「天才子役としてデビューをし、ここまでつまずきがない女優さんはいまだかつていなかった」
と、芸能評論家の宝泉薫さんが評するのは女優の芦田愛菜。
ORICON NEWSが行った『期待の新成人ランキング』ではぶっちぎりのナンバーワン。
兵庫県で銀行員の父、専業主婦の母のもとに生まれたという愛菜ちゃんは幼いころから“別格”だったという。
「裕福な家庭の子どもが芸能人になるケースが増えていますが、愛菜ちゃんはまさにそう。家計のために働いているのではなく、もともとの才能を伸ばそうと自己実現のために活動していて、やらされてる感がないのも愛菜ちゃんの特徴です」(宝泉さん)
3歳で芸能界入りしてからの愛菜ちゃんの伝説は数知れず。その一部をご紹介!
脚本家の坂元裕二氏「オーラを見たのは最初で最後です」
愛菜ちゃんが世の中に広く周知された作品といえば『Mother』('10年日本テレビ系)。坂元裕二氏脚本、松雪泰子主演で当時6歳だった芦田愛菜ちゃんが虐待される小学性を熱演。日本テレビの次屋尚プロデューサーは、
「オーディションのときから芦田愛菜の秘められた才能に惹かれた」と話し、
脚本家の坂元裕二氏は雑誌『CREA』のインタビューで、
《普段はオーディションに行かないんですけど、次屋さんに呼ばれてリハーサル室に行ったら最後まで残った5人が並んで座っていて。パッと見た瞬間「あ、あの子だ」と思ったんです。(中略)オーラを見たのは愛菜ちゃんが最初で最後です》
と明かしている。あまたの俳優を見てきた坂元裕二氏にそこまで言わしめるとは。
「愛菜ちゃんが演じた道木怜南は小学1年生という設定だったので、他の候補の子は1年生から3年生くらいまでのちょっと年上でした。そんな中、愛菜ちゃんはひとりだけ幼稚園の年中さん。それでも圧倒的な存在感を放っていた」(ドラマ関係者)
最初から規格外の才能を放っていたのだ。
愛菜ちゃんを語るうえで欠かせないのが“活字好き”。自らを“活字中毒”と表現したこともあるほど。'19年には『まなの本棚』(小学館)という書籍も発売。
「小学校低学年時に年間300冊、小学校高学年時に年間180冊、中学生時に年間100冊読んだそう。芸能の仕事に加えて受験勉強もあったでしょうに、この冊数は本が相当好きじゃないと読めないです。ちなみに一般の中学生の年間平均読書数は56冊と、愛菜ちゃんは倍の量を読んでいることになります。愛菜ちゃんのお父さまが読書家だったそうで、その影響で本好きになったと話していましたが、親御さんも愛菜ちゃんの興味に合わせて本を提案していたのだとか。絵本だけでなく花火の仕組みや人体の図鑑、伝記なども幼稚園時代に読んでいたそう」(書籍編集者)
前出の宝泉薫さんは、
「彼女が9歳のときに“一番魂が震えた”と紹介したのが『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』という本でした。小学生が読もうと思ってもなかなか理解できるものではない。そもそもの魂のレベルが高いんですね。タモリさんも“幼稚園のお遊戯がバカバカしくてやってられない”と退園したというエピソードを持っていますが、最初から魂が大人な人間っているんです。だから数々の発言も芦田愛菜さんにとっては背伸びでもなんでもなく、フィットした心からの言葉なんだと思います」
たびたび話題になる精神年齢の高さ
幼稚園時代から単行本を読んでいたという愛菜ちゃん。読書が彼女の表現力に磨きをかけたのは言うまでもない。
現在、高校3年生の愛菜ちゃんは言わずと知れた名門高校に通っているが、中学校から私立に通っており、中学受験を勝ち抜いた。
「仕事が忙しかった愛菜ちゃんの受験勉強スタートは周りと比べると遅くて、小学6年生の夏からだったといいます。その時点から愛菜ちゃんは仕事をセーブし、進学塾に通いながら1日12時間勉学に励んだと、のちに語っています。猛勉強のかいあって、受験した偏差値70前後とされる都内の複数の難関中学にすべて合格しました」(週刊誌記者)
前出の宝泉薫さんは、
「芦田愛菜さんの座右の銘は王貞治さんの《努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない》というもの。この志の高さは別格と呼ぶしかない」
天才であると同時に努力の人でもあるのだ。
愛菜ちゃんの精神年齢の高さはたびたび話題になっている。
「ハリウッド映画『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督は、当時7歳の愛菜ちゃんを“天才です! 本当は彼女は50歳くらいなんじゃないかというくらい、賢く、準備が整っているんです。
私の精神年齢より高い”と評し、俳優の佐藤二朗は“お母さんと呼びたい、僕よりも精神年齢は25歳も上”と発言しています」(宝泉さん)
それを逆手にとって14歳当時の愛菜ちゃんは、CMでおばあちゃん役に。
「“本当は60歳だという噂がありますが”、と芸能リポーターが突撃取材を試みる、というワイモバイルのCMでした。これで愛菜ちゃんは“14歳ですよ”と否定してみせるのですが、あのCMを見てそれまでのモンスター子役のイメージから神へと昇華したと感じましたね。モンスターとしていじろうとしたらそれを遥かに超える存在だった」(宝泉さん)
『渡る世間は鬼ばかり』などで知られるTBSの名プロデューサーの石井ふく子氏も、テレビ番組内で『Mother』での愛菜ちゃんの演技について、
「芝居だけじゃない、いろんなものが愛菜ちゃんの中にあってこれだけのことができる」と評価している。
現在18歳の愛菜ちゃんの精神年齢は何歳なのだろうか。
安達祐実より一段上の存在
芦田愛菜ちゃんの数々の伝説を見てきた芸能評論家の宝泉薫さんは、
「芦田愛菜さんを言い表すのに一番適した言葉は“積んでるエンジンが違う”という表現に尽きる。
これは将棋棋士の藤井聡太さんが対戦相手の棋士に言われた言葉なんですが、愛菜ちゃんもまさにそれ。対比しようにも対比の対象がいないんです。
たまに名前があがるのが安達祐実さんですが、台本を覚える力や理解する能力は愛菜ちゃんのほうが一段上だったでしょう。鈴木福くんや鈴木梨央さんといった同年代の子役がいますが、彼らから見ても愛菜ちゃんは見上げる存在であって肩を並べる存在ではないと感じます」
とはいうものの、女優として作品には恵まれていない、と続ける。
「『マルモのおきて』のあとに彼女が女優としてすごい当たり役に出会えたかというと思い当たらない。ただ、生き方がもうすごい。ノースキャンダルのまま難関中学合格や『天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典』でのスピーチなどですごさを見せつけてきている。CM選びもそつがないし、業界全体も愛菜ちゃんの評価に傷がつかないように守っている雰囲気を感じます。
令和の始まりは愛菜ちゃんのスピーチであったように、令和の世の中を照らしてくれるような存在になっていくのでは」
芦田愛菜ちゃん“すごいぞ”年表
'04年6月23日 兵庫県西宮市にて生まれる
'07年(3歳)母親のすすめにより芸能界へ
'09年(5歳)『ABC家族レッスンショートムービー2“だいぼーけんまま”』で子役デビュー
'10年(6歳)テレビドラマ『Mother』(日本テレビ系)に出演し、実母(尾野真千子)からネグレクトを受ける子ども役を熱演、数々の新人賞を受賞
'11年(6歳)大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』で茶々の幼少期を演じる/『さよならぼくたちのようちえん』(日本テレビ系)で日本のドラマ史上最年少初主演を務める
4月 『マルモのおきて』(フジテレビ系)が大ヒット。鈴木福くんとのユニット『マル・マル・モリ・モリ!』が大ヒット。紅白歌合戦の最年少出場記録を更新/『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)で史上最年少MCに就任
'12年 映画『うさぎドロップ』、『阪急電車片道15分の奇跡』でブルーリボン賞新人賞を史上最年少で受賞する
'13年 映画『パシフィック・リム』でハリウッドデビュー
'14年 『明日、ママがいない』(日本テレビ系)にて連続ドラマ初の単独主演を果たす
'17年(15歳) 慶應義塾中等部に入学
'18年 NHK連続テレビ小説『まんぷく』にて史上最年少で朝ドラのナレーションを務める
'19年 天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典に着物姿で出演し、祝賀メッセージを述べた