「タゴミ(容疑者の愛称)の事件を知って、笑っちゃいましたよ。何やってんだよって。でも、タゴミらしいっていうか……」
容疑者のかつての知人はそう呟いた。
愛知県警中署は8日、住所不定・無職の吉野凌雅容疑者(21)と、同じく住所不定・無職の少年(19)と少女(自称15)の3人を威力業務妨害の疑いで逮捕したと発表した。
飲食店での“迷惑行為”で初の逮捕者
「2月3日の午後8時43分ごろ、容疑者らは共謀して同県名古屋市中区の『くら寿司名古屋栄店』で、吉野容疑者がテーブルにあったしょうゆ差しの注ぎ口を直接、口に含むなどした。少年がその様子をスマホで動画撮影して、SNSに投稿。この行為によって店にクレーム対応や、臨時清掃作業なども発生させて業務を妨害したというもの。翌日に店が被害届を提出して、警察が捜査に着手していた」(全国紙社会部記者)
飲食店で相次いだ一連の迷惑行為では、全国初の逮捕者となった。
吉野容疑者は警察の取り調べに対して、
「くら寿司には迷惑をかけて申し訳ない」
と容疑を一部は認めているものの、
「(しょうゆの)注ぎ口には直接、口は当たっていない」
とも供述している。地元メディア記者はこう話す。
「3人はSNSを通じて知り合い、名古屋市中区の『ドン・キホーテ栄本店』の横にあった広場、通称“ドン横”でよく遊んでいた」
ここにいる若者たちは“ドン横キッズ”と呼ばれている。東京・新宿歌舞伎町の“トー横キッズ”のように、拠り所のない少年少女が集まっているのだ。溜まり場だった広場が昨年6月に閉鎖されると、ドン横キッズたちは近くの池田公園や名古屋のフォトジェニックスポットとして有名な複合施設『オアシス21』などにたむろしている。吉野容疑者の人となりを取材すべく、ドン横キッズたちに話を聞くも彼らを知るものはいなかった。
「髪型、髪の色を見る限り、ホストかも。ホストにも住所不定はそこそこいますから」(公園にいた20代男性)
前出の地元メディア記者によると、
「吉野容疑者は以前、トー横にもいて、あちこちを放浪していたという情報もある」
そこで、トー横キッズたちの取材を進めると、吉野容疑者を覚えていた数名の若者たちに出会えた。冒頭の知人の10代A君はこう語る。
ドン横、トー横、大阪のグリコ上…フラフラしていた
「彼のSNSのハンドルネームは“タダのゴミ”だから、僕らは“タゴミ”と呼んでいるんです。4、5年前にドン横からトー横に来たみたい。といっても、ずっとここに居ついていたわけじゃなくて、ドン横に戻ったり、大阪のグリコ上(道頓堀)、横浜のビブレ横などにも行ったり。フラフラしていた」
容疑者のおふざけ動画も提供してくれた。
「これはみんなでタゴミを亀甲縛りにしたやつ(笑)。いじめじゃなくて、やるほうも、やられるほうも、楽しみながらやったものだよ」(同・A君)
タゴミの印象は“決して悪くはなく、むしろいいほうだ”と話すのは、10代B君。
「意外に人気者でね。ほとんど1人では行動しない。裏を返すと、寂しがりやなのかもしれませんね。名古屋や大阪から、知り合いをよく連れてきていた。みんなで集まると、彼はムードメーカーでサービス精神旺盛だから盛り上げようとしてくれる。ただ、ちょっとズレてるところもあって、それがあの『くら寿司』動画。あれはやりすぎ」
吉野容疑者が実際にホストをやっていたという話も。
「まあ、よほど金がないときですけどね。ホストクラブは体験入店すると、1日5000円くれるので、数日だけやってた。歌舞伎町にホストクラブは300軒ぐらいあって、しょっちゅうそればかりやってたから“体験入店荒らし”と呼ばれていましたよ(笑)」(10代C君)
しかし、容疑者は昨年8月ぐらいには、トー横から忽然といなくなったという。一旦、実家に帰ったのだろうか。
「うーん、“実家は北のほうにあって、家は結構、大きい造りだ”って。それに“父親は会社のお偉いさん”って言ってました」(前出・Bくん)
父親と思われる人物は直撃に「まったくの別人」
『週刊女性PRIME』は、容疑者の父親と思われる人物に接触できた。だが、その父親は、
「確かに息子は凌雅といいますが、人違い。事件を起こした人物と同姓同名、同年齢ですが、まったくの別人です」
と言い張った。その後、自宅に何度電話をかけても出ることはなかった。親子の縁を切っているのかもしれない。
くら寿司の広報担当者は、こう話す。
「損害賠償などの民事訴訟については、顧問弁護士と相談中です。金額も含めて相談しているところです」
一部報道では“1000万円請求される可能性がある”とも。逮捕によって実名が報道され、多額の負債も抱え……他人迷惑な悪ふざけはむろん言語道断だが、ひとつの動画で奈落に落ちていく息子を父親は果たして見捨てることができるのだろうか。