《本当にユーチューバーって“社会不適合者なんだな”っていうのを如実に表したような感じ。やっぱり越えちゃいけない一線ってあると思うし、法を犯すっていうのはよくない。真っ当に働けばいいものを、落ちぶれて犯罪に手を染めて稼ごうとするっていうのがキツイ》
2月15日にカリスマユーチューバー・ヒカルが自身のYouTubeチャンネルを更新。投稿した動画にて、売春防止法違反の疑いで逮捕された元『禁断ボーイズ』のユーチューバー・モーリーこと森衡平容疑者を“社会不適合者”と呼称して断罪した。
ヒカルとモーリーは、ユーチューバグループ『NextStage』のメンバーとして活動を共にしていたのだが、《禁断ボーイズにいるときから何の役にも立たないやつだった。人間性ぐらいはまともかなと思っていた》と、かつての“同胞”をバッサリ切り捨てるような発言も。
「ヒカルはかねてより、モーリーを“社会不適合者”や“クズ”などとこき下ろしていましたが、それは彼の“キャラ付け”の意味合いもあったと思います。しかし、本当に逮捕されてはシャレにならない。自分に“火の粉”が降りかかることも見据えて、先手を打って関係を断ち切ってみせたのでしょう。
それにしても『ウェストランド』井口さんのネタじゃないですけど、“ユーチューバーは警察に捕まりはじめている”が現実味を帯びていますね(苦笑)」
YouTube事情に詳しいITライターが苦笑いするように、近年の事件を伝えるニュースにおいて「職業はユーチューバー」という肩書きを耳にするケースが増えているように思える。
昨年末にも格闘家で、ユーチューバー活動もしていた“ぱんちゃん璃奈”こと岡本璃奈が詐欺容疑で逮捕されたばかり。2023年に入っても、交際相手に暴行を加えた静岡県内の男性、大阪市内の路上で知人女性の暴行を加えた男性が逮捕される事件が報じられたが、いずれも職業は「動画配信業」「自称ユーチューバー」としていた。
逮捕後も動画配信を続けるユーチューバー
「それこそワタナベマホトは2019年に傷害容疑、2021年には児童ポルノ違反の疑いで逮捕されていますし、また迷惑系で名を売ったへずまりゅうも傷害、窃盗、威力業務妨害などで複数回の逮捕経験あり。他にも逮捕されたユーチューバーは枚挙にいとまがない。
そして元欅坂46・今泉佑唯と結婚生活を送るワタナベは例外として、ヒカルが言うように多数のユーチューバーが“真っ当に働く”ことなく、ユーチューバーとして舞い戻り、またコンテンツを変更しての配信行為を続ける者が多い印象です」(前出・ITライター、以下同)
もちろん逮捕者はごく一部であって、真面目に動画配信をしているユーチューバーがほとんどである。が、逮捕者や迷惑行為が続くことで「ユーチューバーは社会不適合者」というイメージが世間に定着していくことも考えられる。
「汗水垂らして地道にコツコツ働くよりも、一見して、いわば“好きなことをして稼げる”“ラクして稼げる”ように映るのが彼らの仕事であって、ヒカルが“一回成功して甘い汁吸っちゃったら戻れない”と実態を明かしていたことも頷けます。
たとえ迷惑系だろうと炎上しようとも、再生回数さえ伸びれば収益を得られるわけですから、それは一般的な感覚とかけ離れていくのも無理はない。また熱心なファンからは“いいね”されて、それでいて莫大な収益を手にしてしまえば、社会経験が少ないほどに“自分は特別な存在”と勘違いしてしまうのかもしれません」
ラファエルら減収を訴え始めた面々
しかし、そんなYouTube稼業にも陰りが見え始めている。
2022年12月にチャンネル登録者数180万人の人気ユーチューバー・ラファエルが「広告収益は10分の1に落ちてます」と明かせば、同じく200万人超えのぷろたんも2023年1月の年始早々に「収益が5分の1になった」と減収を報告。
さらに122万人のシバターも、2021年と2022年を比較して再生回数と収入が共に約4割減少したと明かすと、各々が「YouTubeはすでにオワコン化」とする主張を繰り返すなど、YouTubeでの広告収入が減少していることを相次いで訴え出したのだ。
ベネッセ『進研ゼミ小学講座』が発表(2022年12月)した「小学生がなりたい職業」によると、2020年から3年連続で1位になっている「ユーチューバー」。小学生たちが今も夢見る「なりたい職業」は本当にオワコンと化しているのだろうか。
「YouTube自体がオワコンなのではなく、“オワコンユーチューバー”が増えているのだと思います」とは、IT業界に通ずる広告代理店営業スタッフ。
2月2日に米グーグルの持株会社が発表した決算報告によると、2022年第4・四半期決算でのYouTube全体の広告収入は前年比8%の減収としている。日本でも特に若い世代に支持されている『TikTok』をはじめとした、他の動画配信ツールとの競合も一因と見られているのだがーー。
ヒカキンは「広告単価上がってる」
「トップユーチューバーであるヒカキン(HIKAKIN)さんは、“広告単価がめっちゃ上がっている”と逆に収益が増えていると明かしています。チャンネル登録者数が1100万人を超えるヒカキンさんだけに、視聴者への費用対効果が高い、広告価値がある動画だと判断されているのだと思います。
これは私の主観ですが、他にもビジネスや金融、美容、趣味実用といった“ためになる動画”を手掛けているユーチューバーは再生回数も安定し、また広告減収の影響をさほど受けていないよに見受けられます。
一方で、迷惑系を代表するような過激でインパクト重視の動画は、一時は再生回数が伸びるものの長いスパンで見ると有益とは思えず、結局は広告価値がないと見做されて単価も下がってしまうのではないでしょうか」(同・営業スタッフ)
なるほど、減収を訴える面々が得ていたこれまでの収益が、ヒカキンをはじめとした有益とされるユーチューバーに流れているというわけか。今後は広告価値がないと判断されるユーチューバーが淘汰されるような二極化が進むのかもしれない。
また前出のITライターは、視聴者側の都合による“変化”にも言及する。
「見ている側も年齢を重ねているわけで、進学や就職、結婚や出産などで生活環境が変わればYouTube視聴に充てる時間も減ったり、また興味が他に移るのは至極当然のこと。ユーチューバーだけが成長せずに何年も同じことをしていれば、それは視聴者離れが起きるというもの。
一説によると、ユーチューバーが揃って“YouTubeはオワコン化”と叫んでいる理由に、これ以上の新規を参入させないための予防線と見る向きもあります。飽和状態となっている市場だけに、YouTubeでしか稼ぐことができない、それこそヒカルが言う“社会不適合者”はモーリーのような“末路”を辿ることになるのかも」
ヒカル自身にとっても、“明日は我が身”という戒めなのだろう。