《座席権利》
《ハーフタイム時のみも可》
《【譲】定価〜ご提示ください》
《お心当たりある方DMまでお願いします》
今、とあるサッカーの試合のチケットで妙な取引がなされている。文字だけではよくわからないこれらの呼びかけは、11日に開催される『FUJIFILM SUPER CUP 2023』のチケットに対してのものだ。この試合は、前年のJリーグ優勝クラブと天皇杯優勝クラブがシーズン開幕直前に行うもの。なぜこのような妙な形の取引がなされているのか……。
「『FUJIFILM SUPER CUP 2023』は、2022年のJリーグチャンピオンである『横浜F・マリノス』と天皇杯チャンピオンである『ヴァンフォーレ甲府』となりますが、ハーフタイムにアイドルグループ『JO1』のショーが行われることになりました。発表はチケット販売開始からしばらく経ったタイミングでした」(サッカーライター、以下同)
『JO1』は、日本の吉本興業と韓国のエンタテインメント企業CJ ENMによる合弁会社に所属。韓国の人気オーディション番組『PRODUCE 101』の日本版『PRODUCE 101 JAPAN』(TBS系)の合格者11人で2020年に結成された。2022年は、5都市13公演で11万人を動員した初のアリーナツアーを行い、年末には初の『紅白歌合戦』に出場を果たした。
ハーフタイムショーは、『JO1』から河野純喜、佐藤景瑚、川西拓実、木全翔也、豆原一成の5人が出演。試合会場は国立競技場。ショーはメインスタンド側で行われる予定だ。
「ショー開催の発表のタイミングでは、いちばんショーが見やすいメインスタンド側の『カテゴリー1』は両クラブのファンらで完売となっていました。そのため、サッカーファンで見やすい席のチケットをゲットし、そしてその旨をSNSに投稿していた人に対し、一部の『JO1』ファンが、そのチケットがほしいと“お願い”に回っているようです」
《ハーフタイム時のみも可》というのはどういう意味か。
「ハーフタイムだけでいいので」
「たとえばバックスタンド側など、ショーが見えづらいチケットは購入できたという『JO1』ファンが、“ハーフタイムだけでいいので、ショーが見やすいメインスタンド側と席を入れ替わってくれませんか?”ということです。その分のお金も払いますという人も。チケットを入手していない人は、“チケットごと売ってください”とお願いしていました。いずれも購入者のSNSにリプライを飛ばす、もしくは直接ダイレクトメッセージを送る形です。行動力があるというか……(苦笑)」
バレーボールにおける『V6』や『嵐』のように、試合の合間などにアイドルがショーを行うことは珍しくない。しかし、これらの一部『JO1』ファンらの“お願い”には批判の声が上がっている。
「純粋に試合を観に行くサッカーファンからすると、“ハーフタイムだけでいいので!”という問いかけは、気分の良いものではない。そのようなお願いがをしてくる人たちは、ハーフタイムが終わった瞬間にスタジアムを後にすることは容易に想像できるでしょう。この試合を観に行く『JO1ファン』がどれぐらいいるのかは未知数ですが、開幕前の華試合で後半スタンドに空席が目立ってしまったらサッカー界としては良くないですし」
批判は、サッカーファンらによるものだけでなく、むしろ『JO1』ファンらの声も多い。
《ちゃんと「試合を楽しみつつJO1の事も見よう!」って考えてる方々が居るのに「チケット譲ってください!」って自分の都合のいいことしか考えられんやつのせいで霞むんだよな。JO1とJAMが嫌われてしまう行為だって気付け》
《例え悪いけどライブチケットせっかく手に入れたのに「JO1は知らないですが、共演する〇〇が見たいので譲って!」って言われたらどうよ》
(以上、Twitterより。『JAM』は『JO1』の公式ファンネーム)
“JAM”を歓迎するサポーターもいる
「スポーツイベントにアイドルを呼ぶのは興行のためであり、またアイドルファンにもそのスポーツを観てもらい、ファンになってほしいという狙いで行うものです。『V6』や『嵐』のファンがその後どれだけバレーボールを観戦するようになったかは未知数なので、判断が難しい施策ではあるのですが……。
とはいえ『JO1』ファンを歓迎するサッカーファンも少なくなく、初めてサッカー観戦するだろう『JO1』ファンに向けて“快適なサッカー観戦のススメ”をTwitterなどで紹介している人もいます。もちろん“マニアが物申す”というものではなく、当日は駅〜スタジアムが混み合うからこうしましょうとか、荷物や服装、トイレについてなどです。
サッカーファンも『JO1』ファンも、このように好意的な人もいるなかで、一部のファンによってどちらも敵対心が生まれてしまったら、双方にとってもったいない。サッカーファンでも今回のショーによって“『JO1』ってかっこいいかも”と思う人だって出てくる可能性があるわけですから」
“好きなもの”がある人同士、憎み合うことは悲しい。ハーフタイムでスタジアムを後にする『JO1』ファンが多くないことを望むが、果たして……。