「周りには絶対言ってはダメだと言われていて、撮影が始まってから2、3か月はひたすら耐えていました。SNSで桃鬼は誰なのかという予想で、いろいろな方の名前が挙がるのを見て、バレていないかヒヤヒヤしていましたね」
『大病院占拠』“桃鬼”役を演じる浅川梨奈が明かす撮影の裏側
鬼の面をかぶった謎の武装集団に病院が占拠され、主演の櫻井翔演じる捜査官が人質を救うため犯人に立ち向かうサスペンスドラマ『大病院占拠』(日本テレビ系)。鬼の正体や目的、物語の展開などを予想して楽しむ、“視聴者巻き込み型”の本作は回を追うごとに注目度が高まり、放送後のSNSトレンド入りはもはやおなじみの光景になっている。
物語の根幹を担う鬼の集団『百鬼夜行』のメンバーのひとり、“桃鬼”役を演じる浅川梨奈(なな)が撮影の裏側を明かしてくれた――。
“桃鬼”はドラマの放送開始前から、その正体が“浅川なのでは”と話題になっていた。
「放送前の予想であまりに私の名前が出すぎていて……(笑)。口元だけの情報では普通わからないだろうと思っていたので、とても驚きましたし、ちょっとうれしくもありました」
正体が判明したのは、放送開始からひと月ほどがたった第4話だった。ドラマの注目度に比例して、浅川への反響も大きかったという。
「SNSではけっこう“桃鬼かわいい”って言ってもらえることが多くて、ニヤニヤしながら見ています。インスタグラムのDMも基本的にはチェックしていて、応援メッセージをたくさん送ってくださるのでうれしく感じています」
主演の櫻井をはじめとして、鬼グループのリーダーを菊池風磨が演じるなど、名だたる共演者がそろうなかで現場に臨むプレッシャーなどはなかったのだろうか。
「撮影自体の大変さのほうが大きいですね。正体がバレないように、基本的にはずっとお面を着けていたのですが、あのお面すごく視界が狭くて。後ろから声をかけられてもちゃんと正面を向かないと顔が認識できないし、立ち位置をテープで指示されても見えないし、もう全部感覚でやるしかないんです。衣装もかなり重くて、防弾チョッキやブーツ、銃などを合わせると全部で10キロぐらいになるんです。撮影中は基本的にずっとあの衣装なので肩が凝っちゃって、とうとう整体に通い始めました(笑)」
過酷な状況で撮影していることを互いに知っているからこそ、浅川を含めた10人の鬼たちには連帯感が生まれているようだ。
「鬼の正体が判明するまでは“あとどれぐらいで休憩だ!”ってみんなで励まし合いながら、楽屋に戻ったらすぐにお面を取って“疲れた~!”って肩回す、みたいな(笑)。ほぼずっと一緒に撮影しているので、スタッフさんに“なんでそんなに仲いいの?”っていわれるくらい、鬼同士でコミュニケーションはよく取っています。みんなで輪になってソファーに座って、飼っているペットの話やお子さんの話など、プライベートな会話ばかりしていますね」
シリアスなシーンの中でもアットホームな雰囲気
テロリストを演じるにあたって、当然シリアスなシーンも多くなるが、撮影中は和気あいあいとした雰囲気だそう。
「例えば、茶鬼役のラバーガールの大水洋介さんの手をあげる仕草に全員がツボって笑いが止まらなくなっちゃったり、すごくアットホームな雰囲気です。特に、ムードメーカーになっているのは真飛聖さん。
コミュニケーションがとても上手で、真飛さんの温かさが今の現場の雰囲気を作っていますし、私もこんなに楽しく撮影に臨めているのだと思います。逆に、警察側の方々と撮影で一緒になる機会は全然なくて、撮影が始まってから3か月がたってようやくお会いできました。主演の櫻井さんともあまりお話しできていないのですが、鬼グループが和気あいあいと話しているところをニコニコ見守ってくれていて、たまに会話に入ってきてくださいます」
4月で24歳を迎える浅川だが、インタビュー中の様子からは気負っている様子はなく、むしろ自然体で現場に挑んでいる印象を受ける。役者として数々の作品に出演してきた彼女だが、仕事に対する考え方の変化はあったのだろうか。
「ここ2、3年で自然に楽しんでお仕事ができるようになってきました。それまでは何に対してかわからないプレッシャーをずっと抱えてやっていた感じがしていて。ようやくお芝居を楽しむ余裕ができたのかなって。割と人見知りだったので、頑張ってコミュニケーションを取るようにしていたんです。
ただ、たくさんの現場を経験して、いろんな人との関わり方で自分なりにスッキリした部分があって、肩の力が抜けたと感じています。今は、余裕を持って現場に入れるから、お芝居をやる上でも“こういうふうにこの人が来るんだったら、お芝居を変えたほうがいいかな。いや、でも、こっちのほうがいいかな”って、考える幅が広がりました。演じることの楽しさみたいなところに近づきつつあるのかな」
女優・浅川梨奈の最終目標
ドラマだけでなく、6月15日から上演される音楽劇『ブンとフン』をはじめ、舞台や映画への出演も増えている。将来的に挑戦してみたい仕事を聞いてみると……。
「私の人生の最終目標は、ディズニープリンセスになることなんです。ディズニーの作品で吹き替えを担当するのが夢ですね。オフがあったら必ず通うくらいディズニーランドが好きで、ファンの方が園内でたまたま撮った動画に私が映り込んでいたことがあったくらい(笑)。
ただ、好きだからこそ中途半端なことはしたくないので、声優のお仕事もしてみたいのですが、やりたい気持ちと簡単に手を出してはいけないという気持ちがせめぎ合っています。声優は軽い気持ちで踏み入れてはいけない世界だと思っているで……。でも、いつかは自信をもって臨めるように勉強はしていきたいです」
とはいえ、仕事の告知以外のSNS投稿が“ディズニー”で埋め尽くされていることからもわかるように、好きなものにはとことん時間をかけて究めている。
「最近はディズニー、家、仕事の3箇所にしか行ってないかもしれません(笑)。家には2匹の猫がいて、本棚いっぱいに漫画が置いてあって……見たいアニメも溜まってくるし、オフでもあまり外に出ないんですよ。趣味が基本家の中でできることばかりで、最近はハンドメイドアクセサリーにはまっていて、実家からミシンを持ってきてせっせと作っています。でも、それもディズニーのハロウィンで自分で作った服を着たいって気持ちから始まっているので、やっぱりディズニーが好きなんですよね」
インタビューの最後には、『大病院占拠』の視聴者に向けてこんなメッセージを。
「最終話に向けて物語は目まぐるしく動きます。1話ごとに“爆弾”を抱えているのでそれを楽しんでもらいながら、鬼たちの目的だったり、警察側の動きだったりを考察してほしいですね」
今年も数々の作品への出演が予定されている浅川。今後の活躍から目が離せない!