1月23日に河村たかし名古屋市長とのツーショットをTwitterに投稿した美濃加茂市の藤井浩人市長

 今年1月に岐阜県美濃加茂市の特産物である高級干し柿「堂上蜂屋柿」のPRのため、藤井浩人市長が名古屋を訪れた。そこで名古屋の河村たかし市長が干し柿にかぶりつくパフォーマンスをしたところ、「“金メダルかじり事件”を想起させる」と波紋を呼んでいる。過去に度々炎上している河村市長だが、今回は――。

 河村たかし市長といえば、2021年8月に東京五輪で金メダルを獲得したソフトボール日本代表チームのメンバーで、名古屋市出身の後藤希友投手の金メダルをかみ、大炎上したことで有名だ。また、昨年11月にはご当地アイドルとの写真で“指ハート”を作ったつもりが、卑わいな意味を持つハンドサインをしてしまい、ネットをざわつかせたことも記憶に新しいだろう。

 柿をかじったのは今年1月のことだが、3月に開催された美濃加茂市議会の定例会で苦言を呈したのは、堂上蜂屋柿の生産者でもある坂井文好(さかいふみよし)議員。市議会定例会の一般質問にて、以下のように発言した。

《1000年歴史のある尊い干し柿なものですから。本当に金メダルみたいなもの。(河村市長には)正しい食べ方で食べてもらうのが、本当のPRではないか。生産者は、侮辱されたと感じられた人もいますし…》

藤井市長がTwitterで謝罪

 一連の騒動に対し、ネットでは

「これは流石に河村さんがかわいそう……もらい事故やん」

「生産者が激怒する理由がわからない。気軽に食べて欲しくないなら、なぜ河村市長にPRを頼んだ?」

「こんなもんただのいちゃもんにしか聞こえない。金メダルかぶりつきは論外ですが、食べ物に関しては美味しそうに見えるならそれがPRにつながると思いますが…」

「かぶりつきたくなるほどに美味しい干し柿なんでしょう?PRしてもらうってすごい嬉しいことだと思うけどなぁ…それを批判するってどうなの?」

 との声が……。今回に関しては、さすがに“河村たかし擁護派”が多いようだが。なかには金メダルをかじったときの不快感をわざわざ彷彿とさせる必要はない、との批判の声も多く、賛否両論のまま炎上騒ぎになっている。

 そして、今回の騒動で炎上したのがもうひとり。それが、名古屋を訪れ、河村市長の“干し柿かじり”パフォーマンスを笑顔で黙認していた藤井浩人市長だ。

 地元・岐阜新聞のWEB版によれば、坂井議員は“柿にかぶりつく”河村市長の隣で笑顔を見せる藤井市長のツーショット写真が新聞に掲載されたことを取り上げ、パフォーマンスを笑顔で黙認する藤井市長の態度を批判しているという。藤井市長は《河村市長はPRを含めてのご対応だと思っている。新聞掲載の写真について私のところにも数人からご意見を伺っている。真摯(しんし)に受け止めて今後気を付けたい》と述べたというが──。

 この件が拡散され、炎上状態になったからか、藤井市長は3月11日にTwitterで、

《食べ方の作法は地元に確かにあります。河村市長にはPRのための対応をしていただいただけで、撮影時に食べ方を改めてお伝えしきれなかった私の落ち度です》

藤井浩人市長はインフルエンサーの滝沢ガレソ氏のツイートに反応するかたちで謝罪のリプライを飛ばした。広く拡散されていることがわかる

 とコメントを出している。

2014年に事前収賄などの罪で逮捕・起訴され

 自身の行動でない“干し柿がぶり”で矢面に立たされた藤井市長。彼は2010年に行われた美濃加茂市議選でトップ当選を果たし26歳の若さで政界進出をしているが、実は市議時代に“有罪”判決が下された過去がある。

 2013年に当時の現職市長として最年少の28歳で初当選するも、翌年「市議時代に浄水場設備の導入を巡り業者から現金を受け取った」として、事前収賄などの罪で逮捕・起訴された。

 当時、「災害時に生活用水を確保できる」とし、市に導入を働きかけていたが、市長になった後の2014年6月、突然逮捕・起訴された。設備の導入に便宜を図る代わりに名古屋市の業者から30万円を受け取ったとされている。

 1審の名古屋地裁は無罪を言い渡したが、2審名古屋高裁は逆転有罪に……。

 2017年12月、最高裁が上告の棄却により3年間の執行猶予が決まり、市長の座を譲ることになった。しかしその後、執行猶予が明けた2020年12月に1年後の市長選への意欲を固め、見事返り咲いた経緯がある。市民は潔白を訴える藤井市長を支持し、藤井氏は、被告人の立場に立たされながらも、タブルスコアでの大差で再当選を果たした。

 一貫して冤罪(えんざい)を主張する藤井市長は2021年に裁判の再審請求もしていたが、今年2月に名古屋高裁は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たらない」と判断。『冤罪と戦う』(牧野出版)という著書も出版しているが、再審請求は正式に認められない形となった。現在も異議申し立て中だが、一度出た結論が覆る可能性は低いという。

 2月にニュース番組『ABEMA Prime』(ABEMA TV)に出演した藤井市長は、

《司法には失望の連続だ。『あ、またか』という気持ち。今回も新証拠を弁護団がかなり必死になって見つけてくださったが、残念だった》

 としたうえで、今も無実であることを主張していた。

美濃加茂市民は藤井市長に多大な信頼を寄せています。“有罪”で市長を辞職した後も、コロナ禍でテイクアウトを始めた飲食店のメニューをSNSで紹介するといった地道な活動を有権者はしっかり評価している。柿にかみついた件に関しても、藤井市長は1月23日にその画像をTwitterにアップしています。

 地元民と思しきユーザーから《かみついたところをネタにするのは、なくてもいいのかもしれない》といったリプライも寄せられていましたが、おおむね好意的でアカウント自体は炎上はしていなかった。今回の一件は、岐阜県とは関係のないネットユーザーたちによる批判がほとんどかと」(地方紙記者)

 何かと名古屋で問題が起きがちな藤井市長なのであった──。

 

藤井浩人市長はインフルエンサーの滝沢ガレソ氏のツイートに反応するかたちで謝罪のリプライを飛ばした

 

河村たかし市長

 

河村たかし名古屋市長(本人のTwitterより)