2月中旬、京都のある無人駅には雪が少し積もり始めていた。そこから5分ほど歩いたところに、風情ある一軒家が。玄関前には、手書きで《柄本》と記した“間に合わせ”の表札が貼られていた。
「柄本佑さんの家ですよね。安藤サクラさんとご家族で京都に引っ越したと聞いています。お子さんが来年、小学生になりますから、京都での進学先を考えた移住かもしれません」(芸能プロ関係者)
ふたりとも俳優で、おしどり夫婦として知られている。
「どちらも俳優一家の出身です。柄本さんは、個性派俳優の柄本明さんと女優の故・角替和枝さんの間に生まれた3人きょうだいの長男。弟の時生さんも俳優として活躍しており、姉も映画関係の仕事についています。安藤サクラさんは、父親が俳優の奥田瑛二さん、母親はエッセイストの安藤和津さんで、姉の桃子さんは映画監督。“最強”ともいわれる芸能一家です」(演劇業界関係者)
柄本明が座長を務める『劇団東京乾電池』の稽古場は下北沢にあり、アトリエ兼自宅として使われている。
「下北沢は、劇場がいくつもある“演劇の街”です。佑さんはずっと下北沢暮らしだったはずですよ。結婚してからも、下北沢の自宅がリフォーム中だったときは、妻と娘も一緒に実家で暮らしていたそうです」(同・演劇業界関係者)
芸能人のトレンド“デュアルライフ”
下北沢になじんでいた柄本夫婦が、なぜ約500kmも離れた京都の田舎に引っ越すことになったのだろう。
「珍しいことではありません。今、芸能人たちの間で、2つの地域に生活拠点を持つ“デュアルライフ”がトレンドになっています。小雪さんと松山ケンイチさん夫婦は北の地に拠点を移しました。柴咲コウさんは仕事があるときだけ東京へ行き、普段は北海道で暮らしています。杏さんは、去年の7月からフランスと東京の二拠点生活を始めました。子どもたちと自然の豊かな地方に住み、野菜や果物を一緒に育てながらのスローライフが人気なんです」(前出・芸能プロ関係者)
柄本夫婦が住む家も、都市部の喧騒から離れた地域にある。家のすぐ裏は山。小川も流れており、少し歩くと川を渡る橋に行き着く。住民には昔から住んでいる年配者が多く、若い人の姿はあまり見かけない。
「あのお宅は去年の3月くらいから住み始めたかな。お子さんを連れて挨拶に来てくれました。えっ、あの人たちって俳優さんなの? こんなところに有名人がいるなんて……」(近所の住民)
2階建てのこぢんまりとした家で、派手な設えにはなっていない。娘は近所の幼稚園に歩いて通わせているという。完全に町に溶け込んでおり、気づく人もほとんどいないようだ。
「とても感じがいいし、娘さんは“こんにちは!”って挨拶してくれる。ちゃんとしている、ごく普通のご家族ですよ」(ほかの住民)
柄本佑に話を聞く
朝9時前に佑が車で出ていくと、サクラは娘と家の前で鬼ごっこをした後、タクシーでお出かけ。夕方6時過ぎ、仕事から帰宅した佑に話を聞いた。
─京都に引っ越したのは、娘さんのお受験のため?
「いえ、違います。でも、先のことはわかりませんが、いろいろと考えてのことで。特別、何か目的があるわけではないんですよ。受験とか、決まったことには縛られたくないし、子どもの意思は尊重したいと思っています」
─ここは自然が豊か。
「そうなんです。近所を歩かれたならわかると思いますが、この辺は自然がきれいで、そういう部分も気に入った理由ではありますね」
佑は無類の映画オタク。“映画の街”太秦のある京都には憧れがあったという。
「僕は映画ファンですから、京都には松竹などの撮影所があるし、剣劇スターの阪東妻三郎さん、歌舞伎役者の萬屋錦之介さんがいらっしゃったという歴史にも触れられる。役者をやっている者としては“聖地”ではあります。そういった緊張感もありますし、妻も同じ気持ちだと思いますよ」
'18年のNHK朝ドラ『まんぷく』ではサクラがヒロインを務め、しばらく大阪で暮らしていた。そのころから移住の考えがあったのかもしれない。ただ、今は東京での仕事が多く、行き来するのは苦労が多そうに思えるが……。
「大変ではないです。京都は仕事でもよく来ていましたから。とにかく、京都が好きなんですよね」
─東京にも家は残して、二拠点生活ということ?
「そうですね。仕事があるときに東京に行く感じですね。定住せずに、行ったり来たりするのもいいなと思っています」
サクラは現在、ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)で主演を務めている。売れっ子だけに、これからも仕事が途切れることはなさそうだが、子育てに支障はないのだろうか。
「妻は今、連ドラがあって、撮影時は1人で東京に行っています。そういうときは子どもの面倒は僕が見て。フレキシブルに対応しているという感じです。お互いがその時々で協力し合っています」
'24年の大河ドラマ『光る君へ』の出演で多忙に
'17年に第1子が生まれてから、夫婦で協力する場面が多くなった。佑は'21年にテレビ番組でそうした感謝の気持ちを語っていた。
「仕事から帰ってきて、どんなに忙しくても、じゃあ作っちゃうねって、冷蔵庫の中にあるもので、何か料理を作ってくれる。そこらへんは、やっぱかなわないなあって感じがします」
サクラも'20年のインタビューで夫の協力について話していたことがある。
「夫がご飯をお昼から作ってくれたり、生活の中での家事を分担してくれています」
お互いに相手を思いやっていることが伝わってくる。
「柄本さんは'24年の大河ドラマ『光る君へ』の出演が決まっており、かなり忙しくなると思います。そうしたら、今度は安藤さんが子育ての役割を多く担うようになるのでしょうね」(前出・芸能プロ関係者)
京都移住についての妻との話し合いまでは教えてくれなかったが、ふたりの間には夫婦の“ルール”があると、インタビューで明かしていた。
《大きい決断をする時、君がいいならそれでいい、私もそれでいい、そう話し合って終わり。たがいに干渉せず、おいしいものを一緒に食べて暮らす》(『フィガロジャポン』'22年3月号)
仕事にも子育てにも全力で。京都と東京での二拠点生活は、夫婦にとって理想の“ブラッシュアップライフ”なのだ。
ポッドキャストでも配信中!
Spotify、Apple Podcast、Google Podcastでも配信しています。音声プレーヤーの右上にある購読ボタンでリンクを表示できます。
※最新エピソードの更新通知を受け取るには、Apple Podcast・Spotifyアプリから番組を「フォロー」してください。
【出演】
金丸デスク(副編集長)
【パーソナリティ】
八木志芳(ラジオDJ)
【ご意見・ご感想】
メール:sjpodcast@mb.shufu.co.jp
お問い合わせフォーム:https://www.shufu.co.jp/inquire/s-josei/