「私は限られた財源の中で、その方々(高額所得者)に配るよりかは、より厳しい状況にある方に上乗せをするなり、別の形で、子育て支援、厳しい状況にある方への子育て支援をすべきだという考え方を今でも持っております」
2月1日の衆院予算委員会にて、「児童手当の所得制限撤廃案」について改めて否定的な意見を述べた西村康稔経済産業大臣。経産相として今後も「制限を設けるべき」との考えを持っているようだ。
これに岸田文雄首相は「それぞれの信念に基づいて議論を行うことは大事」と、あくまでも西村大臣の意見として受け止め、「最後に(撤廃の有無)結論が出たならば、一致結束その方針に向かって努力をしていく」と、自身の考えを明言することはなかった。
1月25日の本会議において「全ての子どもの育ちを支える観点から所得制限を撤廃すべき」と、自民党・茂木敏充幹事長が突如として主張した所得制限撤廃案の構想。この時も、やはり「一つの意見だと認識している」とのらりくらりの岸田首相ーー。
現制度において給付される児童手当は、中学生以下の子ども1人あたり月に1万円から1万5000円。親の年収が960万円以上になると5000円、1200万円を超えると子どもの数に関係なく対象外とされる。
そもそも経済支援策である児童手当がスタートしたのは1972年。50年前とは経済状況も物価高もまるで異なるだけに、茂木幹事長の「時代のニーズなども考えないといけない」との訴えは的確と言うべきだが……。
“ポスト岸田”の呼び声が高い茂木幹事長
「おそらくは岸田首相は“寝耳に水”だったのでしょう」とは全国紙政治部記者。
「茂木幹事長は“ポスト岸田”の筆頭候補とも目される、党内でも“頭が切れる”ともっぱらの評判の人物。おそらく所得制限撤廃を掲げたのは幹事長の“スタンドプレー”で、岸田首相の頭の中にはまるでなかった発想でしょう。
むしろ西村大臣の反応が示す通りに岸田内閣の総意としては最初から“NO”で、制限撤廃によって試算される支出額の約1500億円が惜しいと見えます。やはり“渋チン”内閣ですね」
しかし、そんな国民の財布事情を知らなさそうな、岸田首相による“大盤振る舞い”が連日報じられている。先の欧米5か国歴訪の際に、閣僚や関係者へお土産をポケットマネーで購入していたというのだ。しかも、中身は1本数万円ともされる高級ブランドのネクタイとの一部報道も。
そんな“お土産を購入する”大役を首相から任されたのが、政務担当の首相秘書官を務める長男・岸田翔太郎氏。お土産話が浮上したのも、きっかけは“翔太郎氏が外遊先で公用車を使って観光や買い物をしていた”という報道からだ。
「苦肉の策と言いますか、岸田首相はお土産購入を“公務”と主張することで、問題視された翔太郎氏の公用車利用は“適切だった”としたい思惑が透けますね。
それにしても、最初から“適切ではなかった”“以後、改める”として謝罪、公用車を使った分の費用を返上すれば問題はここまで大きくならなかったはず。本来は首相秘書官が助言すべき役目と言えますが、翔太郎氏は職務を果たすことができなかったのか」(前出・記者)
翔太郎氏の年収は1300万円超えか
内閣総理大臣や各務大臣、国会議員、また国家公務員の給与は法律に基づいて定められている。そして「特別職」と定められている「内閣総理大臣秘書官」、つまりは翔太郎氏もまた法律によって給与が“保証”されている。
「特別職第12号俸」給与は月額58万6200円 で、年額にすると703万4400円。そして期末手当などの手当を含めると、翔太郎氏は優に1300万円を超える年収を手にする計算になる。秘書官起用を決めた岸田首相は約1300万円で、国民の税金で息子を雇っているということか。
自民党界隈に精通する政治ジャーナリストは、翔太郎氏について、
「政務担当秘書官に就任したのは2022年10月だけに、今のところは目立った仕事ぶりは漏れ聞こえてきません。皮肉を込めて言わせてもらうと、パパの“お使い”かな(苦笑)。
まだまだ勉強中の身で独身ですが、すでに児童手当の所得制限を超える収入を手にしています。仮に結婚、子どもが生まれたとしてパパに“生活が苦しいんだ”とでも泣きつけば、岸田さんもようやく世間の現実を知って重い腰を上げるかもしれませんね」
息子への報酬が“最大の児童手当”と言われないためにも、国民に寄り添って職に従事してほしい。