価値観を持っている人に学ぶべき。

 私たちの世代はそれぞれがさまざまな苦労を体験してきているけれど、それは通過点であって、自慢すべきものではないと思います。

西出 過去に固執せず、時流に身を任せる柔軟な考え方と生き方……。素晴らしいです。

 ご主人さまも地映子社長と同じようなタイプの方なのでしょうか。

勝見 主人は、私と正反対の性格なのですよね(笑)。とてもおっとりしていて、穏やかな人です。そして心からの「ありがとう」を、人を感動させる言い方で言える人です。

 でも、お互い苦労を乗り越えたうえでの再婚同士ということもあって、覚悟を決めた仲でもありますね。

西出 素敵な大人のご夫婦でいらっしゃいます。地映子社長は強運だから、つらいことや失敗などはなかったんですよね。

勝見 何度も人に裏切られたし、脳出血で顔の半分が能面のようになり、その後生死の境をさまよったこともありますよ。

 でもね、それは苦労でも、失敗でもない。

  私にとってターニングポイントであり、気づきだったと思うんですね。

 もし、前の主人と別れないでいたら、今頃私は通販番組の出演者ではなく、視聴者の立場だったのかもしれませんから。

 おせんべいなんか食べながらね、「あ、地映子社長の紹介してるこの商品素敵ね、買っちゃおうかしら?」なんて。まあ、それも楽しい人生だったとは思います(笑)。

西出 地映子社長ったら本当にチャーミング!こんな素敵な人生の先輩がいるんですから、とても心強いですし、幸せです。

 いつまでも、地映子社長の応援団長として(笑)、どこまでもついてまいります!

おふたりは『美の象徴』でもあるバラが大好き。勝見さんは商品に、西出さんは社名に「ローズ」と名付けているほど。勝見さんのオフィスにはバラが随所に飾られている(撮影/渡邉智裕)
勝見地映子(撮影/渡邉智裕)
勝見地映子(かつみ・ちえこ)●1952年、福島県生まれ。美容研究家。コスメクリエイター。2000年に株式会社「銀座・トマト」を設立し、代表取締役社長として、国内外にて数々の美と健康の人気ヒット商品を手がけ、そのファンも多い。2019年3月、生物資源学で博士号を取得。夫は同社代表取締役会長の近藤昌平さん。
西出ひろ子(撮影/渡邉智裕)
西出ひろ子(にしで・ひろこ)●1967年、大分県生まれ。マナーコンサルタント、美道家。ヒロコマナーグループ代表。大学卒業後、参議院議員秘書などを経て、マナー講師として独立。多くの企業のマナー研修や講演を行う一方で、映画やNHK大河ドラマ、CM等のマナー監修、俳優へのマナー所作指導なども手がける。著書多数。

取材・文/木原みぎわ 写真協力/遠藤アスミ