「日本という国を知ってもらい理解してもらうこと。天皇陛下をはじめ皇室の方々による国際交流は、親善が目的ですね」
こう話すのは皇室を長年、取材してきた記者。
天皇家とヨーロッパのご交流
「一時期、“皇室を外交に利用するな”という声が出たこともありましたが、皇室の方々は(諸外国の要人とお会いになっても)政治的なお話をされることもなく穏やか。日本という国をまさに象徴する形で、親善に努めていらっしゃいますね」
(同・皇室担当記者、以下同)
63歳になられる天皇陛下。長きにわたって各国の要人と交流を深めてこられた。高校時代には初来日したイギリスの故エリザベス女王とお会いになった。
「エリザベス女王とは、陛下がオックスフォード大学に留学中にも会われていて、留学生活の体験記『テムズとともに』では女王からバッキンガム宮殿に招かれたことが記されています」
故ダイアナ妃は'86年、'90年にチャールズ国王(当時・皇太子)と、'95年には単独で来日。このとき、'93年に結婚された雅子さまとの対面が実現している。
イギリス以外でも、ヨーロッパの国々との関係は深い。
「オランダやベルギー王室とは、特に交流が深いようです。雅子さまのご体調がすぐれなかった時期、'06年にオランダから招待され、ご家族で静養のために渡蘭。当時は愛子さまも雅子さまのご体調に心を痛めてか、あまり笑顔をお見せにならない時期でしたが、2歳下のアマリア王女がおちゃめに笑顔を引き出し全員、弾けるような笑顔のすてきな写真が生まれました」
また、次期国王のエリザベート王女が愛子さまと同い年のベルギー王室とは、こんな秘話が。
「'02年の日韓W杯、日本vsベルギー戦を天皇陛下(当時・皇太子)と雅子さま、フィリップ国王(当時・皇太子)夫妻が、埼玉スタジアムで一緒に観戦されました。仲の良さが伝わりますね」
「陛下は憧れの存在」
昨年12月にはフィリップ国王の妹・アストリッド王女が来日。天皇、皇后両陛下、愛子さまと王女が皇居でご懇談を。
「予定時間をオーバーするほど話が弾んだそうです」
ご結婚後、陛下と雅子さまおふたりでの初めての国際親善の場は、'93年の東京サミット。アメリカ・クリントン大統領やロシア・エリツィン大統領らと宮中晩さん会で歓談された。
おふたりでの初めての海外ご訪問は'94年、中東4か国へ。
「オマーンでは、ご結婚のお祝いに故カブース国王からアハージージュという名前の馬を贈られました。アハージージュは翌年、日本にやってきて、その翌々年には子どもも生まれました」
'95年1月にも中東3か国を訪問されたが、阪神・淡路大震災のため、スケジュールを切り上げてのご帰国となった。各国の要人が来日した際にお出迎えするお姿も、いつもやさしいオーラが漂っている陛下。
「海外の要人の中には、陛下を憧れの存在と思う人もいると聞きます。お会いできてうれしいと感じる人も多いのでは」
'19年に即位され、その翌年からコロナ禍になってしまったが、早くまた活発に行き来できるようになって、国際親善に励まれるお姿を見たいものだ。
「語学はもちろんのこと、ホスピタリティー精神が素晴らしい両陛下。外国でもとても好感度が高いおふたりなので、これからますますご活躍されることと思います」
撮影/本誌写真班、JMPA 写真提供/宮内庁