東京都西東京市の小峰和美市議が女性議員に対して「専業主婦になったほうがいい」「あなたは議会人ではない」といったハラスメント発言をしていたことが明らかになり、波紋を呼んでいる。
「昨年12月に行われた市議会選挙で、宗教2世救済などに力を入れるお笑い芸人の長井秀和氏がトップ当選を果たしました。世間からの注目が集まる中、ベテラン市議の長年に渡るハラスメントが発覚。通常、市議の不祥事は地方紙に小さく載る程度ですが、複数の全国紙が報じる事態になりました」(全国紙記者)
今回、声を上げた納田里織市議と後藤ゆう子市議の2人に話を聞いた。
娘に対し、友人たちの前で“お前は敵だ”と侮辱
「昨年、駅前で市民の方たちへの挨拶や演説をしていた際、たまたま私と顔見知りの方が多くいらっしゃり、たくさんの方に声をかけていただいたんです。近くにいた小峰さんはそれを快く思わなかったようで“支援者が多いんだな。いじめてやる”と言われたんです。それ以前にも、“最近太ったな”“痩せたな”といったセクハラ発言は多かったのですが、直接反論すると足を引っ張られると思い、我慢していました」(納田市議)
「市議になった1期目から“あなたみたいな人は権力闘争の場には向いていない”と言われていました。その後も、再当選するたびに“何で戻ってきたの?”“専業主婦になりなさい”と言われ続け……。野放しにしてきた私たちも悪いと思い、声を上げることにしたんです」(後藤市議)
小峰市議の暴言は、納田市議の娘にも向けられたという。
「新型コロナウイルスの感染対策で保護者ですら会場への立ち入りは禁止されていたにも関わらず、小峰市議は幼稚園の園長を務めていたこともあり、“卒園生である新成人を祝う”という名目で成人式の会場を訪問したんです。それだけでも問題なのに、卒園生である私の娘を見つけると、友人たちの前で“お前は敵だ”と侮辱したんです。有権者になるほかの新成人には“おめでとう”と言っているのに、なぜ娘にだけそんな言葉を投げかけたのか。晴れの日を台無しにされた行為は、許せるものではありません」(納田市議)
「本来、議会に水の持ち込みは体調が悪い人しか認められていないのですが、議長に許可をもらって男性市議がマイボトルを持ち込んだことがあったんです。小峰市議はそれを執拗に追求。そのせいで、1日余計に議会を開くことになったうえ、許可を出した議長が謝罪させられることになったんです。市民の税金で行われている議会を何だと思っているのでしょうか」(後藤市議)
長井「反省点を公にすべき」 小峰市議に直撃
自身のSNSで、今回の問題に言及している長井も、
「西東京市の議員はハラスメント慣れしているのが問題」
と、苦言を呈する。
「ハラスメントは10年近くに渡って行われてきた悪質なもの。にも関わらず、小峰市議は“冗談とハラスメントの違いがわからない人だよね”といった具合に容認されてきた。昭和の時代ならいざ知らず、今の時代は完全にアウトな発言です。しかし自民党など大きな会派は、後藤市議たちの告発を“まずは手順を踏んで”と、スルーしようとしていた。僕が“常識外れです”と指摘して、ようやくホームページで決議案などを公開したという流れです」(長井)
小峰市議は、謝罪文を納田市議と後藤市議に渡したというが、長井はこう続ける。
「2年ほど前に、西東京市ではハラスメントに関する講習会を行っていたにも関わらず、小峰市議の言動が見過ごされてきた。今回も“謝罪をしたから”と許すのではなく、再発防止のためにもどこが悪かったのかを本人がきちんと自己分析をした上で、反省点を公にすべきだと思います」
小峰市議の活動については、
「長年、市議を務めているにも関わらず、質問の内容が薄いんですよね。1つのミスを延々と指摘し続けていたり、ムダな時間が多い。無所属ではあるものの、仲のいい議員で派閥を組み、大変でなく報酬のいい“甘汁ポスト”にだけ就く。長年市議を務めているわけですから、本来はほかの市議の見本になるべきだと思うのですが……」(長井)
ハラスメント発覚後は、体調不良で議会を欠席している小峰市議。今回のことをどのように捉えているのか、2月8日に自宅から出てきたところを直撃した。
「駅前のような人が多い場所で、“いじめてやる”と本気で恫喝するわけがない。私としては褒めたり、フレンドリーに話したつもりでしたが、認識不足でした。これを機にハラスメントについてきちんと勉強し、西東京市をよくしていきたいと思います」
納田市議の娘に対して、成人式の場で「お前は敵だ」と言ったことについては、
「選挙のときはお互い敵同士なので、“またライバルになるな”というジョークの意味合いで話したつもりでした。でも、パワハラと捉えられてしまった。さすがに、卒園児を悪く言うことはないですよ。真意はともあれ、娘さんを傷つけてしまったなら申し訳ないと思ったので謝罪をしました」
と反省は示した上で、
「2人が発表した文書には、事実と異なる点もあります。納田市議と後藤市議もメディアやSNSを通じて意見を言う前に、直接僕に意見を言ってくれれば、ここまでボタンのかけ違いは生まれなかったと思う。逃げも隠れもしないので、取材する側も何か聞きたいことがあれば直接連絡してきてほしいです」
と訴えた。一方で、ほかの議員からは小峰市議に対してこんな声も。
「彼は無所属で盤石な地盤がないこともあり、最近では下位当選が続いています。安泰とは言えない立場なので、ライバルを減らすために、若手や女性市議に嫌がらせをしているように見えます」(前出・全国紙記者)
悔い改め、今後は西東京市民の手本となってくれることを信じたい。