嵐の5人(左から)二宮和也、相葉雅紀、松本潤、大野智、櫻井翔

 戦場では「どうしよう……」と松本潤が頭を抱え、テロリストに占拠された病院では「ウソだろ」と櫻井翔が奮闘する。'23年も相変わらず嵐のメンバーは主役としてドラマ界を引っ張り、その勢いは衰えを見せない。

 とはいえ、期待が高ければ失望も大きく、みなが満足する作品を届けるのは難しい。というわけで今回は、がっかり嵐ドラマを紹介。アンケートの結果、“残念な”嵐ドラマに選ばれた作品ははたして……?

漫画原作ドラマにファンの厳しい声が

「この作品が1位っていうのはすごく意外でした」とドラマウォッチャーで漫画家のカトリーヌあやこさんも驚いたがっかり1位は、大野智主演の『怪物くん』(日本テレビ系)。ご存じ藤子不二雄Aさんの人気漫画の実写化ドラマで、オンエアの翌年には映画化もされたヒット作。

映画化もされ話題となった『怪物くん』が1位に(写真は番組HPより)

 仲間のオオカミ男を今は亡き上島竜兵さんが演じていたり、格闘家のチェ・ホンマンがフランケンに扮するなど周りのキャラも立っていたのだが……。

「いろいろ違和感がありすぎて、内容が頭に入ってこなかった」(山梨県・37歳)。「コスプレ感が強く、見ていて恥ずかしかった」(福井県・45歳)など実写化に拒絶反応を示す視聴者も多かったようだ。

「たしかに藤子不二雄A作品の実写化はかなり無理めではあります。ただ、アイドルって国民的人気を得た瞬間、ファンの年齢層が一気に下がるんですよ。古くはピンク・レディーからSMAPやモーニング娘。もそう。そのとき、モー娘。だったらミニモニ。みたいなユニットができたり、SMAPだったら香取くんが慎吾ママをやったりというアイドルのキャラクター化現象が起こるんです。

『怪物くん』というのはまさにそれで、大野くんの怪物くんは嵐が国民的アイドルになった証明なんじゃないのかなと思います。ファンからすれば、これじゃない感が強かったのかもしれませんが、あのキャラを演じきれる大野智という役者は逆にスゴいなと思いますよ(笑)」(カトリーヌさん)

 2位は『となりのチカラ』(テレビ朝日系)。ワケあり住人ばかりのマンションで、松本潤演じるお節介な善人・チカラが人助けに奮闘する物語だったが……。「松潤演じる主人公にまったく共感できなかった」(山形県・51歳)。「チカラがひたすら空回りしていて松潤の魅力ゼロ」(青森県・38歳)などなど、とにかくチカラのキャラに非難殺到!

松潤演じる主人公に共感できないという声が多かった『となりのチカラ』(写真は番組HPより)

「脚本が遊川和彦さんなんですけど、遊川作品ってある種の社会実験なんですよ。この作品の場合は、マンションという箱庭にDV親父やヤングケアラーというような問題を抱えた人たちを配置して、そこに誰かの役に立ちたい善人を放り込んだらどうなるかという実験。

 登場人物すべてがそのためのコマに過ぎず、それは主人公のチカラも同じ。感情移入させる必要もないので、まるで魅力のない人物になってる。そこが松潤ファンには許せなかったんでしょうね。ただ、松潤本人としてはカッコ悪い自分も見せたいという思いもあるでしょうし、演じがいはあったんじゃないでしょうか」(カトリーヌさん)

まさかの『花男』がランクイン!

 3位には櫻井翔と広瀬すずがポンコツ探偵と天才助手に扮したミステリー『ネメシス』(日本テレビ系)がランクイン。「とにかく演出が寒くて2話以降見る気がしなかった」(大阪府・40歳)。「もっと面白くなると思うのに何がダメだったのか、それこそ謎……」(山形県・51歳)などのコメントにはカトリーヌさんも納得で、「私的にはこれが1位かもしれないです(笑)」と。

3月に映画版が公開される『ネメシス』(写真は番組HPより)

「キャストも豪華だし、脚本&演出も入江悠さんという優れた映画監督を起用して、トリックに関しては著名なミステリー作家が協力……と要素的には成功間違いなしなんですよ。で、ワクワクしながら見たら、なんじゃこりゃって(笑)。

 よくわからない『あぶない刑事』のオマージュや櫻井くんが“カザラップ”と自称しつつラップ対決したりと、どうだ面白いだろうってやってることがことごとくスベるという、どんなホラーよりも背筋が凍りました。これから公開される映画も不安しかないですが、怖いもの見たさも(笑)」

 そして、4位には名作『花より男子』(TBS系)がまさかのランクイン。「原作が好きだったのに終わり方が違っていた」(大分県・32歳)。「漫画のキャラと違っていた」(栃木県・41歳)などのコメントを見ると、ドラマとしての面白さがどうというよりは原作漫画とのギャップが気になった人が多かったようだ。

「まぁ名作漫画の実写化には必ずそういう反応はありますから。ドラマ単体として見れば、素晴らしい作品だと思います。松潤演じる道明寺はドSの俺様だけど愛すべきおバカキャラ。ツンデレ松潤に花沢類役のすかしたオグシュン(小栗旬)が最高で、当時はまだ壁ドン顎クイのようなキュンの概念がなくて、その後に乱立するキュンドラマの元祖ともいえる作品です」(カトリーヌさん、以下同)

 そして5位は相葉雅紀主演のコメディー系ミステリー『貴族探偵』(フジテレビ系)。

「これは相葉くんが貴族に見えなかったという、それに尽きるのかな(笑)。そもそも貴族って何?っていう設定自体が謎なドラマでしたね。滝藤賢一さんや松重豊さん、中山美穂さんの使用人トリオは面白かった一方で、じゃあ相葉くんの役割は……というのがファンにとっては不満だったんだと思います」

嵐は何かも守るために戦うドラマが多い

 6位以下の作品に関しては「それぞれ魅力があって、がっかりというよりも面白い作品のほうが多いです」とカトリーヌさん。そういう作品ががっかりにランキングされるほど嵐作品は期待値が高いということなのかも。今回あらためて嵐のドラマを振り返って、カトリーヌさんはあることに気がついたそうだ。

「嵐って何かを守るために戦うことが多いなって。今、『どうする家康』で松潤は家族や家来を守るために戦ってるし、『大病院占拠』の櫻井くんもそうですよね。相葉くんだったら『ようこそ、わが家へ』がそういう作品だったし、『マイファミリー』の二宮くんも家族を守るために戦っていた。ちょっと毛色は違うけど『魔王』の大野くんの復讐劇も亡くなった弟のための戦いでした。

 一方、例えばSMAPとかは、もっとキャラがばらけていて、独特な作品が多い。それって嵐の持つ善良さというグループイメージゆえなのかなと。日本人にとっての良心みたいな立ち位置のグループが嵐だったんじゃないですかね」

 そう考えると今年、二宮和也と松本潤が40歳を迎え、メンバー全員が40代となる嵐はこれから本格的なハマり役を得ていくのかもしれない。父親として家族を、さまざまな職業を通して何かを守る──『どうする家康』での松潤の元康(徳川家康)や『大病院占拠』で櫻井翔演じる武蔵には、その匂いを強く感じる。嵐としてのパフォーマンスは見ることができないけれど、役者としての嵐メンバーにはこれからも期待しかない!

全国の女性1000人にアンケート「がっかり嵐ドラマランキング」

1位『怪物くん』 64票 '10年 日本テレビ系 出演/大野智、松岡昌宏

2位『となりのチカラ』 47票 '22年 テレビ朝日系 出演/松本潤、上戸彩

3位『ネメシス』 45票 '21年 日本テレビ系 出演/広瀬すず、櫻井翔

4位『花より男子』 42票 '05年 '07年 TBS系 出演/井上真央、松本潤

5位『貴族探偵』 36票 '17年 フジテレビ系 出演/相葉雅紀、武井咲

6〜10位のランキング
6位『マイファミリー』(31票 '22年 TBS系 出演/二宮和也)、7位『謎解きはディナーのあとで』(27票 '11年 フジテレビ系 出演/櫻井翔)、8位『ザ・クイズショウ』(22票 '09年 日本テレビ系 出演/櫻井翔)、9位『99.9-刑事専門弁護士-』(18票 '16年 '18年 TBS系 出演/松本潤)、10位『ようこそ、我が家へ』(14票 '15年 フジテレビ系 出演/相葉雅紀)

カトリーヌあやこ●漫画家&ドラマウォッチャー。『週刊ザテレビジョン』でイラストコラム『すちゃらかTV!』を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など

(取材・文/蒔田陽平)

全国の女性1000人にアンケート「がっかり嵐ドラマランキング」

 

「TikTok」に投稿された、流出したと思われる大野智の動画4/4

 

2021年8月、新恋人らしき女性とマザー牧場を訪れた大野智

 

2022年11月、ドラマ『大病院占拠』の撮影に臨む櫻井翔

 

2018年10月、愛車で自宅マンションに帰ってきた二宮和也

 

2006年4月、ジャニーズチームで草野球を楽しむ相葉雅紀

 

『第64回紅白歌合戦』リハーサル中の嵐・松本潤('13年)