「バタバタからちょっとひと息まで、大きく移り変わる3時間と少し、ご一緒させてください!」
朝の情報番組『ZIP!』が新年度リニューアル
日本テレビのアナウンサー・水卜麻美アナは、自身がMCを務める朝の情報番組『ZIP!』の新年度リニューアルについて、こうコメントを発表した。
「日テレの大規模な番組改変で『スッキリ』と『バゲット』が3月いっぱいで終了。『ZIP!』は1時間延長して5時50分から9時までの放送になります」(スポーツ紙記者)
テレビ離れが叫ばれる現在でも、朝の情報番組は通学・通勤前の放送とあって一定の視聴者が見込めるコンテンツ。民放各社は長らく激しい視聴率合戦を繰り広げている。
「'11年からスタートした『ZIP!』は'16年に年間視聴率でフジ系の人気情報番組『めざましテレビ』を抜き、番組始まって以来初の単独トップの座を獲得しました。しかし、'18年には再び『めざましテレビ』がトップに返り咲き、現在『ZIP!』はテレ朝の『グッド!モーニング』と2位・3位を争う状況。今回のリニューアルで、再び首位奪還を目指したいのでしょうね」(同・スポーツ紙記者)
そうした状況下での改変だが、『ZIP!』の制作現場からは不満の声が漏れているようで――。
「4月からの1時間延長に、気持ちが上がっている現場スタッフなんてほとんどいないと思いますよ……。朝の情報番組は、放送終了後から次の放送までの限られた時間内に、取材・VTR製作・テロップ作り・原稿制作などをスタッフ総動員で準備。もし大きなニュースが入ったらせっかく作った素材を総取っ替えすることもざら。放送後の反省会なども含めると、12~15時間近く働かざるをえない仕事です。これ以上、労働時間が増えると思うと憂鬱ですよ」(『ZIP!』制作スタッフ)外部スタッフはさらに過酷のようだ。
「『ZIP!』をはじめ多くの情報番組にはディレクターやカメラマン、放送作家など多くのフリーランス契約のスタッフが番組に関わっています。そのほとんどが一回の放送につき日当としてギャランティが支払われるのですが、『ZIP!』の放送時間が延長するにあたって、フリースタッフは誰もギャラアップの話を聞かされていません。このままだとギャラはそのままで仕事時間だけ伸びるのではと、みんな不安がっています」(フリーランスの『ZIP!』スタッフ)
ギャラ据え置きどころか、下がったという話もある。
「'22年の春ごろにフリーのスタッフのギャランティの見直しが行われ数万円下がったことがありました……。そもそも日テレは他局と比べてギャラは格安傾向。同じ仕事内容でもギャラは半分というケースもあるくらいです」(制作会社関係者)
日テレは'10年から'22年の年間個人視聴率のうち、全日(午前6時から午前0時)、ゴールデンタイム(午後7時~同10時)、プライムタイム(午後7時~同11時)が12年連続で在京民放5社のトップを記録するなど好調のように見えるが……。
スポンサー離れに倹約体質が影響して
「テレビ界全体がネットメディアの台頭やコロナ禍の影響などでスポンサー離れが深刻。それに伴ってどの局も制作費は縮小傾向ではありますが、日テレはほかの民放に比べ突出して倹約体質です。取材班の人数を減らしたりFAXを電子化したり節約を社員に求めているぐらいですから、外部の人件費もアップする見込みは低いでしょうね」(日テレ関係者)
コストカットの影響は花形部署にも及んでいるようだ。
「しわ寄せは日テレの若手アナウンサーに来るでしょうね。今、アナウンサーはタレント性が求められる時代。制作費が下がり、ゲストや企画に力が入れられない以上、アナウンサーの力で番組を盛り上げていかなくてはいけません。なによりアナウンサーは局の社員ですから、どれだけ出演させても固定給プラス手当ですから、局としてもなるべく多く稼働させたほうがコスパがいいんです」(同・日テレ関係者)
限られた予算内で放送時間の延長を強いられている『ZIP!』において、水卜アナが番組総合司会を務めていることは大きな効果があるかもしれない。
「水卜アナは現在、副主任という肩書き。加えて彼女はどんなにハードなスケジュールでも、文句やわがままを言わないスタンスなんです。管理職が率先してバリバリ働いてるわけですから、後輩が不満を言えるわけもありません。リニューアル後の『ZIP!』は新人アナウンサーを総動員させて番組の視聴率アップを目指すと思います」(同・日テレ関係者)
日テレに外部スタッフへのギャランティなどについて問い合わせたが、期日までに返答はなかった。
『ZIP!』の番組コンセプトは《一緒にニッポンの朝を。つなごう、みんなのスマイルを。》のようだが、現場のスタッフたちには、どう響いているのだろうか。