2月28日、ついに関東がスギ花粉の最盛期に入った。東京都の発表によると、今年の花粉の量は去年の2.7倍、1985年に観測を始めて以来、過去4番目の多さだという。花粉症の人にとっては、ますます憂うつな日々になる。
特につらいのが目のかゆみだ。鼻はマスクをすれば多少は防げるものの、目を守るのは至難の業。花粉対策用のゴーグルはあるが、かなり目立つので常につけておくのは難しい。薬をのんでもおさまらない目のかゆみは、耐えるしかないのか。
目薬は2つに種類に分けられる
「目がかゆくて仕方ないというときは、市販の目薬を上手に使うのも手です」と話すのは眼科専門医の平松類先生だ。ドラッグストアに行くと多くの目薬が並んでいるが、商品パッケージに「かゆみに効く」と書いてあるものを選べばいいのだろうか。
「いえ、それだけでは不十分です。『かゆみに効く』と書かれていても、いまの時期に使っても効果が低い目薬もあるんです」(平松先生、以下同)
では、花粉がピークのこの時期に使うべき目薬は、どういうものなのか。
「そもそも、花粉症で目がかゆくなるのは、身体の中でヒスタミンという物質が発生して受容体にくっつくことが主な原因です。かゆみを止めるには、ヒスタミンの発生そのものを止めるか、あるいは、ヒスタミンが受容体にくっつかないよう邪魔する必要があります。
そのため、『かゆみに効く』と書いてある目薬は主に、“ヒスタミンの発生を止める成分”が入っている目薬と“ヒスタミンの働きを邪魔する成分”が入っている目薬の2つに分けられます」
目がかゆくて仕方ない場合は、すでにヒスタミンが大量に出ているので、そのタイミングでヒスタミンの発生を止める目薬を使っても意味がないのだ。
「いままさにかゆいときに使ってほしいのは、ヒスタミンの働きを邪魔する成分が入っている目薬です。ただし、その成分にもいくつか種類があるので要注意です」
今、かゆいときに使える目薬とは
ずばり、いちばんおすすめの成分は「ケトチフェンフマル酸塩」だという。
「ほかにも、クロルフェニラミンマレイン酸塩といったかゆみ止めの成分もありますが、この効果は限定的です。市販の目薬でかゆみに効果的なのは『ケトチフェンフマル酸塩』という成分です」
商品名としては、『ジキナAL点眼薬』や『アイリスAG』などだ。ちなみに、ヒスタミンの発生を止める目薬は、もっと早い時期に使えば意味があるということだろうか。
「そうです。例えば、『アシタザノラスト水和物ヒスタミン』というヒスタミンの発生を抑える成分の入った目薬は、かゆみが出る前に使用すれば効果的です。また、ヒスタミンの発生を抑える成分と働きを邪魔する成分の両方が入っている目薬もありますが、これは、かゆくなり始めに使うのが最適です」
両方の成分が入っている目薬があるなら、それがいつでも使えてベストなのでは?
「実は、その目薬に入っているかゆみを抑える成分は効果が弱いものなんです。いちばん効き目のあるケトチフェンフマル酸塩という成分が入っている目薬のなかで、ヒスタミンの発生も止める成分が入っている市販薬は現時点ではありません。いまかゆくて目薬で症状を抑えたいときは、ケトチフェンフマル酸塩が入っている目薬を選びましょう」
「かゆみに効く」と書かれている目薬の多くは1000円以上する。かゆみに効かない目薬を買ってしまってはソンだ。パッケージに書いてある成分をよく確認したい。