≪昨日の私の適切でない表現をしてしまった投稿により、多くの皆様に不快な思いをさせてしまったこと申し訳なく思っています。本当にごめんなさい。SNSに限らず、今後は、自分の発言に注意していきたいと思っています。深く反省し、ご迷惑をおかけしましたこと重ねてお詫び申し上げます。≫
“すぐ怒る”というイメージが
シンガーソングライターの矢野顕子が3月6日、自身Twitterで“謝罪”を行った。矢野はこの前日、Twitterで、60歳を過ぎてから始めたクラシックバレエについて、ジャンプに苦労していることを告白。続けて≪BTSの後列のメンバーたちだって(失礼すぎる)あんなに高く飛べてるのになあ。≫と漏らしたのだが、BTSのファン=ARMYから、「BTSに後列メンバーはいない」「失礼だ」と抗議の声が上がったのだ。
「こうしたARMYの反応を受け、矢野さんの所属事務所・株式会社ソニー・ミュージックアーティスツは、すぐさま≪多くの皆様に不快な思いをさせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。≫という謝罪文を発表し、投稿を削除。その後、矢野さん本人からあらためて謝罪を行ったという流れです。
矢野さんの娘である坂本美雨さんも、Twitterで≪思慮深い言葉ではなかったですね。私もアミとしての思いがあり難しいですが、ただ、愛があってもまちがえてしまうことがある。生涯音楽だけを貫いてきた彼女が、(たとえまだ日は浅くとも)7人を深く尊敬しているということは、これまでの言葉からどうか読み取っていただけますように。信じています。≫と発信。母親の“失言”をフォローしていました」(エンタメ誌記者)
本人、事務所からの謝罪、また家族からのフォローにより、「炎上はすぐに収まった印象」(同)だというが、この一件を機に、SNS上で、「ARMYは怒りの沸点が低い」といった指摘が散見されている。
「BTSの世界的成功を支えたARMYは、当然、メンバーへの思い入れが非常に強い。これまでも、BTSを軽んじるような発言をした著名人を一斉に批判し、大炎上したというケースは枚挙に暇がありません。BTSへの愛ゆえの行動ではあるものの、傍から見ると確かに“すぐ怒る”というイメージがついてしまっているように思います」(同)
ARMYを激怒させた著名人の一人といえば、元NEWSの手越祐也だ。2020年6月にジャニーズ事務所を退所後、同8月にフォトエッセイ本『AVALANCHE 〜雪崩〜』(双葉社)を上梓したが、その中でBTSとTWICEの世界的活躍を例に挙げ、J-POPがK-POPに後れを取っている音楽シーンの動向を指摘していた。
《あと3人かわいそう》のテロップ
「それだけであれば、特にARMYから目をつけられることはなかったのですが、手越さんは続けて、≪もし僕たちがBTSメンバーのように英語など他言語をしっかり勉強し、ハイブリッドな多国籍軍として世界進出を仕掛けていれば、今頃はNEWSやジャニーズ事務所がアジアでナンバーワンだったはずです。アメリカでビルボードのチャートに入るところまでいっていたと思います。≫と主張したんです。
BTSが世界的アーティストに上り詰めた背景には、血のにじむような努力があることを知るARMYにとって、“英語さえできていれば”と言わんばかりの手越さんの言い分は、受け入れがたかったのでしょう。当時SNSでは、『BTSを舐めるな』といった怒りの声が飛び交ったものです」(ウェブメディア編集者)
また、BTSのファンを公言していた松本伊代が、ARMYを怒らせてしまったこともあった。
「松本さんは2018年3月放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)に出演し、西村知美さんを連れて、ソウルにあるBTSの行きつけの食堂に足を運びました。その際、メンバーについて語る中で、≪イケメンが4人いるわけよ。でもね、イケメンじゃない子も可愛い≫と発言したんです。
ほかのゲストが発した≪あと3人かわいそう≫というコメントがテロップとして表示されたこともあり、ARMYはカチンと来たようで、Twitterでは≪#out松本伊代≫というタグまで作られ、大炎上が巻き起こりました。この発言は、松本さんなりの愛情表現とも取れますし、実際に一部のARMYからは、タグまで作って批判するのは過剰反応という声も上がっていたのですが、世間にARMYは怖いというイメージが浸透してしまった印象です」(同)
謝罪した「BTS神社」
さらに、ARMYの怒りの矛先が、音楽番組に向けられたケースも。2020年12月放送の音楽特番『2020 FNS歌謡祭 第1夜』(フジテレビ系)に先駆け、BTSのTwitter用告知動画が公開されたのだが、メンバーのJ-HOPEには個別のセリフがなく、またアップにもならず。
前年の同番組で、BTSが「FAKE LOVE」を披露した際、尺の問題からかJ-HOPEのラップパートのみカットされたこともあって、ARMYの間で物議を醸したのだ。音楽番組でメンバー間格差をまざまざと見せつけられる演出は、どのグループのファンも怒りを覚えるものだが、「ARMYは数が圧倒的に多いだけに、悪目立ちしてしまうところはあると思います」(同)という。
一方、ARMYの愛ゆえの怒りが、悪質なファンビジネスを撲滅させた事例もある。昨年2月、静岡県下田の浜辺に「BTS神社」なるものが建てられたとTwitter上で大騒ぎになった。同神社は、リゾートホテル「BY-THE-SEA」の敷地内にある洞窟内部に作られ、メンバーのタペストリーが飾られているほか、BTSの楽曲を用いた有料の祈祷も行っていたとか。
「ホテルが事務所に無許可でBTS神社を作ったのではないかと疑ったARMYは、悪質な便乗商法だとTwitterで抗議の声を上げるように。すると『BTS神社』のワードはトレンド入りを果たし、これを受けたホテル側は≪この度、世間をお騒がせ致しました事を深くお詫び申し上げます≫≪今後、写真の無断使用など細心の注意を致します≫と即謝罪したんです。メンバーを守りたいというARMYの思いが、問題をあっという間に解決させたといえます」(同)
矢野の謝罪をきっかけに、“すぐ怒る”というイメージがあらためて広まっているARMY。しかしそれは決して悪いことばかりではなさそうだ。