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 20代で節約に目覚め、3年間で500万円の貯金に成功。日々の節約生活を配信するOL兼YouTuberのもけけさん。

節約を始めた理由は「働きたくなかった」から

 家や旅行など、さぞかし大きな目標があるかと思いきや、節約のきっかけは意外にも後ろ向き。“働きたくない”という思いからだった。

「社会人になりたてのころ、仕事の責任や人間関係に悩み、ストレスで働くことが本当にツラくなりました。手取り16万円のままでは将来に心配もあったけれど、収入を増やすためにこれ以上、働くのもイヤ。

 なるべく働かずに生きるには、と考えたとき、できるだけ少ない出費で生活すればいいという考えに至ったんです」(もけけさん、以下同)

2020年4月に開設したもけけさんのYouTubeチャンネル「手取り16万の節約生活」。自炊や節約のポイントなどを中心に、日々の暮らしを発信。チャンネル登録者数は9.59万人(1月10日現在)

 元来は“ズボラでお金オンチ”。月々の出費も把握しておらず、仕事のストレスも相まってか、衝動のまま浪費を繰り返す生活を送っていたと振り返る。

「節約を意識して、初めて家計簿をつけたくらいです(笑)。最初は、貯蓄するには単純にお金を使わなければいいと考えて、極限まで切り詰めた生活をしていました」

 結果、確かにお金は貯まっていったが、それでは“日々、ただ生きているだけ”。生活に虚しさを感じるようになった。そこで、自分に合った節約法を模索。貯蓄の目標金額や出費の細かな制限をあえて作らないことをルールに、“ゆるく・ラクな”節約へ意識を変えた。

ラクな節約方法にしたら、毎日が幸せに変わった

家計簿アプリ「Zaim」を使って家計管理をしているもけけさん。ノーマネーデーは月に20日も。

「よく考えたら、ムリして働きたくないというのがお金を貯める理由なのに、貯蓄を必死に頑張るのも変でしたよね」

 飄々と語るもけけさんだが、1か月の家計簿を見ると、出費はきちんと予算内に収められ、お金をまったく使わないノーマネーデーが月に20日もあるなど、ストイックな面も。

「頑張るというより、平日の会社帰りに何げなくお金を使うことがもったいないと感じるようになったんです。何より、平日はまっすぐ帰宅して、休日にまとめ買いをするほうが、ラクで安いですから」

 また、仕事自体も“貯蓄があるからいつでもやめられる”と思えば、以前ほどツラいと感じなくなったと話す。

気ままなアルバイトで生きられる日を目指して

「働かないで済むなら、節約して生活をコンパクトにしたほうがいいという考えは変わっていません。いつかは週5の仕事から離れ、アルバイトでのんびり働きたいというのが本音です(笑)

 ゆるい節約を始めて、自身の理想の生活に近づいているもけけさん。自然とお金が貯まるだけでなく、無理なく物欲が抑えられ、家がキレイに整うようになったとも。そんな“いいことずくめ”のループには、どんな秘密が? もけけ流の節約生活を教えてもらおう!

ゆる節約で自然に貯まる!

 お金管理のポイントは、管理するお金をなるべくシンプルにすること。毎月、銀行から自動引き落としされるような携帯代や光熱水費などの項目は考えず、日々の買い物でお財布から支払うような項目のみをやりくりの対象にしている。

細かい決まりは一切作らない

「住居費も含め、毎月必ず支払いがある固定費はおよそ7万円で、月ごとにそれほど大きく変わりません。毎月の支払額がほぼ決まっている固定費ではなく、食費や娯楽費など、自分の行動次第で使う金額が大きく変わってしまう項目こそが重要。

 いわゆる変動費の予算を決めて、きちんと守れば、深く考えることなく貯金ができると思いました」

自動計算してくれる家計簿アプリはゆる節約の必須アイテム(写真はイメージです)

 1か月の家計は、手取りが16万円に対し、支出は固定費が約7万円、変動費の予算が5万円で合計12万円。変動費の支出を予算内に収めれば、残った月約4万円が自動的に貯金できることになる。

「月の給与内で無理なく生活しているので、ボーナスには手をつけず全額貯金。貯蓄スピードを上げています」

予算さえ守れば細かい使い道は不問

お財布で管理している項目だけを毎月記録し、変動費はトータルで5万円を超えないように調整しながら支出する

 変動費の5万円は、予算の金額こそきちんと設定しているものの、その内訳は比較的自由。食費にいくら、娯楽費にいくら、日用品にいくらなど、細かい数字は設定していない。項目ごとに予算を設けると、面倒が増え、挫折につながるからだ。

「趣味の舞台を見に行く月は、チケット代や交通費がかかる分、ほかの項目で少し調整。5万円を超えないようにしているのと同時に、月5万円はギリギリまで使い切って、暮らしを楽しんでいます」

 予算オーバーしないために行っていることは「毎日、ゆるっと家計簿を記録する」だけ。家計簿アプリ「Zaim」は、その日に支払った分のレシートを撮影すれば、支出を自動で記録してくれるスグレモノ。

「どのくらい使っているかを勝手に計算してくれるので、“今日使いすぎたから、明日からは控えよう”など、予算の調整がしやすいです」

 コンサートのチケット代の支払いなど、大きな出費の予定があるときは、支払い額が決まった時点で先回りして家計簿アプリに入力。予算を超えないよう、支出の把握に努めている。

メリハリ出費で節約のストレスをためない!

 さらに、節約のストレスを抱えないため“お金を使う日・使わない日”のメリハリを意識。会社帰りに惰性で飲んでいたコーヒーなどをやめたら、自然と平日はノーマネーデーに。そのかわり、休日はある程度、自由にお金を使い“ご褒美デー”にしている。

「以前は、買い物をするときも値段で選んでいました。安いから買っちゃうとか(笑)。でも、今は、それにお金を使うことで生活が楽しくなるかどうかを重要視しています。そこを大切にすれば、節約中でも我慢している気持ちがなくなり、逆に暮らしの満足度が上がります!」

ゆるーく続けるために【もけけ流“しない”ルール5】

《1》光熱費は切り詰めない

 過ごしやすい住環境にすることで節約に。大好きなお風呂も我慢しない

《2》目標金額を定めない

 目標を作ると無理して頑張ってしまいがち。継続の足かせになる

《3》モノは値段で選ばない

 不用品を増やすだけでなく、お金を使ったときの満足感も低い

《4》ストック買いはしない

 買うのは今必要な量のみ。必要以上あると大切に使わなくなる

《5》家具は増やさない

 特に収納家具はNG。置く場所があると不要なものが増える

ズボラでも貯めるには“家を整える”こと

「ある日、YouTubeで配信されていたミニマリストさんの生活を見て、すごくいいなと思ったんです。その暮らしを見習って家を整えていくと、自然に節約が加速していきました」

 ズボラさんでも大丈夫なお金の管理法に加え、彼女の節約を支えるもう1つの柱は“ゆるミニマリズム”だ。

部屋がスッキリしたら物欲も一緒に片づいた

 節約を始める前は、かわいい雑貨が大好きで、カラフルでポップな雑貨に囲まれて過ごしていた彼女だが、動画で見たミニマリストの部屋に憧れて“おもちゃ箱みたいな部屋”を一新。

「こたつをやめ、大量のカラーボックスを処分しました。持っていた家具を全取っ替えして部屋の雰囲気を変えたら、おのずと意識や好みが変わっていきました」

 物が減ると、何がどこにあるか把握できるので、ムダな“ダブり買い”などがなくなったのはもちろん、我慢しなくても物欲が抑えられるようになった。

「部屋をスッキリさせると、この状態を保ちたくなるので、無駄な物を買う気が起きなくなります(笑)」(「手取り16万の節約生活」より)

「部屋をキレイな状態で保ちたいから、欲しいなと思う雑貨があっても、まず“どこに置くか”が頭をよぎるように。自分が使っている姿や部屋に置くスペースを想像して買うかどうかを決めるので“今欲しい”という欲求に流されなくなったんです」

家の居心地がいいとお金を使わなくても幸せ

 部屋に置くものは、“気に入って、ずっと使いたい”と思ったものに厳選。日々の買い物で好きな物だけをしっかりと選んでいくうちに、自分の好みがより明確化。妥協の買い物を抑制する力になった。

「家で好きなものに囲まれて過ごしていると、物を買う頻度が減っても、ストレスを感じることはなく、むしろ日常で幸せを感じることが増えました。物欲に支配されている状態は、常に飢えているのと同じ。でも、買い物をすれば解消されるわけではない。

 逆に掃除がしづらかったり、探し物が見つからなかったり、そういう小さなイライラがストレスになって、浪費につながり、悪循環を生んでいたんだなと気づきました」

服も物も少ないほうがストレス&出費が減る

 現在、食器は普段使いのものを数枚、服はワンシーズン10枚。

「通勤時の服は、制服のように3パターンを着まわしています。少ないがゆえに、洋服選びに悩むことがなく、それが精神的ストレスの軽減にもなっています」

 必要以上のお出かけやカフェ通いもしなくなり、掃除や自炊など家事のモチベーションもアップ。住環境も食生活もどんどん好転した。

「頑張らず、快適に節約したいと思っている人は、細かい家計管理や出費の制限を作るより、お部屋を整えてみてほしい。それだけで、マインドが変わり、お金を貯められる生活にシフトできると思います!」

教えてくれたのは……

もけけさん○事務職で働く20代OL。岡山県出身。節約とミニマリストの生活を実行し、手取り16万円ながら3年間で500万円を貯める。著書に『HSPだけど500万円貯めた! 手取り16万円OLのゆる貯金ライフ』(KADOKAWA)

取材・文/河端直子