にんにく鼻を食い止める(※画像はイメージです)

 テレビを見ていて「この芸能人、こんなに鼻がデカかったっけ?」と感じたり、マスクを外して鏡に映る自分を見て「私の鼻、にんにく化してる……?」なんて、ひとりごちてしまったりした経験はないだろうか。

中高年以降は要注意!加齢で巨大化する鼻

「過去の自分の写真と比べて鼻が大きくなっていると感じたなら、それは目の錯覚ではなく、本当に鼻が大きくなっているんです。鼻の巨大化は、骨が萎縮して起きる“老化現象”のひとつなんです」

 そう話すのは、美容皮膚科医師の友利新先生。骨の萎縮と鼻の巨大化は、どのような関係があるのだろうか。

若いころから比較的大きな鼻が印象的だったお笑い芸人の内村光良(58)。年齢を重ね、「変化が気になる」と、感じる視聴者が続出しているよう

「鼻は、頭蓋骨の中心にある空洞の上に鼻骨と薄い皮膚と軟骨がのり、それを皮膚で覆う形でつくられた器官です。年齢を重ねて骨の量が減少すると、鼻がある頭蓋骨も萎縮して空洞が広がります。

 その結果、空洞と一緒に鼻も横に引っ張られていき、小鼻が大きく広がってしまうんです。さらに40代以降は肌のたるみも加わって、よりボテッとした印象になる、と考えられています」

 特に、閉経した女性は女性ホルモンが減少して骨の量も少なくなるため、頭蓋骨の空洞も大きくなりやすいという。

 骨が減るのは老化現象なので、年を取れば誰しも鼻が大きくなるが、「団子鼻やわし鼻などもともと目立つ鼻の人は、より強調されてしまいます」と、友利先生。

「鼻は顔の中心にあるため、その人の印象を左右するパーツでもあります。一般的にはあまり目立たず、特徴のない鼻が“美しい鼻”といわれているんです。

 若いころから鼻が目立たない人は、加齢で鼻が大きくなっても気づかれにくい、という特徴がありますね。ただ、顔の美しさは全体のバランスで考えるものなので、鼻の形や目の大きさなど、パーツだけで判断するのは禁物。

 個性的な鼻がチャームポイントになっていたり、大きな鼻でバランスが取れている顔の人もいるので、鼻の造形にとらわれすぎないようにしましょう」(友利先生、以下同)

 また、近年の“マスク生活”も鼻に注目が集まりやすい環境になっているという。

「私たちはマスクをしている顔を見ると『この人は鼻の存在感がなく、口元もキレイなはず』と、隠れている部分を勝手に補正して全体像を想像します。

 そのため、マスクを外したときに、本来の顔を見ると『鼻が大きい!』と感じたり、想像と違ってガッカリしたりしてしまうんです」

 それは自分自身に対してもいえるという。自分のマスク顔に見慣れてしまって自分自身を美化しているので、余計に鼻が大きくなったように感じてしまうこともあるとか。

「ちなみに、マスク生活でよく耳にしますが、長い間マスクをしていても、鼻が低くなったり、大きくなったりと、骨格が変わるようなことはありません」

 なお、手足の先端や鼻、顎など身体の一部が大きくなる「先端肥大症」などの病気の場合もあるので、変化が気になる場合は病院の受診を。

洗濯バサミは絶対NG!まずはメイクで錯覚を

 個人差はあるものの、いずれ鼻は大きくなる。友利先生は「難しいかもしれないが、まずは“そういうものだ”と変化を受け入れてほしい」と話す。

「美容整形で鼻を小さくする方法もありますが、骨を削るなどの大手術になるケースが多いんです。医師の手腕も問われる部位の手術なのでリスクも高く、あまり現実的な選択ではないですね。

 また、マッサージや表情筋トレーニングなどの民間療法を試したくなるかもしれませんが、実は効果は期待できません」

 それらの中でも、洗濯バサミで鼻を挟むにんにく鼻対策は絶対にNG。

「先にお伝えしたとおり、鼻は骨の萎縮で大きくなるので、外側に力を加えても意味がありません。むしろ皮膚が伸びて“たるみ”の原因になってしまいます」

 そうした民間療法に頼るよりも、過度なダイエットを避けて、積極的にカルシウムや女性ホルモンをサポートするサプリをとるなど、食事や生活習慣を改善するほうが効果は期待できるという。

「また、鼻と関係ないと思われがちですが、過度な日焼け対策もおすすめしません。私たちは、日光を浴びて骨の材料になるビタミンDを体内でつくるのですが、太陽を避けすぎると骨をつくる機会が失われてしまいます。

 サプリメントや食事でもビタミンDを摂取できますが、日焼けしない程度に日光を浴びることが大切です」

 一度大きくなってしまった鼻を元に戻すことはできないというが、今以上に鼻が大きくなるのを食い止めるには“骨密度”を高めることがいちばん効果的なのだ。

 骨のケアは、顔のアンチエイジングだけでなく、骨粗鬆症予防にもなるのだからやって損はない。

「すぐに鼻の印象を変えたいなら、やはり“メイク”でカバーするのがおすすめ。私自身も鼻骨が太くて団子鼻で鼻にコンプレックスがあるため、メイクで調整しています。

 ノーズシャドーを小鼻に入れたり、鼻筋にハイライトを細く入れたりと工夫をすれば、鼻を小さく見せることも可能です。

 今はさまざまなアイテムがありますし、YouTubeなどでメイクを紹介している動画もいろいろあるので、それらを使って自分に合った小鼻メイクを試してみるのも楽しいですよ」

友利先生直伝!メイクで鼻を目立たなくするテクニック

・小鼻が気になる人

 肌より一段くらい色の濃いペンシルやノーズシャドーを使い、小鼻の丸い部分から鼻先にかけて“くの字”に影を入れると、シャープな鼻の印象になる。

・鼻筋の太さが気になる人

 鼻筋の両サイドに肌より少し濃い色のノーズシャドーを入れ、鼻筋にはハイライトを細く入れる。どちらも濃すぎると逆に鼻筋のインパクトが強くなってしまうので、ほどほどに。

友利先生直伝!メイクで鼻を目立たなくするテクニック(イラスト/日江井香)

毎日コツコツ!いちばん大事なことは骨のケア

Point1:運動すること

 運動によって骨に適度な負荷をかけると、骨を形成する際にカルシウムの利用率が上がり、骨密度もアップする。ウォーキングなど、無理のない範囲で運動習慣を身につけよう。

※画像はイメージです

Point2:過度なダイエットや喫煙習慣はやめる

 食事を減らすなどのダイエット法は、骨づくりに必要な栄養素も不足させてしまうのでNG。また、喫煙は皮膚の組織をかえて肌のたるみにつながるため、鼻がボテッと広がる要因に。

Point3:女性ホルモンを整えるサプリを飲む

 女性ホルモンと似た働きをする「エクオール」をサプリメントなどでとると、閉経後に減った女性ホルモンをサポートしてくれる。骨の強化やケアが期待できる。

※画像はイメージです

鼻が大きくなるメカニズム
 加齢で目や鼻まわりの骨が減少すると、頭蓋骨の空洞も広がる。それに伴い、皮膚が伸びてしまい、鼻が巨大化……。さらにたるんだ肌も鼻をボテッとさせる要因に

鼻が大きくなるメカニズム(イラスト/日江井香)
友利新先生●ともり・あらた。皮膚科医、内科医として美容と健康を医療として追求し、メディアを通じて美しく生きるための啓発活動を行うクリエイター。公式YouTubeチャンネルは登録者数78万人以上!
教えてくれたのは……シロノクリニック恵比寿医師 友利新先生●ともり・あらた。皮膚科医、内科医として美容と健康を医療として追求し、メディアを通じて美しく生きるための啓発活動を行うクリエイター。公式YouTubeチャンネルは登録者数78万人以上!
友利新/医師「内科・皮膚科」→https://www.youtube.com/channel/UCS02b3Y9RCzsT2k4no6LN-g
取材・文/大貫未来(清談社) イラスト/日江井香