15日、静岡県警は殺人の疑いで会社員の土屋勇貴容疑者(31)を再逮捕した。
この男は今月、不倫関係にあった女性の死体遺棄の疑いで逮捕されていたのだが、その犯行はあまりにも残虐かつ不可解なもの。被害女性の死体をバラバラにして、あろうことか妻子と住む一軒家に遺体を隠していたのだ。
『週刊女性PRIME』は事件当時、苦労人だった被害女性と身勝手な容疑者の素顔に迫っていた。
(以下は、2023年3月4日に配信した記事の再掲載です)
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「被害女性は見たことがない。この事件で初めて、近くに住んでいたことを知った」
と近隣住民の多くがそう口を揃えた……。
静岡県警磐田署は23日、同県沼津市の会社員・土屋勇貴容疑者(31)を死体遺棄の疑いで緊急逮捕した。容疑者は21日、交際相手の同県磐田市の会社員・伊藤亜佑美さん(33)の遺体を自宅に遺棄したというもの。
「2人は21日の夜、静岡駅近くで待ち合わせ、伊藤さんの車で静岡市清水区の山中に向った。そこで容疑者は、あらかじめ購入していたハンマーで伊藤さんの頭部を数回にわたって殴り、携帯電話の充電器のコードで首を締めて殺害したようです」(全国紙社会部記者、以下同)
司法解剖によると、死因は頭部打撲による外傷性くも膜下出血と、頸部圧迫による窒息死によるものだという。
遺体をバラバラにして自宅、車の中に隠した
「殺害後、容疑者は伊藤さんの車を運転して、自宅へ遺体を運び、風呂場で電動のこぎりを用いてバラバラにし、その一部を3階のベランダ、自分の車、亜佑美さんの車に隠した。そして、亜佑美さんの車は500メートルほど離れたコインパーキングに放置した」
警察の取り調べに、容疑者は死体遺棄容疑を認めたうえ、伊藤さんの殺害についても関与したと供述。同署は殺人を視野に捜査を続けている。
容疑者がバラバラにした死体を遺棄した自宅は3階建ての一戸建て。そこには実父と妻、幼い子ども2人と同居していた。つまり、容疑者と被害女性は不倫関係であり、容疑者は“交際を巡りトラブルになっていた”などと供述している。
事件当日、彼らの何度目の話し合いだったのだろうか。
「準備の周到さを考えると、土屋容疑者が殺害を計画していたことは明らかだ」
土屋容疑者は地元の沼津市で育ち、都留文科大学を卒業後はホテルマンに。副支配人までなったが、2年前に大手保険代理店の販売員職に転職。
「転職理由は“保険業界に興味がある”とのことでした。これまでトラブルや問題などはお客さまを含めてなく、社内のコミュニケーションも良好な状態でした。弊社の社員がこのような事件を起こしたことは誠に遺憾です」(保険代理店広報担当者)
地元愛が強かった土屋容疑者は、草野球をやっていたほか、三島の青年会議所にも所属。そこで同じく磐田の青年会議所のメンバーだった亜佑美さんと、静岡ブロックの年に2回ほどの集まりで出会ったのだった……。
亜佑美さんは同県浜松市生まれで、10歳ぐらいのときから磐田市へ移住。地元の県立高校を卒業後、ゴルフのキャディーの職に就いていた。
「暮らし向きは決してよくなかった。妹は活発でお喋り好きだったから、よく覚えているけど、亜佑美さんは静かで地味な子で、はっきりとは覚えていない」(近所の住民)
20代前半で、工場勤務の男性と結婚。実家近くの2DK、家賃4万5000円のメゾネット式アパートで新婚生活をスタートさせた。
「2、3年ほど住んでいました。確か上の子どもさんが、1歳か2歳で、下の子が生まれる前に引っ越していった。旦那さんは夜遊びが盛んなヤンチャな人だったので、亜佑美さんは会うと“金が足りない、金が足りない”と口癖のようにボヤいていた」(アパートの住民)
新築一戸建て住宅を購入するも離婚
コツコツお金を貯めていたのだろうか、亜佑美さん一家は下の子が生まれる前後に一念発起。隣町にある新興住宅地に夫名義で念願の新築一戸建て住宅を購入したのだが、
「亜佑美さんも、旦那さんも住んでいるのかどうか、わからないほど見なかった。見かけるのは、元気よくそこら中を走り回っている子ども2人と、その面倒を見るおばあちゃんの姿だけ。後から知りましたが、亜佑美さんはこの家に来てから保険の外交員になっていたようなので、忙しかったんでしょう」(冒頭の近所の住民)
そんな中、亜佑美さんの夫は見かけるどころか、この家自体から去っていた。
「離婚したと聞きました。実家の両親も熟年離婚されたようで、家を出た夫と入れ替わるようにおばあちゃんが同居するようになり、亜佑美さん、小4の長男、小1の次男の4人家族になった」(亜佑美さんの知人)
長男は同級生にこんなことを漏らしていたという。
「“お父さんは会えないぐらい遠いところにいる”と言っていたようです。“それでもときどき土曜日に会いにきてくれる”と友だちに説明していました」(同級生の保護者)
2人の息子と母親を抱えたシングルマザーとなった亜佑美さん。離婚を機に、自宅ローンも抱えていた可能性もあり、保険の外交員として必死に働いていたのだろう。
「青年会議所に所属したのは、最初は保険の営業先を確保するための人脈作りだったかもしれません。ですが、市民活動に従事する中で、政治家になろうという気持ちも芽生えたとか」(前出・アパートの住人、以下同)
シングルマザーで生きることの大変さを経験して、母子家庭でも笑顔で生きられる社会を作りたいと思ったのかもしれない。
「“市議会議員になろうとしている”という噂も聞いたことがあります。シングルマザーの立場から、子ども支援をしたいと考えていたとか」
だが、亜佑美さんが青年会議所で出会ったのは政治家になるという夢だけではなかった。報道によると昨年、
「恋人ができた」
と友人に嬉しそうに打ち明けていたという。
再婚を夢見ていたのに…裏切りの凶行
亜佑美さんが亡くなったあと、自宅からは実母、子どもらも姿を消している。
「子どもは2人とも小学校にも来てないそうで、担任の教師は“おばあちゃんの実家へ行っている”と説明していたそうです。あんなひどい殺され方をしたら、母親との思い出が詰まっている家にはいられないのかもしれないですね……。亜佑美さんはうちの子によると、“ふだんは優しいけど悪いことをしたら、ちゃんと厳しく叱ってくれるお母さん”だと言っていました」(同・保護者)
女手一つで2人の子どもを育て上げてきた亜佑美さん。
「容疑者と出会ってやっと春が来たと思っていたはず。再婚を夢見ていたんじゃないかな」(前出・亜佑美さんの知人)
亜佑美さんの夢を無惨に踏みにじった容疑者の罪は、計り知れなく重い。