織田裕二

 昨秋、16年半ぶりにテレビ朝日が火曜夜9時にドラマ枠を新設。吉高由里子が主演する現在放送中の『星降る夜に』は、初回の見逃し配信の総再生回数が300万回を突破。テレビ朝日のドラマ歴代最多となるなど、話題を集めている。

「コロナ禍以降、動画配信サイトで視聴するスタイルが幅広い世代に定着したことで、各局がドラマ枠を増設するなど、力を注いでいます。加えて、これまでヒットの指標だった世帯視聴率から、スポンサーが重視する13~49歳を対象にした“コア視聴率”に重きを置くようになったことで、テレビ朝日も中高年がメイン視聴者だった木曜ミステリー枠を廃止。若い世代向けの火曜夜9時枠を新設したという背景があります」(テレビ誌編集者)

 テレビ朝日は火曜ドラマに力を入れているようで、7月スタートの夏ドラマではあのトップ俳優が出演するという。

フジテレビやWOWOWに出演しているイメージが強い織田裕二さんが、テレビ朝日の作品に初出演することになりました。執行官を中心に描かれるリーガルドラマで、昨年12月にクランクインし、現在も撮影が行われています」(制作会社関係者)

ギャラだけでいえば主演以上

 驚くべきは、同作品で主演を務めるのが織田ではないことだろう。

大河ドラマ『青天を衝け』などを手がけた大森美香さんが脚本を担当し、主演は民放ゴールデン帯の連ドラ初主演となる伊藤沙莉さんが務めます。織田さんはいわゆる“トメ”と呼ばれる、エンドロールでキャストの最後に名前が出る扱いだと聞いています」(テレビ朝日関係者)

 織田と同じく、長年ドラマの主演を務めてきた鈴木保奈美や松嶋菜々子などが“トメ”で出演するなど、'90年~'00年代のトップ俳優が主演以外でキャスティングされるケースが増加している。

主演の次に目立つポジションであり、織田さんクラスであればこれまでの実績を考慮して、1話あたり150万円以上は支払われるのでは。今回主演を務める伊藤さんは若手でまだギャラは抑えめでしょうから、ギャラだけでいえば主演以上になるのは間違いないでしょう。稼働する日数も主演より少なくて済むうえ、視聴率で苦戦しても戦犯扱いされません。キャリアに傷がつかないのが俳優にとっては魅力的なようで、主演を避けて、“トメ”での出演を希望する大御所もいるほどです」(前出・制作会社関係者)

 トレンディードラマで主演を務めた俳優たちが、“トメ”出演にシフトチェンジしているのは、テレビ局がコア視聴率や見逃し配信の再生回数を重視し始めたことも関係しているようだ。

「TBS系の『半沢直樹』のような国民的ヒット作品は別ですが、若い世代は同世代の俳優の作品を好む傾向があるため、テレビ局も20代~30代の俳優を主演で起用するケースが増えています。そのため織田さんのような実力と実績がある俳優でも、主演でのオファーは減っているはず。時代の流れもあり、役の大きさにこだわらない方針に切り替えたのでしょう」(広告代理店関係者)

オファーを引き受けたのには心境の変化も?

 そんな言葉を裏付けるように、最近の織田は今までにない活動が増えている。

「NHK・BSプレミアムで2月に放送が予定されているドラマ『ガラパゴス』で主演を務めていますが、NHKのドラマに出演するのは'89年放送の初主演作品『十九歳』以来、34年ぶり。'20年からは同局の科学系教養番組『ヒューマニエンスQ(クエスト)』で司会も務めるなど、新境地を開拓しています」(前出・テレビ誌編集者)

人体の不思議を科学で解き明かすNHKの教養番組『ヒューマニエンスQ(クエスト)』

 これまで縁がなかったテレビ朝日のオファーを引き受けたのは、織田自身の心境の変化もありそうだ。

 織田の所属事務所とテレビ朝日に、7月期の火曜ドラマに出演するのが事実か問い合わせたが、

こちらからお答えする情報はございません」(織田の所属事務所)

今後の編成に関してはお答えすることはありません」(テレビ朝日)

 と、否定はしなかった。

大森さんが脚本を担当するのに加え、織田さんが主演でなくても出演をOKした作品とあり、今夏いちばんの話題作になりそうです」(前出・制作会社関係者)

 今までにない“シン・織田裕二”が見られそうだ。


 
世界陸上の400メートルハードルで金メダルに輝いたマクローフリン選手。

 

ドラマ『東京ラブストーリー』でリカ役を務めた鈴木保奈美とカンチ役の織田裕二

 

 

 

放送直前の'90年に行われた『東京ラブストーリー』の制作発表。左から江口洋介、有森也実、鈴木保奈美、織田裕二、千堂あきほ

 

映画『踊る大捜査線THEMOVIE』(1998年、上)映画『LIMITOFLOVE海猿』(2006年)

 

『踊る大捜査線』('97年)