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 手のひらに刻まれたさまざまな線から、その人の性格や、少し先の未来を読み解く「手相占い」。約3000年前に古代インドで生まれたとされ、今もなお世界中で親しまれている。

手相刑事が明かす開運術

手相は“脳とつながっている”といわれ、自分を知る手がかりになります。実際、手相は日頃の生活や心がけなどによって良くも悪くも変化します。心配事や悩みがあればそれが手相に現れます。

 一方で、さまざまな経験をした末に、迷いが吹っ切れた人の手相は、悩みを表す細かな線が消えるケースもあるので、私は鑑定を通して脳との関連性を実感しています」

 そう話すのは、手相家の江幡龍さん。3年前に手相家としてデビューしたニューカマーだが、すでに1万人もの手相をその目で鑑定してきた。なぜそれほど多くの手相をみることができたのか……。

 その答えは江幡さんの前職にある。

警察官は多くの手相をみる職業

「私の前職は警察官。刑事を10年、鑑識を15年務めました。実は、手相家の次に手相をみる機会が多いのは『刑事』と『鑑識』なんです。

 事件関連の指紋は、指先だけでなく、手のひらや手の側面も採取するので、多くの被疑者や事件関係者の指紋をみることができたのです。

 私自身、学生時代に手相家を目指していたので、仕事のあいまに採取した指紋を“手相”としてみていたら、いつの間にか1万人の手相を鑑定していました」

 まさに異色の経歴の持ち主!

※画像はイメージです

 時には犯人の懐に入るべく、取り調べ中の雑談を通して被疑者の手相を鑑定することもあったとか。一度は諦めた道だったが、警察官時代の経験や知見をもとに、手相家としてのセカンドキャリアをスタート。

「手相は、本人の気質や人生を表します。自分の手相がわかれば、性格や適職、運気の流れや健康状態がわかるなど、さまざまなメリットがあります。

 また、手相は経験や年月とともに変わるので、スマホの写真などで撮影して記録しておくと、変化が感じられて楽しいですよ」

 手相は、自分や相手への理解を深める指標になるという。そこで今回は「手相刑事」として人々の悩みに寄り添う江幡さんに、手相にまつわる謎や、手相でダメ男を見分ける方法などを聞いた。

DV男の手相にある共通点

 浮気性の男や短気な男など、関わった女性の人生を狂わせるダメ男たち。実は、これまで刑事として男性の手相を多くみてきた江幡さんによると、暴力的なDV男の手相には共通点があるという。

「刑事時代、夫婦ゲンカや男女のいざこざで110番通報が入ると、現場に急行していました。そうして関わった男性の感情線は切れ切れだったり、細かな房がついていたりと、乱れた線を持つ人が多くいたんです。

 彼らは、短気で暴力的な一面がありますが、それと同時に『率直で行動力がある』『非常に感情豊か、サービス精神旺盛』などの長所を持ち合わせた“モテ男に多い手相”でもありました。

 ダメ男の罠にハマって夢中になりすぎる前に、手相をチェックして見極めるのが得策でしょう」

福男が持つ“ラッキーM”

 ダメ男とは正反対の“堅実で優しい男性”の手相にも共通点がある、と江幡さん。

「運命線が手のひらの真ん中にビシッと一本入っている人は、男女ともに働き者です。太くて長い運命線は、生命線と感情線、頭脳線を結び、手のひらに“Mの字”が現れます。

『ラッキーM』と呼ばれる、この手相の持ち主は地道に働いて人生を全うする人が多く、ほかの線とのバランスを見ても性格が温和です。

 たとえ若いころは薄い運命線でも、年齢を重ねてからくっきりとMが見える可能性があるので、長年連れ添ったパートナーの手相もチェックしてみてください」

 ただし、ラッキーMを持つ相手と人生を歩むには、自身の努力も必要不可欠という。

「どんなに素晴らしい手相を持った人と出会っても、自分に魅力がなければ、振り向いてもらえません。

 すてきなパートナーに見合う自分になるように内面を磨き、お互いに能力が発揮できる関係性を築くと、幸運を招く“キラメキ線”が増えて運気がアップします。

 そうすれば、恋愛や結婚だけでなく、人生そのものが豊かになるはずです」

 まずは自分を磨くべし!

こんな手相の男性には要注意!
■切れ切れの感情線
 切れ切れの感情線の持ち主は、感情の起伏が激しく、怒りっぽい性格。反面、恋愛上手で個性的な魅力がある。※手相は左右どちらの手でみてもいい。左に現在と未来が、右に過去が表れやすいそう
■房がたくさん出ている感情線
 感情線に「房」が多い人は気分にムラがあり、怒り出すと止まらないタイプ。一方で感情豊かでサービス精神旺盛な一面も。
■あるとラッキー!福男な手相
 運命線・生命線・感情線・頭脳線が合流してできる「ラッキーM」。各線の太さがそろい、均整の取れたMの形でめったにみられない。

こんな手相の男性には要注意!(イラスト/上田惣子)

成功者に必ずある“キラメキ線”

 自分を磨くと現れるキラメキ線のひとつが「影響線」だ。

「運命線に合流するように現れる影響線は『人生に大きな影響を与える人や、強力な支援者との運命的な出会い』を意味します。私の鑑定経験では、20代以降に影響線が濃くなり、社長夫人の手相に多い、という共通点もうかがえました。

 この線がある人は、内面に魅力があり、迷いや悩みなど、運気を下げるネガティブな感情を切り離すパワーを持っています。後ろ向きな感情にとらわれないように心がければ、運命的な出会いが訪れるかもしれません」

 自らの努力が、運命の人を引き寄せるのだ。また、影響線のほかにも、多種多様なキラメキ線が存在する。

「例えば、薬指の下に太い『太陽線』がある人は最高の財運の持ち主です。まれに太陽線を持って生まれる人もいますが、この線には“一生懸命働き、人のために尽くしてきた努力が報われる”という意味もあるので、晩年に現れる人もいます。

 若いころは切れ切れで薄い線でも、40代以降に太くて長い太陽線になる可能性があります。

 反対に、財運があまりない人の薬指の下には、細かくて短い線が何本も入っています。『散財線』と呼ばれる線で、浪費癖があってお金が貯められない人に多い手相ですね」

 浪費というワードに心当たりがある人は、一度自分の手をじっと見てみよう……。

「答えは手相の中にある」

「自らの努力でキラメキ線を増やす以外にも、すてきな手相を手に入れる方法があります。もっとも手軽で有名なのが“油性ペンで良い線を描く”方法。

 例えば、金運をアップさせるために太陽線を薬指の下に描いたとします。すると、その線を見るたびに『いつか報われるはず』と、頑張るモチベーションにつながるんです。

 これは思い込みの力を利用しているともいえますが、いつの間にか、本物の線が油性ペンで描いた場所に現れる人も少なくないです」

 また、丁寧なハンドケアも手相を良くするテクニックのひとつ、と江幡さん。

“ツヤがある手”も、良い手相の条件です。刑事時代に、とてもキレイな手をしている上司がいたのですが、その人は幼いころ、祖母から『手だけは大事にしなさい』と教えられ、若いころから、ハンドクリームを欠かさず塗り続けていたそうです。

 そんな上司の手にはツヤがあり、良い線も多数あったのでどんどん出世しました。今からでも遅くないので、手のケアに力を入れてみてください」

 ハンドケアや線の描き込み。どちらも、今日から始められる手軽さが魅力だ。

 最後に江幡さんは「手相を楽しんでほしい」と語る。

「私は“手相は努力の証し”だと考えています。あるお客さんが、鑑定後に『答えは手の中にあったんですね』と言ってくれたのですが、まさにそのとおり。手相には、持ち主が幸せになるヒントがたくさん隠されているんです」

 手相は自分を映す鏡。その手で“幸福”をつかもう!

健康&財運に恵まれる手相はコレ
■影響線
 古くは「寵愛線」「パトロン線」とも呼ばれ、パートナーや周囲から多くの支援が受けられる。
■太陽線
 金運・名声・成功・人気・芸術的才能などの幸運を運ぶ線。40代以降に現れると長年の努力が報われるともいわれる。
■火星線
 生命線のパワーを強める補強線。さらに、活力・抵抗力・精神力も高めてくれる。

健康&財運に恵まれる手相はコレ(イラスト/上田惣子)

手相トリビア「生命線の長さは寿命を表す」のウソ・ホント

 生命線の長さは寿命を表すという定説があるが、江幡さんは「生命線の長短と寿命はまったく関係ない」と断言する。

「生命線は生命力や気力、体力など“パワー”を意味する線。生命線が短い人は生命力がやや弱いのが特徴です。逆に、生命線が長くて生命力が強い人でも、不摂生をすれば、短命になるおそれもあります。

 私は前職で、さまざまなご遺体の手相をみてきましたが、生命線の“短さ”や“切れ”は死期と関係がないケースばかりでした。

 むしろ『自分は短命だ』と思い込むほうが危険なので、生命線の長短にとらわれないように気をつけてください」

江幡龍さん●(えばた・りゅう)1959年、福島県生まれ。34年間、主に刑事、鑑識として勤務。独学で手相を学び、警察官になってからは被疑者などから採取した指紋をもとに、約1万人の手相を研究。現在は“手相刑事”として活躍中。手相が明かす法則を解説した『手相刑事の鑑定術』(徳間書店)が発売中。
江幡龍さん●(えばた・りゅう)1959年、福島県生まれ。34年間、主に刑事、鑑識として勤務。独学で手相を学び、警察官になってからは被疑者などから採取した指紋をもとに、約1万人の手相を研究。現在は“手相刑事”として活躍中。手相が明かす法則を解説した『手相刑事の鑑定術』(徳間書店)が発売中。
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取材・文/大貫未来(清談社) イラスト/上田惣子