昆虫食彩館ー昆虫食を楽しもう!ー(内山昭一オフィシャルウェブサイト)

 

※昆虫食に関する記述があります

 近年の食糧不足の解決策として注目される昆虫食。しかし、まだまだ世間からの抵抗は大きく、最近ではコオロギパウダーを使った給食を提供した徳島県の高校が、ネット上で炎上するという騒ぎになった。

ゴキブリの都市伝説「胃の中を食い破る?」

 “衛生面”“味”などが主な嫌悪感の理由だと言われるが、そんな昆虫食にまつわる“都市伝説”があるのをご存知だろうか。

かつて日本テレビ系列で放送されていたバラエティー番組のなかで、ゴキブリを食べた男性がその後死亡したという噂がありました。なんでも胃の中で繁殖して、胃や内臓を食い破ったとか……」(スポーツ紙記者)

 放送されたのは‘70年代と、かなり昔の話。故に真偽不明の都市伝説となっていたが、'2012年にアメリカで実際の死亡例が報じられたことで信憑性が高まった。

フロリダ州で行われた虫食い競争で、ゴキブリを大量に食べて優勝した男性が直後に体調不良を訴え、その後死亡したというんです。このニュースをみて、“あの都市伝説は本当だったのか”と思った人は少なくないでしょう」(同・スポーツ紙記者)

 このアメリカの男性については死因が不明だというが、実際、ゴキブリを食べて死に至るケースはあるのだろうか……。

ゴキブリを食べて人体への影響は…

「人間の胃酸というのは非常に強いので、生きた状態で食べたゴキブリが胃の中で繁殖する、といったことはまず考えられません」

 そう語るのは、昆虫料理研究家で、NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長を務める内山昭一氏。都市伝説を否定した上で、ゴキブリを食べて人が死ぬ可能性はゼロではない、と続ける。

考えられるのは、食用として育てられたものではなく、野生のゴキブリを食べた場合ですかね。そもそも、ゴキブリの表面のキチン質にはエビやカニと同じアレルギー物質が含まれています。また、ゴキブリは不潔な環境に生息しているので、有害な物質が体に付着していると思われます。なので、一度に大量に食べた場合、アナフィラキシーショックを起こして死に至る可能性もあるでしょう。ただ、野生のゴキブリを一度に生で大量に食べる、というケースは稀ですから、確率は非常に低いです

 海外ではゴキブリを食用にしている地域もある。

日本と違って、海外ではゴキブリに対する嫌悪感がそこまで強いわけではなく、単に昆虫の一種だと認識されています。例えば、船の乗組員が船内でゴキブリを捕まえてスープに入れて食べていた、卵を集めてフライにしていた、なんて話もあります。また、古くからサツマゴキブリなどは漢方薬として重宝されているんです

ゴキブリも高タンパク!食べるときの注意点

 昆虫食が注目される理由の一つとして、“高タンパク”であることが挙げられるが、ゴキブリも例外ではない。

「例えば、マダガスカルゴキブリは乾燥重量の70%がタンパク質で、26%が脂肪だという研究もあります。一般的な鶏卵は52%がタンパク質で43%が脂肪ですから、非常に高タンパクなゴキブリもいるんです

 実際にゴキブリを食べる上で注意すべき点は何なのだろう。

まずしっかり加熱殺菌すること。そして、甲殻類アレルギーの方は食べないほうがいいでしょう。あとは基本的には家の中にいるゴキブリは避けたほうがいいでしょうね。食用に養殖されたゴキブリと違って、野生のゴキブリはかなり臭みがありますし、食べるまでの過程に大変手間が掛かりますから

 最後に、おすすめのゴキブリについて教えてくれた。

「私が一番おすすめするゴキブリは『オオゴキブリ』です。体長4cmほどあって森に生息するゴキブリなんですが、臭みが少なくてサクサクで美味しいんです。もしゴキブリを食べることに興味がある人は、オオゴキブリのからあげから試してみるといいかもしれません」

 100年後には昆虫食が主食になっている……かもしれない。

昆虫食彩館ー昆虫食を楽しもう!ー(内山昭一オフィシャルウェブサイト)※画像クリックでHPへ移動します
内山昭一氏・昆虫料理研究家、NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長