ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次リーグにて中国・韓国・チェコ・オーストラリアなどに大差をつけ、準々決勝へ進んだ“侍ジャパン”。注目されている選手としては、二刀流と評される大谷翔平(エンゼルス)のほかにも、“村神様”こと村上宗隆(ヤクルト)が挙げられるだろう。しかし、SNSでは村上の“打順”に関する、ある発言が議論を呼んでいる。
村上選手といえば、日本の野球界で最も期待されている選手の一人。昨年にはプロ野球史上初の5打席連続本塁打、日本選手年間最多の56本塁打、史上最年少の22歳で“三冠王”という偉業を達成している。1964年に王貞治(巨人)が残した日本選手のシーズン最多本塁打記録を更新した形となった。
WBCの1次リーグの試合にて打順が全て“4番”。しかし、プレッシャーや3番の大谷選手に続く打順のためか、開幕当初から村上は無安打が続き、チェコ戦で初安打を獲得するも思うように振るわない。重圧がのしかかるなかでの不調が続くなか、14日の準々決勝のイタリア戦に向けた全体練習後の発言を複数のメディアが大きくとりあげている。
僕しか打ったことのない打順
《自分は打ててない状態が続いてますけど、とにかく勝てたことが一番。短期決戦は勝つこと、これから先はそれがもっと大事になる》
《(大谷の後の4番は)モチベーションになりますし、僕しか打ったことのない打順。これからもそこを打てるように頑張りたい》
この村上の発言にネットでは大論争が繰り広げられている。不調にもかかわらず、4番打者として“続投宣言”をする村上に対して、
「『3番大谷が怖くて申告敬遠、4番村上は怖くないからOK』と判断されて、結局大谷の攻撃まで潰されてしまってる。打てない4番とはそれだけチームへの負担は大きい」
「打順を決めるのは監督だし、どこで打とうが結果を残せるようにしてくれ」
「村上が4番に対して意味不明なプライドを持っているとは思わなかった」
「今の村上選手の状態だと、大きい一発も繋ぎのバッティングもできていない状態で、何より見逃し三振が多すぎる」
といった厳しい声が続出。
「僕ならいったん、4番は外す」発言した矢野燿大氏
阪神タイガースの前監督の矢野燿大氏も同様の意見のようで、13日に関西のローカル番組『よんチャンTV』(MBS)でこのように答えている。
《栗山さんも悩まれているんじゃないかなと思うんですけど、僕ならいったん、4番は外す。どうしても大谷君の後ろはプレッシャーがかかる。申告敬遠とかされて、余計に力むんです。それでいうと、(5番の)吉田(正尚・レッドソックス)君がめちゃくちゃ状態が良いので、4番に上げて、村上君を6番くらいで。僕なら牧(秀悟・横浜DeNA)君を5番に使う》
対して栗山監督本人は3日に行われた『カーネクスト侍ジャパンシリーズ2023 名古屋』にて、中日ドラゴンズに対し、2-7で敗れたことについて、『中日スポーツ』の記者から「打者全体に力みが出ている」と指摘され、このように答えている。
《力みっていうか、何とかしようとしている感じはあるんだけど、シーズン中にキャンプのオープン戦で自分の打席を持ちながらいくのと、ちょっと違う形の調整になっている。その辺も大変なのは分かるんだけど、本番のところではしっかりやってくれるはずなので。こちらは信じていくだけ》
課題はあるものの、この日もフル出場し4打数1安打だった村上を含めた選手全体への信頼は厚かった。
イタリアとの準々決勝を前日に控えた15日の会見で、栗山監督はWBCの今後の打順についてこのようにコメントしている。
《最後の練習を見て、打者の状態や体調が分かった。整理しながら、勝ちやすい打順を考える》
《また、新しい戦いが始まる。これまでの打順とは別物なので、しっかり考えて、なるべく早く選手に伝えたい》
いよいよイタリアとの準々決勝に臨むWBC日本代表。負けたら終わりの戦いが始まるが、果たして栗山監督の下す決断はいかに……。村上選手の復活劇に期待が高まる。