岸信千世氏(岸信夫公式インスタグラムより、一部編集部加工)

 安倍晋三元首相の甥っ子で、元フジテレビ局員の岸信千世(きしのぶちよ)氏が新たにホームページを立ち上げた。

 体調不良で衆議院議員を辞職した、父親・岸信夫内閣総理大臣補佐官の後を継ぐべく、自民党公認のもとで山口2区の補欠選挙への出馬を表明していた信千世氏。ところが、政治家デビューへの第一歩を踏み出した途端に炎上騒動に見舞われた。

「出馬表明にともなって立ち上げた公式HPのトップ画面には、エリート街道を走ってきた輝かしい経歴と合わせて、自分の“家系図”までも掲載。そこには佐藤栄作や岸信介、安部寛ら曾祖父・曾祖叔父、祖父の安倍晋太郎に叔父の安部元首相、そして父の信夫と錚々たる一族の名前が。

 また《誇りうる国づくり》《こころ豊かな社会つくり》《夢あふれる町づくり》とのスローガンも掲げていたのですが、これは信夫氏が掲げていた基本理念をそっくり写したもの。親子だから理念は同じとの主張なのか、清々しいほどの“世襲アピール”に呆れ返る国民が続出しました」

 全国紙政治部記者が経緯を明かすように、家系図を含めたHPがネットで拡散されるとSNS上で炎上。すると信千世氏は家系図を削除しては、後にHP自体も「メンテナンス中」として閲覧できない状態に。このほどの2月下旬に“復活”した模様。

新HPは【後援会入会申し込みフォーム】

 ところが新HPを開いてみると、トップページに出てきたのは青みがかったシンプルな画面に【岸のぶちよ 後援会入会申し込みフォーム】、【応援していただき、ありがとうございます。ご入力をお願いします。】とのメッセージ。

 下部にスクロールすると【名前】や【生年月日】、【住所】に【電話番号】、【メールアドレス】等の必須項目に加えて、【ご紹介者のお名前】に【LINE ID】といった任意項目が。最下部には【上記の内容で送信する】とのクリック先と、HPがまるまる個人情報の入力フォームになっていたのだ。

「たしかにHPには後援会の入会希望者を募る役割もあるでしょう」とは、選挙事情に精通する政治ジャーナリスト。

「ですが、それ以上に自身の政治理念、政策や公約を掲げる、また活動報告する場として、国民の誰もが閲覧できるのが一般的な政治家のHP。他にもツイッターやインスタグラム等のSNSを活用する政治家も多いように、今やネットは政治活動、そして選挙運動においても不可欠なツールと言えます。

 しかし、信千世氏は公式なSNSを開設しているわけではなく、発信手段はHPのみと見受けます。確かに余計なことを書かないことで炎上リスクを回避できるかもしれませんが、4月の補欠選挙をどう戦うつもりなのか。地元を回ればそれで十分との算段でしょうか」

今から当確出てしまうのが日本

 信千世氏の“会員制”ホームページの開設はすでにネット上でも広く知れ渡っているようだが、《でも地元は当選させる》《それでも、たぶん当選してしまう山口県の文化》《今から当確出てしまうのがこの国です》と、補選の候補者が出揃うのを前にして同氏の“当選”を予言するような声も。

「2021年の衆院選では、信夫氏が対立候補の約3倍となる10万票以上を獲得しての圧勝劇となりました。おそらくは現状、後継者の信千世氏が山口2区で同票も受け継ぐことになり、さすれば当選は決まったも同然と言えるかもしれません。

 ただ、支援者だけに政治活動を教えるような政治家というのもどうなのか(苦笑)。前回の同区の投票率は51%と、まだまだ有権者の意思が反映される余地はあるはずですが、はたして信千世氏の思惑通りになるか」(同・政治ジャーナリスト)

 さらなる批判を受けてか、2月28日20時時点では再び閲覧不能状態になってしまった信千世氏のHP。補選までに有権者を納得させるような、政治家らしいHPを立ち上げる考えはあるのだろうか。

新しく立ち上がった岸信千世氏のHP。今のところ政治理念や政策も掲げていないが

 

岸信千代氏がHPに掲載していた家系図

 

安倍元総理と昭恵夫人

 

安倍晋三元首相