3月10日、“運命の一戦”と謳われた「2023 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の1次ラウンド・日本VS韓国戦が行われ、13安打の猛攻で「13-4」の結果となり、日本が完勝した。この試合で活躍したヒーローインタビューのお立ち台に立ったのは、ラーズ・ヌートバー選手。3点ビハインドの3回には猛攻の口火を切るタイムリーヒットを放ち、守備では詰まったセンターフライを果敢に前進して飛び込み、ダイビングキャッチのファインプレーを見せるなど、攻守で躍動。
この前日には日本代表初戦となる「日本vs中国」の試合が行われ「8-1」で“侍ジャパン”が勝利。こちらの試合でもヌートバー選手は大活躍したことで業界内外は歓喜、テレビ番組やSNSなどでコメントする有名人たちも続出している。
そんな中、ツイッターに《侍ジャパン中国に勝利!! 選手みんなさん、緊張感のある中で世界一に向けて先ず一勝おめでとうございます》(原文ママ)と投稿した元プロ野球選手・高橋尚成氏は、ネット上の野球ファンから「謝ってください」との声が続出していた。
ヌートバーのために新たな応援曲が
栗山英樹監督が率いる今回の侍ジャパンにメジャーから招集され、“日系二世”としては初めて侍ジャパンに選ばれたラーズ・ヌートバー選手(セントルイス・カージナルス)が今、野球ファンの間で大人気だ。
オランダ系アメリカ人の父と日本人の母を持つヌートバー選手は、ミドルネームが「タツジ」、日本名は「榎田達治」ということで、チームメンバーやファンから「たっちゃん」の愛称で呼ばれることも。ヌートバー選手が侍ジャパンに本格合流した3月3日には、メンバーが試合前練習時に「たっちゃん」とプリントされたお揃いのTシャツを着て歓迎したことも話題になった。
「ニコニコとしていて愛嬌があり、また、メディアの取材に『一番大事なのはチームが金メダルを獲ること』と答えるなどしていたヌートバー選手に、プロ野球ファンもすぐ好感を抱きました。日本では選手が打席に立つ時、それぞれの応援歌で声援を送る文化があります。
ヌートバー選手は日本野球機構のオフィシャルソング『Dream Park〜野球場へゆこう〜』を使用することになりそうだと報じられた際、ネット上には『新しく作ってあげて!』との声が殺到。その結果、侍ジャパン応援団がヌートバー選手の打席で使用する新たな応援汎用曲を制作し、3月6日のWBC強化試合でお披露目となりました」(テレビ局関係者)
一方、ヌートバー選手の招集が発表された時から、否定的な意見を述べていたのが高橋氏である。同氏は現役時代、読売ジャイアンツで活躍した後、メジャーに移籍。ニューヨーク・メッツ、ロサンゼルス・エンゼルス、ピッツバーグ・パイレーツ、シカゴ・カブスを経て、マイナーリーグのコロラドスプリングス所属後はメジャー復帰を果たせず、2014〜15年に所属した横浜DeNAベイスターズで現役引退を発表した。
「認めてないの俺だけかな?」
現在、高橋氏は野球解説や評論の仕事をしたり、YouTubeチャンネル「高橋尚成のHISAちゃん」を更新している。今年1月6日に侍ジャパンメンバーが先行発表され、同26日に登録予定選手30人が明らかに。
高橋氏は同日公開の動画で、ヌートバー選手の招集について「サプライズの選出ですごく良かったんじゃないかな」としつつ「正直、僕は“必要があるのかなぁ”というような選手」「選手自体としては、決して選ばれるような選手ではないと僕は思っています。日本の外野手のほうがもっといい選手、僕はいると思います」などと述べていた。
しかしその後、侍ジャパンはヌートバー選手の歓迎ムードを盛り上げ、野球ファンも“たっちゃんフィーバー”のような雰囲気に。今月6日、侍ジャパンと阪神タイガースの強化試合でヌートバー選手の応援歌が使用された際も、ネットユーザーは「応援歌ができて本当によかった」「しっかり覚えて歌うぞー!」などと大はしゃぎしていた。
「ヌートバー選手のコールは『タツジ』に決まり、この“侍デビュー戦”を見守ったスタンドからもタツジコールが響き渡りました。そんな中でも、高橋氏は3月7日公開の動画で『(スタンドのタツジコールは)ファンの方たちが認めてるっていうことだと思いますし。“認めてないの俺だけかな?”っていう感じですかね』と発言。一応、『認めてないわけじゃなくてね』とフォローしてはいましたが、せっかくの盛り上がりに水を差している感じは否めませんでした」(スポーツライター)
そして日本初戦では、ヌートバー選手が1番・中堅で先発し、いきなりチーム初安打を放ち出塁。その後、押し出しで先制点のホームを踏んだのもヌートバー選手で、そのほか7回で盗塁を成功させたり、3回守備ではスライディングによる“スーパーキャッチ”を決めたりと、会場を大いに沸かせた。
「引っ込みつかなくなっちゃった?」
「もちろん、ほかの選手も活躍していましたが、やはり注目を集めていたヌートバー選手に見せ場があったのは良かった。ネット上にも『こんなに理想的な1番はいない』『人柄良さそうだし走攻守全力だし、めっちゃ好きになる』といった書き込みが散見されるなど、好感度が増しているようです」(スポーツ紙記者)
この日、Amazon Prime Videoの生配信で解説を務めた元代表監督・王貞治氏は「彼(ヌートバー選手)を代表チームに呼んだ栗山監督のヒット、大ヒットですよ」とコメント。また、一夜明けた10日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)では元プロ野球選手・監督の長嶋茂雄を父に持つタレント・長嶋一茂が、ヌートバー選手のことを「ムードメーカーでいい」と褒めていた。
かたや高橋氏だが、9日の試合終了後、ツイッターで「侍ジャパン中国に勝利!!」などと祝福していたが、ヌートバー選手には触れず。しかし、高橋氏の発言を覚えている野球ファンは、
「ヌートバー選手についてコメントお願いします!」
「ヌートバー大活躍でしたね これでもいらないと言うんですか?」
「ヌートバーいるって言え」「ヌートバーに謝ってください」
「引っ込みつかなくなっちゃった?」
など、発言の撤回や謝罪を求めたのだった。そして韓国戦が行われた10日、高橋氏は【ヌートバー選手への発言についてお詫びします】と題して、中国戦を振り返る動画を配信。ヌートバー選手について「認めざるを得ない」と謝罪したが、
「大事な達治に対してのあの発言は許しません。」
「『認めざるを得ない』っていう言い方からまだ認めたくないという気持ちが滲み出てますよ」
「『認めざるを得ない』ってなんか上から目線だな」
「この謝罪は軽すぎないですか?」
「ナチュラルに見下してるのが本当に悲しい」
視聴者からは、謝罪に疑問や怒りの声を呈する人も少なくない。高橋氏もヌートバー選手の活躍を目の当たりにして評価が変わったのだろうが、今後の試合を批評する動画でも、彼の活躍ぶりを称えてくれることはあるのだろうか。